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第2章 矢作、村を出る?!
矢作さんですから***冒険者の呟き…ため息を添えて***
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温泉は正義だ。
昔、そんな言葉を聞いた俺は吹き出していた、そんな昔の自分を今殴ってやりたい。
日本にいた頃は、風呂は良いものだなんて、考えもしなかった。経費節減と時間短縮こそ命の俺にとって如何に素早く水を使わずに出るか。それだけが重要だったのだ。
でも、久しぶりに温泉に浸かった今の俺は違う。確かにラッセル商会を盛り上げる為にこの場所を買った。でも、試しに久しぶりに温泉に浸かった俺の魂は浄化された。大袈裟じゃない。本当にそれ以上の効果があるんだ!!
そう熱弁を奮ったら、草薙のニヤニヤした顔が目に入ってムカついた。懲りないらしいな。よし、今夜のテストは少々難しくしてやるか。お?気づいたらしい草薙の必死の様に笑いが込み上げる。
久しぶりの笑いだ。
あの事件以来、少し忘れていたホッとする時間。
1人じゃ何も出来ない。
改めて思い知る。
この世界に来て、見に合わないスキルを貰って思い上がっていたのだ。こうやって協力者がいて始めて何でも形になる。
初心を思い出しながら、開設祝いのヨモギパンや、野草パンを配る。
あの【のど飴事件】に巻き込まれた人々も駆けつけてくれた。
それが胸に迫る。
おっ、向こうから冒険者のみんなも駆けつけてくれた!!
パンを大量に作り過ぎたんで、残る心配していたけど本当に良かった。何とか在庫は一掃出来そうだな。
さて、開会式の目玉はコレからだ!!
***とある冒険者の驚愕の1日***
冒険者なんて聞くとワクワクする職業かと子供の頃は思ってた。
ホントに小さい頃の事だけどな。
やがて、職にあぶれた者たちの行き着く先だと知る。しかも生活出来るほど稼げるのはホンのひと握り。でも、強い奴らは稼げるけど、生き残る確率は低い。
良いとこ無しの職業だ。
それでもこれしか職のない人間が北地区には多い。自分もその1人だ。
最近、野獣が化け物に変化したとか凶暴化したとかで物騒になった。噂では護衛業の奴らは極端に減ったらしい。
物理的に…だ。
それに伴い俺たちの仕事も、減った。
ドブ掃除は予算が削られたとかで、無くなるし、工事も滅多にない。
外壁の補修工事も危険度が高くて、強い奴しか出来ないときた。
このまま食いっぱぐれか。
そんな最悪の予測は、意外な所から急に好転する。
好転の主、その名は【矢作】さん。
今現在、矢作さんからの依頼を受けて調査で街中の探索中だ。何でも変わった模様を見つけたらそれをメモする。
場所、形、色、大きさetc.多岐にわたる調査依頼は拍子抜けする程簡単だ。それなのに高額依頼とくるから最初はおかしな罠かと誰もが疑った。
『でも、依頼主はあの石鹸の矢作さんだぜ。』
あぁぁ…全員、納得。
石鹸は大発明だ。
そのお陰で助かった命は多い。
張り切って街中の探索をしていた我々に、突然、緊急招集がかかる。
何事だ?
しかも場所はあの【ソルン地区】だと!!
幾ら高額でも誰も受けないだろう。
誰もが嫌な予感に断ろうとしていた時、
ギルマスから
『依頼主は矢作さんだ。オマケ付だと言ってたぞ。』の一言。
急遽、応募者殺到となる。
勿論、俺も参加した。
ソルン地区へ全員がおっかなびっくり近づいたら、有り得ない光景が広がっていた。
あの不気味な街並みはどこいった?!
そんで何で大穴が開いてて、しかも湯気付き?
目を何度も擦るも間違いない。
何?なんだ?
『まあ、矢作さんだから。』
誰かのため息混じりの声に全員が一緒に肩を落として頷いた。いつも通りのこの一言で諦めがつく。付けるしかない。
少し疲れた気がするけど…な。
『ここに温泉街を作る。いや、分かる。何のことか分からんな。俺も同じだが丁寧な設計図と指示書がある。
おい、棟梁はお前か。これを頼む。』
混乱しているらしき顔色の悪いギルマスから、俺に名指しがかかる。
えっ、棟梁??
あぁ、リーダーの事か。
確かに何度か以前の現場で指示を出したけど、何で俺?
『矢作さんのご指名だぞ。』
え、何で??
『お前の作った丁寧な報告書にいたく感動されてたぞ。
とにかく、頼んだ。』
お?、、、あっ、ギルマス逃げたな。
何のことは無い。矢作さん作成の詳しい全員分の指示書がある。それぞれ配れば棟梁とやらの仕事は終わりだな。
ん?これは俺の指示書か?
『各自の進捗状況を確認する。不足している材料があれば申告する??』
ふむふむ…えーと材料は…
『えええーー!!!』
全員がこっちを振り向いたのを苦笑いてやり過ごす。
いけねぇ、大声出ちゃったよ。
でも、この指示書が悪いんだよ。
何??この希少で高価な材料は?
