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2章
20話「新しき調和、未来への選択」
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――世界が、裂けていた。
王都の空を覆う巨大な裂け目から、闇と光が渦を巻き、現実と記憶領域、さらには異世界が複雑に混じり合う。
地上では、セフィラの核から生まれた異形の魔物たちが暴れ、王都術士、セレスタの精鋭、砦の兵士――
ありとあらゆる仲間たちが必死にそれに抗っていた。
私は、レヴィアと背中を合わせて立っている。二人の力が、かつてなく自然に重なっていた。
「ノクティア、来るぞ……!」
「ええ。私たちで、この運命を終わらせるの!」
空から静かに降りてくる銀色の影――アムネリス。
その姿は神秘的な威厳と、どこか孤独の色をまとっていた。
「ここが“選択”の場だ。血の輪廻か、共存か。お前たち自身の意志で、決着をつけよ」
言葉と同時に、アムネリスの周囲に黒い魔法陣が何重にも展開され、現実世界と記憶領域、異世界が一つに重なり合う。
王都の広場が、永遠の黄昏に包まれたように光と闇に染まる。
* * *
「ノクティアさん! ここは……夢? 現実?」
エイミーがどこか怯えた声で私に駆け寄る。
「全部よ。いまだけは、この世界と“始祖の記憶”と“私たちの未来”が、ひとつになってる」
私はエイミーの手を取り、落ち着いた声で答えた。
「ノクティアさん、守ります」
レオナートが剣を掲げ、後方から応援してくれる。
アムネリスは静かに見下ろしている。
「“力”とは、誰かの犠牲の上に成り立つもの――。私はそう信じ、世界を守ってきた。だが……お前たちの“意志”がそれを超えるというのなら、私を超えてみせよ」
その言葉と同時に、現実・記憶領域・異世界の全てが共鳴し、
無数の黒い魔物と過去の幻影が、私たちの前に立ちはだかった。
「いくわよ、レヴィア!」
「……ああ。こっちはもう、逃げる気なんてない」
二人で詠唱を重ねる。
「《律動解放・セフィラ・ラグナレウム!》」
黄金と蒼の魔法陣が空間を貫き、魔物たちを薙ぎ払い、過去の幻影すら浄化していく。
だが、アムネリスが手をかざすと、魔物はなおも再生し、力は衰えない。
「お前たちの“共闘”だけでは、呪いは終わらぬ。犠牲なき理想など、幻想だ」
私は叫ぶ。「違う! 犠牲の上に立つ平和なんて、何も救わない! 私は……」
ふいに、かつての自分が幻影となって現れる――
“無能”と罵られた少女の私、城館の廊下でうつむいていた日々。
王都の貴族たちが私を冷ややかに見下ろす姿、辺境に追放された絶望。
「……私は、すべてを失ったと思っていた。けど、違った。私の中にしかない“強さ”を、私は選んだ。
支えてくれた人がいた。私を信じてくれた仲間がいた。だから今――」
私は杖を高く掲げ、闇と光の交点に新たな魔法陣を展開する。
「《律動創生・セフィラ・ユナイト》!」
空間が揺らぎ、金色の光がレヴィア、エイミー、レオナート、砦兵士、王都術士、セレスタの仲間たちへと広がっていく。
その光は皆を結び、“共存”の力へと変わる。
レヴィアも魔法を重ね、静かに口を開く。
「……私も、ノクティアと並んで生きると決めた。
自分のためにも、もう誰も、ひとりきりにさせたりしない」
闇が次第に後退し、アムネリスが驚きと感嘆を混ぜたまなざしで私たちを見つめる。
「これが……犠牲ではなく、調和の魔法……?」
* * *
そのとき、現実世界の王都広場で見守っていた旧知の貴族たちが、はっと息を呑む。
「……あれが、本当にあの“無能”令嬢か?」
「信じられん。もはや王都最高位の大魔導士にも敵わぬ……」
辺境の砦で私を支えてくれた兵士たちが、誇り高く胸を張って叫ぶ。
「ノクティア殿こそ、真の英雄だ!」
かつて蔑み、利用しようとした王都の重臣たちも、圧倒的な魔力と意志に膝を折る。
「これが“覚醒”か……我々は、何を見誤ってきたのだ……」
私はただ静かに微笑む。
