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5章
外伝6「剣士アリシア、恋と友情の大冒険!」
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グランツ砦に春が訪れて、花も人もみんなが浮かれているこの季節――
その朝、砦の隅にひとり、なぜか頬をふくらませている“旅の女剣士”がいた。
「……はあ、まったく……。どうして私、こんなにモテないのかしら!」
アリシア・ルースカ――
カイラスの幼なじみで、王都では“氷の剣姫”と怖れられたはずなのに、
この辺境では子どもたちのお姉さん扱い。最近では、“恋のキューピッド”として砦中に相談役として駆り出される始末だ。
* * *
「アリシア様~!」
サーシャとフレッドが朝っぱらから駆けてくる。
「どうしたの? まさかまた“好きな人に手紙を渡す勇気がほしい”とか?」
「ううん、今日は“好きな人のために料理を作りたい!”って……」
「……あれ、アリシア様の目、ちょっと怖い……?」
(……いやいや、キューピッド業も大事よ、大事だけど……!)
「うん、分かった。任せなさい!」
アリシアは渋々ながらもサーシャの手を引き、今日も恋の指南役に出動するのであった。
* * *
――午前中は子どもたちの恋の悩みを聞き、
――昼には若い兵士に「鍛錬の合間に恋文を渡すタイミング」を指南し、
――午後は村の女の子に「告白のしかた」を伝授。
(ねえ、私って……本当に恋愛指南役? 剣士としての威厳はどこに……?)
すっかり恋愛マスターとして定着してしまい、剣を振る暇もなく砦をぐるぐる。
たまにはカイラスを冷やかしてやろうと広場に行けば――
「アリシア、手合わせでも――」
「団長、ノクティア様のそばを離れないでくださいよ! ほら、みんな見てるし!」
「……お前なぁ」
(なんで私が“恋の監督”みたいな役回りしてるのよ!)
* * *
日が傾き、アリシアは砦の花畑に腰を下ろした。
周りは春の花でいっぱい、奇跡の花もまぶしく咲いている。
(私だって、たまには悩みたい。恋のこととか……昔のこととか……)
ふと、昔の王都のことを思い出す。
自分は強くて、凛々しくて、誰にも頼らず生きていくと決めていた。
けれど、カイラスやノクティアと再会してから――
いつの間にか「誰かと一緒にいる幸せ」がちょっとだけ分かるようになってきた。
* * *
「アリシア様……!」
ふり返ると、エイミーが駆けてきた。
「お願いがあるんです――剣の稽古、つけていただけませんか?」
「え? エイミーが剣なんて……」
「はい! だって、いつかノクティアさんや子どもたちを守れる強い人になりたいから……」
アリシアは思わず吹き出した。
「よし! 任せて! 剣士アリシアの“特訓スペシャルコース”を伝授してあげる!」
砦の隅で、エイミーのへっぴり腰を笑いながらも、
「みんな、ちょっとずつ強くなっていくんだな……」と、胸の奥がポッとあたたかくなる。
* * *
日が暮れて、砦ではちいさな夕食会。
ノクティアが手作りのパンを持ってきて、「今日はありがとう」とアリシアに渡してくれた。
「アリシアさんがいてくれると、私もエイミーも安心できるの」
「うん、わたしも剣がちょっとだけ楽しくなりました!」
「サーシャの恋も進展したって!」
「……なんだか照れるなぁ」
砦のみんなに囲まれて、アリシアはふと、心の奥に小さな涙がにじんでくるのを感じた。
「みんな……ありがとう。
私、昔は“誰かに頼られること”なんて、重荷に思ってた。
でも今は……誰かのために何かできるのが、すごく嬉しいんだ」
カイラスがそっと言う。
「お前は剣だけじゃない。お前のやさしさが、みんなを救ってる」
ノクティアも、優しく微笑んでくれる。
「アリシアさんも、これからずっと、私たちの大切な家族だよ」
アリシアは、照れ隠しに肩をすくめた。
「家族……か。ふふ、なんだか悪くない響きだね」
* * *
その夜、アリシアはひとり砦の塔に登った。
春の星空の下、剣を抜いて軽く振ってみる。
「強くなるって、こういうことなんだな……
私、まだまだみんなに負けないくらい、幸せになってやるから!」
思い切り剣を振ると、星空に向かって大きく叫ぶ。
「砦一番の幸せ者は――私、アリシア・ルースカだーっ!」
静かな夜風に乗って、その声が砦じゅうに響きわたる。
……誰にも頼らないって決めていた“氷の剣姫”は、
今、みんなと一緒に笑い合い、ちょっぴり泣きながら、
本当の幸せを見つけつつある。
* * *
翌朝、サーシャとフレッドがアリシアを起こしに来た。
「アリシア様! 今日も“恋の悩み相談”よろしくね!」
「今度は“友情の応援”もお願い!」
「ちょ、ちょっと待ってよ! たまには私にも恋させて――!」
みんなの笑い声と、春の陽射しに包まれて、
アリシアの新しい一日が始まる。
その朝、砦の隅にひとり、なぜか頬をふくらませている“旅の女剣士”がいた。
「……はあ、まったく……。どうして私、こんなにモテないのかしら!」
アリシア・ルースカ――
カイラスの幼なじみで、王都では“氷の剣姫”と怖れられたはずなのに、
この辺境では子どもたちのお姉さん扱い。最近では、“恋のキューピッド”として砦中に相談役として駆り出される始末だ。
* * *
「アリシア様~!」
サーシャとフレッドが朝っぱらから駆けてくる。
「どうしたの? まさかまた“好きな人に手紙を渡す勇気がほしい”とか?」
「ううん、今日は“好きな人のために料理を作りたい!”って……」
「……あれ、アリシア様の目、ちょっと怖い……?」
(……いやいや、キューピッド業も大事よ、大事だけど……!)