無いよ、どこにもこんなモノ!!
『あ、ムンさん。材料はこちらにご用意しました。確認して指示お願いします。』
いつの間にか後ろに矢作さん登場だ。
『あ、は、はい。矢作様。この材料は本当に使って良いのでしょうか?』
矢作さんの横にいつの間にか、高額材料が山積みだった。
いつの間に??
『これ、本当に使っても…』
もしかして間違えたのかも、と希望的観測を言い出したが。
『いえいえ。こんな材料もっと沢山ありますから!!
それより、あっちには皆様への差し入れがあるので食べて下さい。ケータリングは大切ですからね。』
けーた?
何だ??向こうから凄いいい匂いをさせているご馳走様の事か?
も、もしかして『俺たちの飯ですか?』
『勿論!!』嬉しいけど笑顔が…こ、怖い。
「先輩、顔面凶器炸裂してます。」
「煩い。」
あ、草薙さんもご一緒だ。
なら安心だな。設計図の説明は草薙さんが1番だからな。
『緊急、タイヘン。おいしいはだいせつ。』
と、笑顔の草薙さん。
まあ、もう少し言葉話せると有難いけどな、贅沢は言えない。これほどのご馳走様ならば。
それからの作業は、ご馳走様が効いたのか全員が全力で取り組んで短期間で完成した。
途中から、矢作さんは作業があるからと離席したがその際も材料を山積みにしていった。コレ、少しでも盗んだら大金持ちだぞ。物騒な気がしていたら。
更に物騒な方々がいた。
俺らにはお目にかかれない五大家の護衛さん達。
出し抜いて盗む者もこれで出ないな。
暫くして、1つの街が完成した。小さめだけど何処にも無い珍しい街だ。
しかし、完成した後は俺たちは撤収するのみでこの街がどんな風に人々に使われるのか知る事は無い。
ギルドに帰ってギルマスに報告しつつ、安堵と疲れと引き換えに多額の報酬と交換した。これで暫く飢えとは関係ないな。
ニヤニヤして報酬を数えていたら、ギルマスが皆を呼び止めた。
『お前たち、明後日は【温泉街】の完成披露だ。出席するようにな。』
全員が固まるのを構い無しでギルマスは続けた。
『矢作さんのご馳走様もあるぞ!!オマケ付だと言ったろ?それがコレだ。』
心臓に悪く、そして生涯忘れられない思い出となる開会式。
矢作さんだから。
いつもの呪文を唱えつつ、俺は笑顔満載の1日をおくることになるのだった。
昔、そんな言葉を聞いた俺は吹き出していた、そんな昔の自分を今殴ってやりたい。
日本にいた頃は、風呂は良いものだなんて、考えもしなかった。経費節減と時間短縮こそ命の俺にとって如何に素早く水を使わずに出るか。それだけが重要だったのだ。
でも、久しぶりに温泉に浸かった今の俺は違う。確かにラッセル商会を盛り上げる為にこの場所を買った。でも、試しに久しぶりに温泉に浸かった俺の魂は浄化された。大袈裟じゃない。本当にそれ以上の効果があるんだ!!
そう熱弁を奮ったら、草薙のニヤニヤした顔が目に入ってムカついた。懲りないらしいな。よし、今夜のテストは少々難しくしてやるか。お?気づいたらしい草薙の必死の様に笑いが込み上げる。
久しぶりの笑いだ。
あの事件以来、少し忘れていたホッとする時間。
1人じゃ何も出来ない。
改めて思い知る。
この世界に来て、見に合わないスキルを貰って思い上がっていたのだ。こうやって協力者がいて始めて何でも形になる。
初心を思い出しながら、開設祝いのヨモギパンや、野草パンを配る。
あの【のど飴事件】に巻き込まれた人々も駆けつけてくれた。
それが胸に迫る。
おっ、向こうから冒険者のみんなも駆けつけてくれた!!
パンを大量に作り過ぎたんで、残る心配していたけど本当に良かった。何とか在庫は一掃出来そうだな。
さて、開会式の目玉はコレからだ!!
***とある冒険者の驚愕の1日***
冒険者なんて聞くとワクワクする職業かと子供の頃は思ってた。
ホントに小さい頃の事だけどな。
やがて、職にあぶれた者たちの行き着く先だと知る。しかも生活出来るほど稼げるのはホンのひと握り。でも、強い奴らは稼げるけど、生き残る確率は低い。
良いとこ無しの職業だ。
それでもこれしか職のない人間が北地区には多い。自分もその1人だ。
最近、野獣が化け物に変化したとか凶暴化したとかで物騒になった。噂では護衛業の奴らは極端に減ったらしい。
物理的に…だ。
それに伴い俺たちの仕事も、減った。
ドブ掃除は予算が削られたとかで、無くなるし、工事も滅多にない。
外壁の補修工事も危険度が高くて、強い奴しか出来ないときた。
このまま食いっぱぐれか。
そんな最悪の予測は、意外な所から急に好転する。
好転の主、その名は【矢作】さん。
今現在、矢作さんからの依頼を受けて調査で街中の探索中だ。何でも変わった模様を見つけたらそれをメモする。
場所、形、色、大きさetc.多岐にわたる調査依頼は拍子抜けする程簡単だ。それなのに高額依頼とくるから最初はおかしな罠かと誰もが疑った。
『でも、依頼主はあの石鹸の矢作さんだぜ。』
あぁぁ…全員、納得。
石鹸は大発明だ。
そのお陰で助かった命は多い。
張り切って街中の探索をしていた我々に、突然、緊急招集がかかる。
何事だ?
