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三十三話 目覚め
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……起きて! 起きて下さい!」
「んぁ? あ、ジュデッカだあ? いつの間にか寝てたみたい?」
ゲイルはジュデッカに揺すられ、目を覚まし、ズレ落ちた眼鏡を直しながらそう答えた。その眼前には必死な表情でゲイルを起こしているジュデッカと、その向こうにはへの字型に突っ伏し、ヨダレまみれの床にキスをしているミューが居た。どうやらミューもまだ寝ているようだった。
「よ、良かったぁ! ミューさんが全然起きなくて……」
困り果てたジュデッカが今にも泣き出しそうな表情でミューのことを指し示した。
ゲイルはチラリとミューに視線を送ると、ジュデッカの頭にポンッと手を置いてこう話した。
「あー、ミューは一度寝ちゃうと確かに起きないかも……ちょっと待ってて」
そしてミューの突き出されたお尻の前で両手を合わせて構える。
「こうすると起きるんだよね。それ!」
と掛け声をあげながら立てた両の人差し指を、肛門へと突き出した。その様子を見ていたジュデッカが驚きの声をあげる。
「え! ゲ、ゲイルさん! じょ、女性になんてことするんですか!」
「え……? あ……忘れてた……」
ゲイルはミューが龍であったノリで浣腸を繰り出したが、そんなことは知らないジュデッカには衝撃的に映ってしまったのであった。
だが、その威力は絶大なモノで、即座にミューが動き出す。
「イテテ……ってあれ? 俺、寝てた?」
「どうやらそうみたい。僕もジュデッカに起こされたばかりだけど……」
ゲイルはちょっとだけ人差し指の匂い嗅いだ後、臭そうな表情を浮かべてから手を拭いていた。
「お恥ずかしながら私もさっきまで寝てました……お師匠様の技には耐性があるはずなのに……」
落ち込んだ様子のジュデッカに当の亀が近付いて来て慰めの言葉を掛けた。
「まあまあ、ジュデッカよ。二番目に目覚めたのは流石じゃ」
「二番って……あれ? 一番は?」
場には三人しかおらず、自身を起こしてくれたのはジュデッカだった為、数が合わないとゲイルは不思議そうに尋ねた。
「モチロン、ワシじゃよ」
「お前も寝てたのかよ!」
自分の技で寝てしまったという亀の言葉にミューがツッコミを入れてしまう。
「ワシの技はそこまですごいということじゃ。最後に起きたお前さんなら余計に分かるじゃろ」
「クソ! 亀が自慢げに見えるのがまたムカつくな」
「ふんふーん。この技は我が師にも唯一通用した技じゃ。お主らが防げぬのも無理はない。悔しがることはないぞ」
自身も寝てしまったことは棚上げに、亀はずっと偉そうにしている。
するとゲイルがとある疑問を口にした。
「でも、どれくらい寝てたんだろ」
「そんなに寝てないと思うよ。数分ってところじゃないか?」
ゲイルの言葉にミューは軽口を叩く。が、ふとゲイルがジュデッカに視線を送るとジュデッカの異変に気がついた。
「あれ? ジュデッカ。どうして青ざめてるの?」
「いや……恐らく……」
そしてその青ざめた表情のまま、ジュデッカはこう口にした。
「お師匠様、あれから何年くらい経ってますか?」
「え?」
「ジュデッカ? 何を言って……」
ジュデッカの意味する言葉が理解出来なかったゲイルとミュー。しかし、そのジュデッカの言葉に亀は得意げにこう答えた。
「流石ジュデッカじゃ。三年ほどしか経っておらん」
「は? さ、三年?」
「う、うそだろ……さ、三年も」
「良かったぁ……三年しか経ってないんですね」
驚愕の表情で三年もと口にした二人に対して、ジュデッカは安堵の表情で三年しかと口にした。
「ちょちょちょっと! ジュデッカ! さ、三年も経ってるんだよ! おかしいと思わないのかい?」