「うん、分かった。任せなさい!」
アリシアは渋々ながらもサーシャの手を引き、今日も恋の指南役に出動するのであった。
* * *
――午前中は子どもたちの恋の悩みを聞き、
――昼には若い兵士に「鍛錬の合間に恋文を渡すタイミング」を指南し、
――午後は村の女の子に「告白のしかた」を伝授。
(ねえ、私って……本当に恋愛指南役? 剣士としての威厳はどこに……?)
すっかり恋愛マスターとして定着してしまい、剣を振る暇もなく砦をぐるぐる。
たまにはカイラスを冷やかしてやろうと広場に行けば――
「アリシア、手合わせでも――」
「団長、ノクティア様のそばを離れないでくださいよ! ほら、みんな見てるし!」
「……お前なぁ」
(なんで私が“恋の監督”みたいな役回りしてるのよ!)
* * *
日が傾き、アリシアは砦の花畑に腰を下ろした。
周りは春の花でいっぱい、奇跡の花もまぶしく咲いている。
(私だって、たまには悩みたい。恋のこととか……昔のこととか……)
ふと、昔の王都のことを思い出す。
自分は強くて、凛々しくて、誰にも頼らず生きていくと決めていた。
けれど、カイラスやノクティアと再会してから――
いつの間にか「誰かと一緒にいる幸せ」がちょっとだけ分かるようになってきた。
* * *
「アリシア様……!」
ふり返ると、エイミーが駆けてきた。
「お願いがあるんです――剣の稽古、つけていただけませんか?」
「え? エイミーが剣なんて……」
「はい! だって、いつかノクティアさんや子どもたちを守れる強い人になりたいから……」
アリシアは思わず吹き出した。
「よし! 任せて! 剣士アリシアの“特訓スペシャルコース”を伝授してあげる!」
砦の隅で、エイミーのへっぴり腰を笑いながらも、
「みんな、ちょっとずつ強くなっていくんだな……」と、胸の奥がポッとあたたかくなる。
* * *
日が暮れて、砦ではちいさな夕食会。
ノクティアが手作りのパンを持ってきて、「今日はありがとう」とアリシアに渡してくれた。
「アリシアさんがいてくれると、私もエイミーも安心できるの」
「うん、わたしも剣がちょっとだけ楽しくなりました!」
「サーシャの恋も進展したって!」
「……なんだか照れるなぁ」
砦のみんなに囲まれて、アリシアはふと、心の奥に小さな涙がにじんでくるのを感じた。
「みんな……ありがとう。
私、昔は“誰かに頼られること”なんて、重荷に思ってた。
でも今は……誰かのために何かできるのが、すごく嬉しいんだ」
カイラスがそっと言う。
「お前は剣だけじゃない。お前のやさしさが、みんなを救ってる」
ノクティアも、優しく微笑んでくれる。
「アリシアさんも、これからずっと、私たちの大切な家族だよ」
アリシアは、照れ隠しに肩をすくめた。
「家族……か。ふふ、なんだか悪くない響きだね」
* * *
その夜、アリシアはひとり砦の塔に登った。
春の星空の下、剣を抜いて軽く振ってみる。
「強くなるって、こういうことなんだな……
私、まだまだみんなに負けないくらい、幸せになってやるから!」
思い切り剣を振ると、星空に向かって大きく叫ぶ。
「砦一番の幸せ者は――私、アリシア・ルースカだーっ!」
静かな夜風に乗って、その声が砦じゅうに響きわたる。
……誰にも頼らないって決めていた“氷の剣姫”は、
今、みんなと一緒に笑い合い、ちょっぴり泣きながら、
本当の幸せを見つけつつある。
* * *
翌朝、サーシャとフレッドがアリシアを起こしに来た。
「アリシア様! 今日も“恋の悩み相談”よろしくね!」
「今度は“友情の応援”もお願い!」
「ちょ、ちょっと待ってよ! たまには私にも恋させて――!」
みんなの笑い声と、春の陽射しに包まれて、
アリシアの新しい一日が始まる。
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