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第九話 真実って何だ?
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夜。
二条城内、秀吉は茶々と布団の中で交わっている。
彼にとって、茶々は自身のコンプレックスの象徴のような存在である。
彼がまだ織田信長の家臣として下っ端だったとき、茶々の母親である市に相手されず、いつも蔑まれた微笑みを浮かべながら見つめられていた。
秀吉はそれでも嬉しかった。
ーーうひゃあ! あないなデラべっぴんはんに見つめられて嬉しいでよ!
秀吉は信長からの信頼を得て、昇進し、金銭的に裕福となり下の階級に属する者ができて気づき始める。
ーーアレは侮蔑だったんだぎゃ
彼は思い出した。
まだ武家に仕官したばかりのときを思い出した。
「おみゃあは掃除もできんかえ!」
秀吉は小柄な体格故に舐められて、毎日のようにリンチに合っていた。
仕官先の武将松下之綱はその状態を哀れに思い、間に割って入る時もあった。
しかし、秀吉を虐めている連中は大事な家臣であり、彼らに罰を与えては家が滅んでしまう。
之綱は秀吉に金を与えて去らせた。
ーーあん時の目だね。之綱様の情け深い目じゃねぇ。部下の俺を蔑む目だわ。
配下たちは自身たちにとって都合の良く、之綱に秀吉に対する虚偽の報告をして、過小評価させていた。
ーー真実なんてどうでもええて。あの猿が之綱様に無様に斬られるところが見てぇ。
「猿はもうおらん。おみゃあらはキチンと仕事せぇ」
之綱は配下を宥めた。
元主君である信長に対しては利用し尽くし、信孝を死に追いやるなどの行為をしているが之綱のことは大切に思い、丁重に扱っていた。
信頼関係があった之綱とも離れることになった。
秀吉は茶々の高貴な白い肌を味わいながら一つとなり、欲望を彼女の中にぶちまける。
ーーわかっとるで。ワシにゃ子種はあらんきに。
茶々はわざとらしい甘い声で愛の言葉を囁き、秀吉に応えている。
ーーコイツはワシのこと嫌っておる。そして、秀頼はワシの子じゃねぇ……わかっておるで……だが、今更真実なんてどうでも良い。この世は嘘で溢れとるきに。
嘘と侮蔑で築き上げられてきた今の地位。
ーー何じゃったんだろうな? ワシの人生……
毛利家の屋敷にいる秀包が食事をしながら呟いた。
「茶々様と会っているときの殿下は悲しい顔しておる……だから、今は会いとうない。息子が欲しいなら、私がおるのに見えてへんのか? 太閤なんて身分いらん。殿下の息子になりたい。妻は北政所様がおろうに……何もかもがわからん」
秀包はホロリと味噌汁の中に涙を溢した。
別の屋敷には半兵衛、秀長、浅野長吉(後の浅野長政)が三成の話を聞いていた。
「やはり、裏で糸引いていたのは……かようなこととは思うておった」
半兵衛は三成の話を全て聞き、頷いた。
秀長、長吉は汗を流す。
あのお方と闘うことになれば、日本は割れる。
秀長はこの時もすぐに動ける配下を集めて、冷静に対応を始めた。
一方で秀吉をどう対処するべきかだ。
三成と秀次の安全にせねばならない。
「あのお方に早馬を走らせて、二条に至急来るように伝えよ。北政所様と高野山の僧たちには秀次とその家族の保護を頼むのだ。そして、前野長康も呼び、真偽を確かめる」
二日後に行われる予定で行われる予定だった謀反の疑いがある秀次の沙汰が一週間ほど先に延びることになった。
その分、秀吉の苛立ちは高まっていく。
しかし、その日はやってきた。
三成は緊張しているが、覚悟を決めて全て話す準備をしている。
二条城内には
秀吉、三成の他に秀包、半兵衛、秀長、長吉、長康がおり、
「すみゃあな! 殿下、元気でありましたかな?」
松下之綱がやって来た。
秀吉は久しぶりに見る之綱を見つめ、涙が溢れそうになる。
「之綱殿ではありませぬか! よかった。最近、体調が悪いとお聞きしまして……」
ケタケタと之綱は笑いながら、
「殿下にとって大切な話があるなら、多少の病など、心配ご無用!」
「……」
秀吉は思う。
ーー半兵衛、秀長、嵌めやがったな
半兵衛を冷たい目で見つめる。
しかし、彼は意に返さない。
「ここにいる者は真実を知る理があります。さぁ始めましょう」
秀吉は史実のような鬼の顔つきとなり、審議が始まろうとしていた。
二条城内、秀吉は茶々と布団の中で交わっている。
彼にとって、茶々は自身のコンプレックスの象徴のような存在である。
彼がまだ織田信長の家臣として下っ端だったとき、茶々の母親である市に相手されず、いつも蔑まれた微笑みを浮かべながら見つめられていた。
秀吉はそれでも嬉しかった。
ーーうひゃあ! あないなデラべっぴんはんに見つめられて嬉しいでよ!
