マルチバース豊臣家の人々

かまぼこのもと

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第八話 こっちの黒幕は誰?

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秀次が謀反との噂が二条城を駆け巡った。

「三成、ほんまかよ?」

三成は冷汗を掻きながらも頷く。
秀吉の顔が鬼のように変わっていく。
これは、もし、誤報であれば自身の首が飛ぶだろい。
しかし、調査をすればする程、彼に近い者たちから謀反するとの情報がやってくる。
だが、三成は頭が良い。
こうした情報が多数舞い込むことに少しの疑念はある。
だが、この疑念について発言すれば、自身の首が飛ぶことになる。
三成は半兵衛と秀長に助け舟を寄越すよう、視線を送る。

ーーこれは何かあるな。

いち早く気づいたのは半兵衛。
三成にとって幸運なのは、半兵衛、秀長に加えて、偶然にもここに浅野長政と毛利秀包がいることだ。
二人とも秀吉とは親族のように付き合いがあり、彼に意見することが許される人物だ。
そして、二人とも頭は良い。
すぐに三成の顔で異常なことに気づく。

「父上……いや、殿下。三成の様子が何かおかしくありませんか? 三成、私との仲だ。正直に話してくれ」

秀包に父上と呼ばれたことに少し頬を緩めた秀吉。
これを機に、さらに長政が言う。

「左様。これは豊家どころか天下にとっても一大事だ。秀吉様が三成を斬るのであれば、私も腹を切る。であるから、言ってみろ」

三成は平伏しながら言い始める。

「わ、わ、私の心中では関白殿下の謀反は、な、な、ないかと……」

三成は首の上から黒い何かに押し付けられる感覚を得る。
秀吉が眼前に現れたのだ。

「何でや? 言ってみい?」

秀吉は扇子で三成の首をツンツンと叩く。
三成は小刻みに震え始めた。
彼も自分一人で済むなら、いくらでも秀吉に首は与えられる。
しかし、家族や自分を慕う家臣、民へも絶対に波及してしまう。
それだけは防がねばならない。
緊張感で三成は気が触れてしまいそうだ。

ーーの、喉が……誰か水を! 喉が渇いて言葉が出ぬ!

三成は余りの緊張で過呼吸となる。

「兄上、やめろ。三成がかわいそうだろうが」

秀長が三成に助け舟を出し、長政もそれに乗る。

「左様でございます。三成は貴方様にとって私にとっても家族同様。豊家に何かあった時は一番に味方となる存在ですぞ。

秀包は真剣な表情で三成を庇う。

「殿下、三成を斬るなら貴方はいずれ私も斬ることとなるでしょう。ならばいっそのこと、ここで私を斬ってください」

秀吉は秀包と長政の言葉でハッと我に帰る。

「ひ、秀包が死ぬやと! わ、悪かった。み、三成もすまぬ! ほんに悪かった! ワシは何をしようとしてんや!」

秀吉は情け深い人の顔に戻り、焦りながら秀包を宥める。
そして、秀包は感極まり泣き始める。

「だって父上が怖かったんやぁ」

秀包は黒曜石の様な瞳をして、かわいらしい顔立ちをした"イケメン"と呼ばれる存在。

まさに逃げ上手なあの作品の北条時行のようなイケメンフェイスなのである。

だが、戦の場では血の繋がりがある父親の毛利元就とそっくりで戦略的であり、小柄でありながら、剣術砲術にも長けた武将である。

しかし、普段は屈託がない言動と少年の様な姿をしている。
それ故に父代わりの秀吉には甘えるものの、人を殺害する時はその狂気を隠さない。

秀吉は秀包を抱きしめ、

「おお、秀包、ごめんやで! ほんに悪かった」

と叫ぶ。

子がいなかった秀吉と親を早くに失った秀包はコンプレックス的なものを互いに補える関係であった。

三成は目を点にさせながら思う。

ーーあのくらい殿下に甘えられたら楽であろうな

友人に優しい秀包は、もちろん三成にも優しい。
まぁそれは秀包の一方的なものなのだろうが。

秀包は三成に近寄り、

「三成殿、お体はどうですか? 気は失っておりませぬか?」

ーーわざとらしいが、目は本気だ。包まずに話そう。

「み、水を所望したい」

「父上、水を!」

秀吉は頷き、彼に急ぎ水を与えた。

この後、秀吉は半兵衛と秀長、長政どころか北政所にまで説教を喰らわされてしまうのであった。
三成の精神状態を考え、彼に二日ほどの休暇が与えられた。

しかし、半兵衛と秀長、長政は気づいている。

ーー三成は黒幕を知っている。

夜に人払いをして、四人は集まった。

「三成よ、気づいておるだろ? 裏に誰がおる? 人払いはしておるから、兄上の耳にも入らん。さぁ、話せ」

三成の唇が開き始める。

そして、作者は思う。その裏で糸を引いている人物ついてはアルファポリスは許してくれるのだろうか?

次回に続く。
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