「?? 何がでしょうか?」
今度はジュデッカが何を言っているのか理解出来ない、と言った表情で首を傾げた。しかし、すぐにジュデッカは首を元に戻して、手をポンっと叩いた。
「ああ、そうですね。お師匠様のこの技は数十年単位で軽々と眠らせて貰えますので、三年しか経ってないのは奇跡的に早い目覚めです。何せ本気を出して眠らせた、インフィニティエイシャントグレートデストロイアブソリュートジェノサイドタイラントディザスターアルティメットリザードは数百年単位で眠らせてるとのお話なので……」
「あ。あ、そう……」
ついていけない、といった様子でミューは頭を抱えながらそう呟いた。が、次の瞬間、何かを思い出したような表情になり、こう口にした。
「ってそうだ! インフィニティエイシャントデストロイアブソリュートジェノサイドタイラントディザスターアルティメットリザードは!」
「インフィニティエイシャントグレートデストロイアブソリュートジェノサイドタイラントディザスターアルティメットリザードじゃよ。グレートが抜けておる。物覚えが悪いのぉ」
亀は即座にミューの言葉を否定する。
「チッ! 長ったらしい名前付けるのが悪いんだって。チュウニって言ったっけ? 長い名前付けたい病気なんじゃないの?」
亀の言葉にミューは苛立ちを隠すことなく、そう口にした。それを聞いていたジュデッカが二人の間に入り宥める。
「まあまあ、ミューさん、落ち着いて。お師匠様も煽らないで下さい。で、そのインフィニティエイシャントグレートデストロイアブソリュートジェノサイドタイラントディザスターアルティメットリザードは?」
「もうすぐ目覚めるぞ。地面が少し揺れ始めておる。段々と大きくなってきておる……ほら!」
その言葉と共に地面がグワングワンと大きく揺れだした。
「ホントだ!」
ゲイルはそう口にして勢いよく小屋を飛び出したのだった。
「んぁ? あ、ジュデッカだあ? いつの間にか寝てたみたい?」
ゲイルはジュデッカに揺すられ、目を覚まし、ズレ落ちた眼鏡を直しながらそう答えた。その眼前には必死な表情でゲイルを起こしているジュデッカと、その向こうにはへの字型に突っ伏し、ヨダレまみれの床にキスをしているミューが居た。どうやらミューもまだ寝ているようだった。
「よ、良かったぁ! ミューさんが全然起きなくて……」
困り果てたジュデッカが今にも泣き出しそうな表情でミューのことを指し示した。
ゲイルはチラリとミューに視線を送ると、ジュデッカの頭にポンッと手を置いてこう話した。
「あー、ミューは一度寝ちゃうと確かに起きないかも……ちょっと待ってて」
そしてミューの突き出されたお尻の前で両手を合わせて構える。
「こうすると起きるんだよね。それ!」
と掛け声をあげながら立てた両の人差し指を、肛門へと突き出した。その様子を見ていたジュデッカが驚きの声をあげる。
「え! ゲ、ゲイルさん! じょ、女性になんてことするんですか!」
「え……? あ……忘れてた……」
ゲイルはミューが龍であったノリで浣腸を繰り出したが、そんなことは知らないジュデッカには衝撃的に映ってしまったのであった。
だが、その威力は絶大なモノで、即座にミューが動き出す。
「イテテ……ってあれ? 俺、寝てた?」
「どうやらそうみたい。僕もジュデッカに起こされたばかりだけど……」
ゲイルはちょっとだけ人差し指の匂い嗅いだ後、臭そうな表情を浮かべてから手を拭いていた。
「お恥ずかしながら私もさっきまで寝てました……お師匠様の技には耐性があるはずなのに……」
落ち込んだ様子のジュデッカに当の亀が近付いて来て慰めの言葉を掛けた。
「まあまあ、ジュデッカよ。二番目に目覚めたのは流石じゃ」
「二番って……あれ? 一番は?」
場には三人しかおらず、自身を起こしてくれたのはジュデッカだった為、数が合わないとゲイルは不思議そうに尋ねた。
