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お泊まり温泉旅行 編
月夜のお風呂
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レストランの個室で穏やかな時間を過ごすと、私たちはもう一度ホテル内を探索した。
今度は、それぞれ気になる本を数冊取って部屋で読むため。
このホテルでは宿泊者共有スペースのソファや椅子で読書を楽しむことも出来るし、自分の部屋へ持ち込んでもいい。
マスクのおかげで他の宿泊客に顔がばれにくいとはいっても、やっぱり部屋で2人きりで過ごすのがいちばん落ち着く。
遥香「さくちゃん、その本の表紙かわいいね」
さくら「うん、すぐ手に取っちゃった。かっきーもその本、すごくキレイだね」
かっきーが手に取っていたのは「世界で最も美しい○○」というシリーズの、写真集みたいな本だった。
かっきーが言うには、私たちの先輩の飛鳥さんがこのホテルでグラビア撮影した時の雑誌で、この本を持っていたらしい。
絵を描くのが好きなかっきーは、美しい絵や写真を見るのが好きみたい。
結局、私は絵本とエッセイを数冊、かっきーはジャンルに関係なくいろんな本を部屋に持ち帰った。
ベッドの上で寝転びながら本を読んだり、窓際の椅子に座ってお行儀良く読んでみたり、たまにかっきーにちょっかいを出してみたり、出されたり…
日々の忙しさを忘れさせてくれるような落ち着いた時間が、ゆっくりと流れていく。
アイドルとして活動する毎日も充実してるし、ありがたいと思う。
それでも、やっぱりこういう時間は必要。
しかも、大好きなかっきーと2人きり。
私の心は幸せで満たされていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2時間ほど部屋でくつろぎながら読書を楽しんだ頃。
私は、持ってきた絵本と短めのエッセイを読み終えた。
(ふぅ…持ってきた本は全部読んじゃったけど、どうしようかな…)
かっきーはどうしてるだろうと思って、ベッドの上でうつぶせになっている彼女に目を向ける。
すると、かっきーは本を開いたまま静かな寝息を立てていた。
(ふふ…かっきー、昨日もお仕事だったからね…おつかれさま…)
穏やかな寝顔を見ているとキスしたくなったけど、起こしちゃうのは悪いので我慢しなきゃ。
そう思って、このまま寝かせておくことにした。
でも、私一人で何をしようかな。
なんとなく部屋を見回すと、カーテンの隙間からかすかな明かりが差し込んでいた。
かっきーも寝ていることだし、部屋の照明を消して静かにカーテンを開けてみた。
すると、露天風呂が月明りに照らされている。
(わぁ…きれい……本に集中してて気付かなかったけど、今日は満月だったんだ…)
一人で部屋を出て新しい本を取ってくるのもちょっと寂しいし、部屋のドアを開ける音でかっきーを起こしたくない。
私は、もう一度客室露天風呂に入ることにした。
館内着を脱いでシャワールームを通り、音を立てないようにそっとベランダへ出る。
ホテルに着いてすぐ入った時は明るかったけど、今は21時過ぎでほのかな月明かりがあるだけ。
(もう夜だし…いいよね…)
私はタオルだけ手に持って、裸のまま身を隠さずにベランダへ出た。
湯船に浸かって空を見上げると、月と無数の星が私を見下ろしている。
東京でも、地元の愛知でもなかなか見れないくらい綺麗な夜空。
すごくきれい。
だけど…
(この景色をかっきーと見れたらなぁ…)
"かっきーも一緒に入らない?"
その一言だけで済むかもしれないのに。
その一歩を踏み出せなかった。
かっきーとの関係で焦ってることはないし、2人のペースで仲を深めていけばいいと思ってる。
でも、今回の温泉旅行が何かのきっかけになって、もう少し先の関係まで進めたら……という期待もあった。
それに、これまで私たちの関係が確実に深まったと思えるタイミングは何度かあったけど。
リードしてくれていたのは、いつもかっきーだった。
初めてのキスだってそうだったし。
下着姿を見せてくれたのも、かっきーからだった。
だから、次こそは私から…という思いもある。
(でも、今回はかっきーをお祝いしてゆっくり休んでもらうのが目的だし…これはこれでいいのかな…)
まるで、優柔不断な自分を許すための言い訳みたい。
でも、焦ることはない。
もう一度そう自分に言い聞かせて、そろそろお風呂を出ようと思った時…
ガチャ…
シャワールームのドアが開いた音がした。
(えっ…?)
