縁の鎖

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それぞれの真実

スフェーン皇太子の願い

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ジュエリアは皇位継承権が第二位である事に、引っかかりを感じた。
皇帝には四人の妻がおり、二男六女と子宝にも恵まれているからだ。


「ジュエリア、女帝として私の跡を継いで欲しい!」

皇帝はジュエリアに頭を下げて、懇願する。

「皇帝陛下!?頭をお上げください!女帝とは…どう言うことでしょうか!?確か帝国には、私と同じ年齢の皇太子殿下と一つ下の第二皇子様がおられたはずですが…。他に六人の皇女様もおられたはずです。」
「皇太子は…余命幾ばくもないのだ。これは皇太子の願いでもある。」


皇帝は映像記録用の魔法道具マジカルウイティを取り出した。

《私ヘリオドール・ドン・スフェーンは、こたび自身を囮に旧オブシディアン王国の反乱分子を一掃する事に成功した。これも学友であるサーペントとユーディアのお陰だ。二人には深く感謝している。反乱分子は、父上が帝国を建国する際に一掃したと思っていた。だが、それは影武者を使った偽装工作であった。》

映像で見る皇太子の顔色は、死期が近いことを物語っていた。

《そこで皇室主催の茶会で、私や他の皇子・皇女に微量の毒を盛った。その場に居た者全てに疑惑をかけ、一族郎党にいたるまで徹底的に調べ上させるために。だが私は敵の毒も喰らってしまった。そのため長くは生きられない。皇位を継承する事は、叶わないだろう。》

皇太子は天を仰いだ。

《毒を盛ったのは、私の母である皇后だった。皇后と、皇后が擁立ようりつした第一皇妃と第三皇妃は、帝国を転覆するために送られた反乱分子の工作員だった。》

皇太子は口惜しそうに語る。

《我が子を手に掛けるなど、誰が考える?皇后は私が父上と同じ思想を持っている事が、許せなかったのだ。帝国を絶対君主制の強国では無く、教皇と皇帝による共同君主制の教会の属国にする事を画策していた。彼らの傀儡にはならない私を、切り捨てたのだ。》

皇太子は真っ直ぐ前を見据え、ジュエリアに語りかけて来た。

《ジュエリア殿。会った事もない従兄弟の願いに戸惑うだろうが、どうか私の代わりに帝国を担って欲しい。何故なら、君以外に皇位継承者がいないからだ。四人の皇女は国家転覆を企てた家門の一族と見なされ、反逆罪により終身刑とし修道院に送られた。第二皇子は主犯格の一人とし、斬首刑となった。残りの皇女は、第二皇妃様の意向で皇位継承権を破棄している。」

第二皇妃は実家の地位が低くかった。
そのため自分の娘が皇位に就けば、後ろ盾が無く辛い思いをすると考え、9歳と3歳の皇女の皇位継承権を放棄したのだ。

《慣れない風土と文化の土地で、君主と成るには辛い事が多いと思う。君の重積を少しでも軽くするため私は君の伴侶、皇婿こうせいにはサーペントを勧める。》
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