「モチロン、ワシじゃよ」
「お前も寝てたのかよ!」
自分の技で寝てしまったという亀の言葉にミューがツッコミを入れてしまう。
「ワシの技はそこまですごいということじゃ。最後に起きたお前さんなら余計に分かるじゃろ」
「クソ! 亀が自慢げに見えるのがまたムカつくな」
「ふんふーん。この技は我が師にも唯一通用した技じゃ。お主らが防げぬのも無理はない。悔しがることはないぞ」
自身も寝てしまったことは棚上げに、亀はずっと偉そうにしている。
するとゲイルがとある疑問を口にした。
「でも、どれくらい寝てたんだろ」
「そんなに寝てないと思うよ。数分ってところじゃないか?」
ゲイルの言葉にミューは軽口を叩く。が、ふとゲイルがジュデッカに視線を送るとジュデッカの異変に気がついた。
「あれ? ジュデッカ。どうして青ざめてるの?」
「いや……恐らく……」
そしてその青ざめた表情のまま、ジュデッカはこう口にした。
「お師匠様、あれから何年くらい経ってますか?」
「え?」
「ジュデッカ? 何を言って……」
ジュデッカの意味する言葉が理解出来なかったゲイルとミュー。しかし、そのジュデッカの言葉に亀は得意げにこう答えた。
「流石ジュデッカじゃ。三年ほどしか経っておらん」
「は? さ、三年?」
「う、うそだろ……さ、三年も」
「良かったぁ……三年しか経ってないんですね」
驚愕の表情で三年もと口にした二人に対して、ジュデッカは安堵の表情で三年しかと口にした。
「ちょちょちょっと! ジュデッカ! さ、三年も経ってるんだよ! おかしいと思わないのかい?」
「?? 何がでしょうか?」
今度はジュデッカが何を言っているのか理解出来ない、と言った表情で首を傾げた。しかし、すぐにジュデッカは首を元に戻して、手をポンっと叩いた。
「ああ、そうですね。お師匠様のこの技は数十年単位で軽々と眠らせて貰えますので、三年しか経ってないのは奇跡的に早い目覚めです。何せ本気を出して眠らせた、インフィニティエイシャントグレートデストロイアブソリュートジェノサイドタイラントディザスターアルティメットリザードは数百年単位で眠らせてるとのお話なので……」
「あ。あ、そう……」
ついていけない、といった様子でミューは頭を抱えながらそう呟いた。が、次の瞬間、何かを思い出したような表情になり、こう口にした。
「ってそうだ! インフィニティエイシャントデストロイアブソリュートジェノサイドタイラントディザスターアルティメットリザードは!」
「インフィニティエイシャントグレートデストロイアブソリュートジェノサイドタイラントディザスターアルティメットリザードじゃよ。グレートが抜けておる。物覚えが悪いのぉ」
亀は即座にミューの言葉を否定する。
「チッ! 長ったらしい名前付けるのが悪いんだって。チュウニって言ったっけ? 長い名前付けたい病気なんじゃないの?」
亀の言葉にミューは苛立ちを隠すことなく、そう口にした。それを聞いていたジュデッカが二人の間に入り宥める。
「まあまあ、ミューさん、落ち着いて。お師匠様も煽らないで下さい。で、そのインフィニティエイシャントグレートデストロイアブソリュートジェノサイドタイラントディザスターアルティメットリザードは?」
「もうすぐ目覚めるぞ。地面が少し揺れ始めておる。段々と大きくなってきておる……ほら!」
その言葉と共に地面がグワングワンと大きく揺れだした。
「ホントだ!」
ゲイルはそう口にして勢いよく小屋を飛び出したのだった。
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※小説家になろうにも掲載しています。
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