新訳 美女と野獣 〜獣人と少年の物語〜

若目

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第2編 消えた人々の行方

再会

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名前を呼ばれてジャンティーが振り返ると、そこにはよく一緒に仕事をした同僚のモールが立っていた。

「モール…」
「ジャンティー、元気にしてたか?長いこと会わなかったもんだから、病気にでもなったんじゃねえかって心配してたんだぞ!」


ジャンティーは、ひさびさにあった同僚の顔をじっくりと見つめた。
モールは、あの一軒家に住んでいた頃となんら変わっていなかった。

よそから引っ越してきたジャンティーと違い、モールはこの街の出身だった。
かつてのジャンティーと同様、モールはいかにも労働者然としていて、そこがまた懐かしいとジャンティーは思った。

日に焼けた浅黒い肌に、たくましい体つき。
短く切られた黒い髪にエメラルドグリーンの瞳、太い眉や面長気味の顔も、以前のままだ。

モールはこの街の労働者階級出身で、家はあまり裕福ではないと聞いている。
父親は早くに亡くなり、母親も体が弱くて体調がすぐれず働けないため、モールが働いて家計を支えているのだという。

そんな並々ならぬ家庭環境にもかかわらず毎日毎日一生懸命に働くモールに、ジャンティーは大きな敬意を抱いていた。


「…ありがとう。ぼく、大丈夫だよ」
そんなモールに心配していたと言われて、ジャンティーは嬉しくなった。
長いこと会わなかったものだから、忘れられていたらどうしようと思っていたのだ。

「だろうな。ジャンティー、お前なんだか肌艶がよくなった気がするよ。それに、その指輪とかコートとか、中に着てるベストやシャツも……このクラヴァットなんか、絹でできてるじゃないか」
モールがおそるおそる手を伸ばして、ジャンティーの首から下がっているクラヴァットに触れてくる。

「……ああ、いま暮らしている家の旦那さまがくれたんだ」
ジャンティーはとっさにそう答えた。
ウォルターのことや彼に嫁いだこと、その経緯については敢えて言わないでいた。

おそらく、話しても信用されないだろう。
どこにあるかもわからない城や、目に見えない召使い、瞬間移動ができる指輪の話なんて誰が信じるというのか。


「へえ、ずいぶん気前のいい旦那さまなんだな」
モールはクラヴァットに触れていた手を離すと、ジャンティーの爪先から頭のてっぺんまで、値踏みするような視線を向けた。

「うん、まあね……」
モールにそんな視線を向けられたのは初めてのことだったので、ジャンティーは困惑した。

「それで?そんなキレイなおべべ着て、なんで今日はこんなところに?そんな服もらって着れるほどの身分の人間が、こんな僻地に用なんかねえだろ?」
「きみに会いに来たんだよ!」
ジャンティーはモールの右手を両手で包むようにして握った。

「オレに?」
「うん!正確には、きみたちだけどね。ガブリエルやジョワイユ親方は元気かな?」
ジャンティーはよく一緒に仕事していた少年と元雇い主のことを思い出した。

「ああ、さっき仕事終わったばかりなんだけど、親方とガブリエルなら居酒屋にいるよ。会ってみるか?」
モールが親指を立てて、居酒屋の方向を指した。






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