しかも場所はあの【ソルン地区】だと!!
幾ら高額でも誰も受けないだろう。
誰もが嫌な予感に断ろうとしていた時、
ギルマスから
『依頼主は矢作さんだ。オマケ付だと言ってたぞ。』の一言。
急遽、応募者殺到となる。
勿論、俺も参加した。
ソルン地区へ全員がおっかなびっくり近づいたら、有り得ない光景が広がっていた。
あの不気味な街並みはどこいった?!
そんで何で大穴が開いてて、しかも湯気付き?
目を何度も擦るも間違いない。
何?なんだ?
『まあ、矢作さんだから。』
誰かのため息混じりの声に全員が一緒に肩を落として頷いた。いつも通りのこの一言で諦めがつく。付けるしかない。
少し疲れた気がするけど…な。
『ここに温泉街を作る。いや、分かる。何のことか分からんな。俺も同じだが丁寧な設計図と指示書がある。
おい、棟梁はお前か。これを頼む。』
混乱しているらしき顔色の悪いギルマスから、俺に名指しがかかる。
えっ、棟梁??
あぁ、リーダーの事か。
確かに何度か以前の現場で指示を出したけど、何で俺?
『矢作さんのご指名だぞ。』
え、何で??
『お前の作った丁寧な報告書にいたく感動されてたぞ。
とにかく、頼んだ。』
お?、、、あっ、ギルマス逃げたな。
何のことは無い。矢作さん作成の詳しい全員分の指示書がある。それぞれ配れば棟梁とやらの仕事は終わりだな。
ん?これは俺の指示書か?
『各自の進捗状況を確認する。不足している材料があれば申告する??』
ふむふむ…えーと材料は…
『えええーー!!!』
全員がこっちを振り向いたのを苦笑いてやり過ごす。
いけねぇ、大声出ちゃったよ。
でも、この指示書が悪いんだよ。
何??この希少で高価な材料は?
無いよ、どこにもこんなモノ!!
『あ、ムンさん。材料はこちらにご用意しました。確認して指示お願いします。』
いつの間にか後ろに矢作さん登場だ。
『あ、は、はい。矢作様。この材料は本当に使って良いのでしょうか?』
矢作さんの横にいつの間にか、高額材料が山積みだった。
いつの間に??
『これ、本当に使っても…』
もしかして間違えたのかも、と希望的観測を言い出したが。
『いえいえ。こんな材料もっと沢山ありますから!!
それより、あっちには皆様への差し入れがあるので食べて下さい。ケータリングは大切ですからね。』
けーた?
何だ??向こうから凄いいい匂いをさせているご馳走様の事か?
も、もしかして『俺たちの飯ですか?』
『勿論!!』嬉しいけど笑顔が…こ、怖い。
「先輩、顔面凶器炸裂してます。」
「煩い。」
あ、草薙さんもご一緒だ。
なら安心だな。設計図の説明は草薙さんが1番だからな。
『緊急、タイヘン。おいしいはだいせつ。』
と、笑顔の草薙さん。
まあ、もう少し言葉話せると有難いけどな、贅沢は言えない。これほどのご馳走様ならば。
それからの作業は、ご馳走様が効いたのか全員が全力で取り組んで短期間で完成した。
途中から、矢作さんは作業があるからと離席したがその際も材料を山積みにしていった。コレ、少しでも盗んだら大金持ちだぞ。物騒な気がしていたら。
更に物騒な方々がいた。
俺らにはお目にかかれない五大家の護衛さん達。
出し抜いて盗む者もこれで出ないな。
暫くして、1つの街が完成した。小さめだけど何処にも無い珍しい街だ。
しかし、完成した後は俺たちは撤収するのみでこの街がどんな風に人々に使われるのか知る事は無い。
ギルドに帰ってギルマスに報告しつつ、安堵と疲れと引き換えに多額の報酬と交換した。これで暫く飢えとは関係ないな。
ニヤニヤして報酬を数えていたら、ギルマスが皆を呼び止めた。
『お前たち、明後日は【温泉街】の完成披露だ。出席するようにな。』
全員が固まるのを構い無しでギルマスは続けた。
『矢作さんのご馳走様もあるぞ!!オマケ付だと言ったろ?それがコレだ。』
心臓に悪く、そして生涯忘れられない思い出となる開会式。
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