秀吉は信長からの信頼を得て、昇進し、金銭的に裕福となり下の階級に属する者ができて気づき始める。
ーーアレは侮蔑だったんだぎゃ
彼は思い出した。
まだ武家に仕官したばかりのときを思い出した。
「おみゃあは掃除もできんかえ!」
秀吉は小柄な体格故に舐められて、毎日のようにリンチに合っていた。
仕官先の武将松下之綱はその状態を哀れに思い、間に割って入る時もあった。
しかし、秀吉を虐めている連中は大事な家臣であり、彼らに罰を与えては家が滅んでしまう。
之綱は秀吉に金を与えて去らせた。
ーーあん時の目だね。之綱様の情け深い目じゃねぇ。部下の俺を蔑む目だわ。
配下たちは自身たちにとって都合の良く、之綱に秀吉に対する虚偽の報告をして、過小評価させていた。
ーー真実なんてどうでもええて。あの猿が之綱様に無様に斬られるところが見てぇ。
「猿はもうおらん。おみゃあらはキチンと仕事せぇ」
之綱は配下を宥めた。
元主君である信長に対しては利用し尽くし、信孝を死に追いやるなどの行為をしているが之綱のことは大切に思い、丁重に扱っていた。
信頼関係があった之綱とも離れることになった。
秀吉は茶々の高貴な白い肌を味わいながら一つとなり、欲望を彼女の中にぶちまける。
ーーわかっとるで。ワシにゃ子種はあらんきに。
茶々はわざとらしい甘い声で愛の言葉を囁き、秀吉に応えている。
ーーコイツはワシのこと嫌っておる。そして、秀頼はワシの子じゃねぇ……わかっておるで……だが、今更真実なんてどうでも良い。この世は嘘で溢れとるきに。
嘘と侮蔑で築き上げられてきた今の地位。
ーー何じゃったんだろうな? ワシの人生……
毛利家の屋敷にいる秀包が食事をしながら呟いた。
「茶々様と会っているときの殿下は悲しい顔しておる……だから、今は会いとうない。息子が欲しいなら、私がおるのに見えてへんのか? 太閤なんて身分いらん。殿下の息子になりたい。妻は北政所様がおろうに……何もかもがわからん」
秀包はホロリと味噌汁の中に涙を溢した。
別の屋敷には半兵衛、秀長、浅野長吉(後の浅野長政)が三成の話を聞いていた。
「やはり、裏で糸引いていたのは……かようなこととは思うておった」
半兵衛は三成の話を全て聞き、頷いた。
秀長、長吉は汗を流す。
あのお方と闘うことになれば、日本は割れる。
秀長はこの時もすぐに動ける配下を集めて、冷静に対応を始めた。
一方で秀吉をどう対処するべきかだ。
三成と秀次の安全にせねばならない。
「あのお方に早馬を走らせて、二条に至急来るように伝えよ。北政所様と高野山の僧たちには秀次とその家族の保護を頼むのだ。そして、前野長康も呼び、真偽を確かめる」
二日後に行われる予定で行われる予定だった謀反の疑いがある秀次の沙汰が一週間ほど先に延びることになった。
その分、秀吉の苛立ちは高まっていく。
しかし、その日はやってきた。
三成は緊張しているが、覚悟を決めて全て話す準備をしている。
二条城内には
秀吉、三成の他に秀包、半兵衛、秀長、長吉、長康がおり、
「すみゃあな! 殿下、元気でありましたかな?」
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秀吉は久しぶりに見る之綱を見つめ、涙が溢れそうになる。
「之綱殿ではありませぬか! よかった。最近、体調が悪いとお聞きしまして……」
ケタケタと之綱は笑いながら、
「殿下にとって大切な話があるなら、多少の病など、心配ご無用!」
「……」
秀吉は思う。
ーー半兵衛、秀長、嵌めやがったな
半兵衛を冷たい目で見つめる。
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