「私はもう、誰にも否定されない。“私”であることを、選んだから」
* * *
アムネリスが最後の力を振り絞り、黒い魔法陣を強化する。しかし、その目はどこか優しく、
私たちの選択を見届ける覚悟もにじんでいる。
「ノクティア、レヴィア。これが本当にお前たちの答えか?」
「……他に道なんて、最初からなかったんだと思う」
レヴィアは不器用に肩をすくめ、正面からアムネリスを見返す。
「私は私の人生を選ぶ。ノクティアと肩を並べて立って――それだけだ」
「はい」
私は真っ直ぐ答える。「私は誰も犠牲にしない世界を、仲間とともに作りたい」
アムネリスは静かに微笑み、
「……ならば、私はもう必要ない。これからの世界を、お前たちに託す」と呟く。
銀の髪が夜空に溶けるように舞い、
黒い魔法陣も静かに崩壊し、闇と光が調和しはじめた。
* * *
異世界の裂け目が閉じていく。
王都広場には静寂が戻り、魔素の嵐も止んでいた。
貴族たち、術士たち、すべての人々が私たちの方へ歩み寄る。
「あなたが、この国と世界を救った……」
「ありがとう、ノクティアさん」「ノクティア殿!」
私は皆に微笑んで頷き、
(これが、“新しい世界”の始まり……)
* * *
戦いの後、王都・セレスタ・辺境の代表たちが協力し、
世界の再建と新たな魔導律動の秩序作りに取りかかった。
私たちも各地を巡り、傷ついた人々を癒し、魔素のバランスを整える仕事に尽力する日々が始まった。
「ノクティアさん、これからは一人じゃありません。私も、ずっとお傍にいます」
エイミーがにっこり微笑む。
「セレスタの未来も、あなたと共に歩めるなら本望です」
レオナートも、誇らしげに言う。
カイラスも控えめに微笑み、
「無茶だけはするなよ」とだけ告げてくれた。
* * *
やがて、レヴィアが私の前に立つ。
「……しばらく、外の世界を見てくるとしよう。お前がいなかったら、私はずっと何も変えられなかったかもしれない」
私は静かに彼女の手を取り、固く握り返す。
「必ず、また会いましょう。もう、私たちはひとりじゃないから」
レヴィアが照れ隠しのように目をそらす。
「……だから、ちゃんと前を見て歩けよ。次は負けない」
私たちの間には、もう言葉以上の強い絆が生まれていた。
* * *
夜明けの王都。
私はゆっくりと砦へ向けて歩き出す。
“無能”と呼ばれた日々は、もう遠い昔。
今は、誇りを持って未来を選べる私がいる。
(これが、私だけの未来――)
新しい調和と希望の息吹が、大陸に満ちていく。
王都の空を覆う巨大な裂け目から、闇と光が渦を巻き、現実と記憶領域、さらには異世界が複雑に混じり合う。
地上では、セフィラの核から生まれた異形の魔物たちが暴れ、王都術士、セレスタの精鋭、砦の兵士――
ありとあらゆる仲間たちが必死にそれに抗っていた。
私は、レヴィアと背中を合わせて立っている。二人の力が、かつてなく自然に重なっていた。
「ノクティア、来るぞ……!」
「ええ。私たちで、この運命を終わらせるの!」
空から静かに降りてくる銀色の影――アムネリス。
その姿は神秘的な威厳と、どこか孤独の色をまとっていた。
「ここが“選択”の場だ。血の輪廻か、共存か。お前たち自身の意志で、決着をつけよ」
言葉と同時に、アムネリスの周囲に黒い魔法陣が何重にも展開され、現実世界と記憶領域、異世界が一つに重なり合う。
王都の広場が、永遠の黄昏に包まれたように光と闇に染まる。
* * *
「ノクティアさん! ここは……夢? 現実?」
エイミーがどこか怯えた声で私に駆け寄る。
「全部よ。いまだけは、この世界と“始祖の記憶”と“私たちの未来”が、ひとつになってる」
私はエイミーの手を取り、落ち着いた声で答えた。
「ノクティアさん、守ります」
レオナートが剣を掲げ、後方から応援してくれる。
アムネリスは静かに見下ろしている。
「“力”とは、誰かの犠牲の上に成り立つもの――。私はそう信じ、世界を守ってきた。だが……お前たちの“意志”がそれを超えるというのなら、私を超えてみせよ」
その言葉と同時に、現実・記憶領域・異世界の全てが共鳴し、
