新訳 美女と野獣 〜獣人と少年の物語〜

若目

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ハッピーエンド?

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「それでもあなたは……ぼくを信じてくださったのですね。自分の命を危険に晒してまで……」
「お前を愛していたからだ。お前への愛があったからこそ、お前の誠意を疑うなんてことはできなかった。それは、お前への冒涜以外の何ものでもないと感じた」
青年が、大きな手でジャンティーの頬を撫でた。
頬に伝わる体温が温かくて心地良い。


「お前が現れたとき、私は悟ったんだ。お前だけはほかの人間たちとは違う。見せかけの美しさや、口先だけの言葉に欺かれない人間なのだと。そして、お前ならきっと私の真実の姿を見抜いてくれる。いつか私にかけられた魔法を解かしてくれると」

「ウォルター様……」
ジャンティーは目の前の青年──ウォルターを夢見心地でうっとりと見つめた。

なぜだろうか。
目の前のこの人を、はるか昔から知っていたような気がする。
それは、ジャンティーがかつて幼かった妹たちに読み聞かせていた物語に登場する、白馬の王子様に似ていたからかもしれない。

そのときは、「あたし、大人になったらこんな人と結婚するのよ!」と息巻いていた妹たちの話を他人事のように聞いていた。

しかし、いま目の前に立っている人を見ると、そんなふうに胸ときめかせる気持ちがよくわかった。

「ジャンティー、お前は私を元の姿に戻してくれた。私に多大なる幸福を与えてくれた。その恩に報いるためにも、これからは私がお前を幸福にしてやる番だ。ここで、この城で私と生きてくれないか?」

「それで構わないのですか?ウォルター様、ぼくは男だし、大して美しくもございませんのに」

愛しい人と暮らせるなら、それは悪いことではない。
しかし、自分は男だし王子様の妻になど相応しくないのではないか。
ジャンティーはそう疑問に思った。

「そんな細かいことを、いまさら気にする必要はない。私はお前を愛しているし、お前は私を愛している。愛する者同士が一つ屋根の下でとも暮らす。ただそれだけだ。何を気にかけることがある?」
ウォルターの手が頬から離れて、今度は両肩に降りてきた。

「そうですね、ウォルター様。ぼく、とても嬉しいです」
自分を見つめる青い瞳がキラキラ輝いているのを見て、ジャンティーは胸が高鳴った。
「お前の父親も、ここに呼び寄せるといい。そのほうがお前もいいだろう?」

「はい。ありがとうございます。ねえ、ウォルター様」
「何だい?」
「ぼく……夢を見ているような気がします」
「ふふふ。違うぞ、これは現実だ」
「嬉しい…」

ウォルターに抱き寄せられて、ジャンティーはそっと囁いた。
突然訪れた幸福の美酒に、すっかり酔っていた。











 ─────────────────────






そんなジャンティーだから、ウォルターが妹たちの名前を一度たりとも口に出さなかったことになど、まるで気がつかなかった。
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