驚いて左を向くと、かっきーがベランダに出てくるところだった。
私と同じように、何も身に付けていない姿で…
~続く~
今度は、それぞれ気になる本を数冊取って部屋で読むため。
このホテルでは宿泊者共有スペースのソファや椅子で読書を楽しむことも出来るし、自分の部屋へ持ち込んでもいい。
マスクのおかげで他の宿泊客に顔がばれにくいとはいっても、やっぱり部屋で2人きりで過ごすのがいちばん落ち着く。
遥香「さくちゃん、その本の表紙かわいいね」
さくら「うん、すぐ手に取っちゃった。かっきーもその本、すごくキレイだね」
かっきーが手に取っていたのは「世界で最も美しい○○」というシリーズの、写真集みたいな本だった。
かっきーが言うには、私たちの先輩の飛鳥さんがこのホテルでグラビア撮影した時の雑誌で、この本を持っていたらしい。
絵を描くのが好きなかっきーは、美しい絵や写真を見るのが好きみたい。
結局、私は絵本とエッセイを数冊、かっきーはジャンルに関係なくいろんな本を部屋に持ち帰った。
ベッドの上で寝転びながら本を読んだり、窓際の椅子に座ってお行儀良く読んでみたり、たまにかっきーにちょっかいを出してみたり、出されたり…
日々の忙しさを忘れさせてくれるような落ち着いた時間が、ゆっくりと流れていく。
アイドルとして活動する毎日も充実してるし、ありがたいと思う。
それでも、やっぱりこういう時間は必要。
しかも、大好きなかっきーと2人きり。
私の心は幸せで満たされていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2時間ほど部屋でくつろぎながら読書を楽しんだ頃。
私は、持ってきた絵本と短めのエッセイを読み終えた。
(ふぅ…持ってきた本は全部読んじゃったけど、どうしようかな…)
かっきーはどうしてるだろうと思って、ベッドの上でうつぶせになっている彼女に目を向ける。
すると、かっきーは本を開いたまま静かな寝息を立てていた。
(ふふ…かっきー、昨日もお仕事だったからね…おつかれさま…)
穏やかな寝顔を見ているとキスしたくなったけど、起こしちゃうのは悪いので我慢しなきゃ。
そう思って、このまま寝かせておくことにした。
でも、私一人で何をしようかな。
なんとなく部屋を見回すと、カーテンの隙間からかすかな明かりが差し込んでいた。
かっきーも寝ていることだし、部屋の照明を消して静かにカーテンを開けてみた。
すると、露天風呂が月明りに照らされている。
(わぁ…きれい……本に集中してて気付かなかったけど、今日は満月だったんだ…)
一人で部屋を出て新しい本を取ってくるのもちょっと寂しいし、部屋のドアを開ける音でかっきーを起こしたくない。
私は、もう一度客室露天風呂に入ることにした。
館内着を脱いでシャワールームを通り、音を立てないようにそっとベランダへ出る。
ホテルに着いてすぐ入った時は明るかったけど、今は21時過ぎでほのかな月明かりがあるだけ。
(もう夜だし…いいよね…)
私はタオルだけ手に持って、裸のまま身を隠さずにベランダへ出た。
湯船に浸かって空を見上げると、月と無数の星が私を見下ろしている。
東京でも、地元の愛知でもなかなか見れないくらい綺麗な夜空。
すごくきれい。
だけど…
(この景色をかっきーと見れたらなぁ…)
"かっきーも一緒に入らない?"
その一言だけで済むかもしれないのに。
その一歩を踏み出せなかった。
かっきーとの関係で焦ってることはないし、2人のペースで仲を深めていけばいいと思ってる。
でも、今回の温泉旅行が何かのきっかけになって、もう少し先の関係まで進めたら……という期待もあった。
それに、これまで私たちの関係が確実に深まったと思えるタイミングは何度かあったけど。
リードしてくれていたのは、いつもかっきーだった。
初めてのキスだってそうだったし。
下着姿を見せてくれたのも、かっきーからだった。
だから、次こそは私から…という思いもある。
(でも、今回はかっきーをお祝いしてゆっくり休んでもらうのが目的だし…これはこれでいいのかな…)
まるで、優柔不断な自分を許すための言い訳みたい。
でも、焦ることはない。
もう一度そう自分に言い聞かせて、そろそろお風呂を出ようと思った時…
ガチャ…
シャワールームのドアが開いた音がした。
(えっ…?)
驚いて左を向くと、かっきーがベランダに出てくるところだった。
私と同じように、何も身に付けていない姿で…
~続く~
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