無数の黒い魔物と過去の幻影が、私たちの前に立ちはだかった。
「いくわよ、レヴィア!」
「……ああ。こっちはもう、逃げる気なんてない」
二人で詠唱を重ねる。
「《律動解放・セフィラ・ラグナレウム!》」
黄金と蒼の魔法陣が空間を貫き、魔物たちを薙ぎ払い、過去の幻影すら浄化していく。
だが、アムネリスが手をかざすと、魔物はなおも再生し、力は衰えない。
「お前たちの“共闘”だけでは、呪いは終わらぬ。犠牲なき理想など、幻想だ」
私は叫ぶ。「違う! 犠牲の上に立つ平和なんて、何も救わない! 私は……」
ふいに、かつての自分が幻影となって現れる――
“無能”と罵られた少女の私、城館の廊下でうつむいていた日々。
王都の貴族たちが私を冷ややかに見下ろす姿、辺境に追放された絶望。
「……私は、すべてを失ったと思っていた。けど、違った。私の中にしかない“強さ”を、私は選んだ。
支えてくれた人がいた。私を信じてくれた仲間がいた。だから今――」
私は杖を高く掲げ、闇と光の交点に新たな魔法陣を展開する。
「《律動創生・セフィラ・ユナイト》!」
空間が揺らぎ、金色の光がレヴィア、エイミー、レオナート、砦兵士、王都術士、セレスタの仲間たちへと広がっていく。
その光は皆を結び、“共存”の力へと変わる。
レヴィアも魔法を重ね、静かに口を開く。
「……私も、ノクティアと並んで生きると決めた。
自分のためにも、もう誰も、ひとりきりにさせたりしない」
闇が次第に後退し、アムネリスが驚きと感嘆を混ぜたまなざしで私たちを見つめる。
「これが……犠牲ではなく、調和の魔法……?」
* * *
そのとき、現実世界の王都広場で見守っていた旧知の貴族たちが、はっと息を呑む。
「……あれが、本当にあの“無能”令嬢か?」
「信じられん。もはや王都最高位の大魔導士にも敵わぬ……」
辺境の砦で私を支えてくれた兵士たちが、誇り高く胸を張って叫ぶ。
「ノクティア殿こそ、真の英雄だ!」
かつて蔑み、利用しようとした王都の重臣たちも、圧倒的な魔力と意志に膝を折る。
「これが“覚醒”か……我々は、何を見誤ってきたのだ……」
私はただ静かに微笑む。
「私はもう、誰にも否定されない。“私”であることを、選んだから」
* * *
アムネリスが最後の力を振り絞り、黒い魔法陣を強化する。しかし、その目はどこか優しく、
私たちの選択を見届ける覚悟もにじんでいる。
「ノクティア、レヴィア。これが本当にお前たちの答えか?」
「……他に道なんて、最初からなかったんだと思う」
レヴィアは不器用に肩をすくめ、正面からアムネリスを見返す。
「私は私の人生を選ぶ。ノクティアと肩を並べて立って――それだけだ」
「はい」
私は真っ直ぐ答える。「私は誰も犠牲にしない世界を、仲間とともに作りたい」
アムネリスは静かに微笑み、
「……ならば、私はもう必要ない。これからの世界を、お前たちに託す」と呟く。
銀の髪が夜空に溶けるように舞い、
黒い魔法陣も静かに崩壊し、闇と光が調和しはじめた。
* * *
異世界の裂け目が閉じていく。
王都広場には静寂が戻り、魔素の嵐も止んでいた。
貴族たち、術士たち、すべての人々が私たちの方へ歩み寄る。
「あなたが、この国と世界を救った……」
「ありがとう、ノクティアさん」「ノクティア殿!」
私は皆に微笑んで頷き、
(これが、“新しい世界”の始まり……)
* * *
戦いの後、王都・セレスタ・辺境の代表たちが協力し、
世界の再建と新たな魔導律動の秩序作りに取りかかった。
私たちも各地を巡り、傷ついた人々を癒し、魔素のバランスを整える仕事に尽力する日々が始まった。
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エイミーがにっこり微笑む。
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* * *
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