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お泊まり温泉旅行 編
20歳になったし
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ホテル内のあちこちに置いてある本棚を一通り見て回ると、外も暗くなり始めていた。
私とかっきーは夕飯のために1階のレストランへ向かう。
調理場を囲むようにコの字形のカウンター式テーブルが設置されたレストランには、他のお客さんが何組か先に座っていた。
ただ私たちは、
"周りの宿泊客からの視線を気にせず食事を楽しめるように"
というホテル側からの気遣いで、4つしかない個室の1つを用意してもらっていた。
万が一だけど私たちのせいで他のお客さんが食事に集中できなくなるのも申し訳ないと思っていたので、ありがたい配慮だった。
暖色の落ち着いた照明の個室に入って、かっきーと向かい合わせで席に着く。
スタッフさんから手渡されたドリンクメニューを眺めていると。
(どうしよっかな…いつもならソフトドリンクにするけど…)
悩んでいると、かっきーが身を乗り出して顔を近付けてきた。
遥香「ねぇ、さくちゃん…?」
内緒話でもするようなひそひそ声だ。
さくら「なぁに?」
聞き返すと、かっきーはいけない遊びでも提案するような表情になる。
遥香「せっかくだから、お酒で乾杯しない…?」
私もかっきーも同い年で20歳を迎えているので、何を飲もうと全然問題はない。
それをこうやってこっそり提案してくるかっきーが、お茶目でかわいい。
さくら「うん♥️私もそうしよっかなって考えてた」
遥香「へへへ…私たちも20歳になったしね」
普段はお酒を飲むタイミングが分からなくてあまり飲まないほうだけど、今夜は特別な時間だし。
お酒の種類はよく分からなかったのでホテルスタッフの方に相談してみた結果、シャンパンを選んでみた。なんとなくめでたい感じがするので、初めての旅行の記念にもちょうどいい。
コース料理の一品目が運ばれてくるのと同時に、グラスにシャンパンが注がれる。
慣れていない私は、注がれてる間どこを見ていればいいのか分からない。
少し困ってかっきーのほうを見ると私の気持ちが通じたのか、同じように困ったような顔で笑ってくれた。
その笑顔だけで、キュンっと胸がときめいてしまう。
(かっきー……大好き…)
素直にそう思った。
スタッフさんがこの場にいなかったら、言葉にしてすぐにそう伝えたかった。
・・・・・・・・・・・・
食事はコース形式で、一品一品が丁寧に運ばれてきた。
何人かのスタッフさんが料理を運んできてくれたけど、私たちが宿泊していることは皆さん知ってくれているらしい。
芸能人だからといって特別扱いされたり驚かれたりするようなこともなく、かっきーとの食事を楽しむことが出来た。
唯一特別だったことといえば、料理に使われている食材の話で私の地元・愛知県の話題を出してくれたり、かっきーの地元・栃木県の日本酒の話を出してくれたこと。
ホテル側のさりげない気遣いだったんだと思う。
遥香「なんか、嬉しいね…こうやって落ち着いてご飯を楽しめるのって」
さくら「そう言ってもらえると私も嬉しいよ。ずっと頑張ってきたかっきーに何かお祝いしたかったから」
遥香「うん…さくちゃん、本当にありがとね。さくちゃんの写真集が発売されたら、私も盛大にお祝いしようかな!」
さくら「そんな…私に写真集の話なんか全然出てないのに~」
遥香「いやいや、さくちゃんこんなにかわいいんだから、あとはもう時間の問題だよ!」
さくら「え~?そうかな~…」
それからもかっきーは、私の写真集ならどこの撮影地が似合いそうとか、どんな服を着て欲しいとか、そんな妄想話を膨らませていた。
(も~、かっきーのお祝いなのに、私の話ばっかり…でも、かっきーの気持ちが伝わってきて、嬉しいなぁ…)
私は、時々行き過ぎてしまうかっきーの妄想に照れ笑いしながら、幸せな気持ちに包まれていった。
私とかっきーは夕飯のために1階のレストランへ向かう。
調理場を囲むようにコの字形のカウンター式テーブルが設置されたレストランには、他のお客さんが何組か先に座っていた。
ただ私たちは、
"周りの宿泊客からの視線を気にせず食事を楽しめるように"
というホテル側からの気遣いで、4つしかない個室の1つを用意してもらっていた。
万が一だけど私たちのせいで他のお客さんが食事に集中できなくなるのも申し訳ないと思っていたので、ありがたい配慮だった。
暖色の落ち着いた照明の個室に入って、かっきーと向かい合わせで席に着く。
スタッフさんから手渡されたドリンクメニューを眺めていると。
(どうしよっかな…いつもならソフトドリンクにするけど…)
悩んでいると、かっきーが身を乗り出して顔を近付けてきた。
遥香「ねぇ、さくちゃん…?」
内緒話でもするようなひそひそ声だ。
さくら「なぁに?」
聞き返すと、かっきーはいけない遊びでも提案するような表情になる。
遥香「せっかくだから、お酒で乾杯しない…?」
私もかっきーも同い年で20歳を迎えているので、何を飲もうと全然問題はない。
それをこうやってこっそり提案してくるかっきーが、お茶目でかわいい。
さくら「うん♥️私もそうしよっかなって考えてた」
遥香「へへへ…私たちも20歳になったしね」
普段はお酒を飲むタイミングが分からなくてあまり飲まないほうだけど、今夜は特別な時間だし。
お酒の種類はよく分からなかったのでホテルスタッフの方に相談してみた結果、シャンパンを選んでみた。なんとなくめでたい感じがするので、初めての旅行の記念にもちょうどいい。
コース料理の一品目が運ばれてくるのと同時に、グラスにシャンパンが注がれる。
慣れていない私は、注がれてる間どこを見ていればいいのか分からない。
少し困ってかっきーのほうを見ると私の気持ちが通じたのか、同じように困ったような顔で笑ってくれた。
その笑顔だけで、キュンっと胸がときめいてしまう。
(かっきー……大好き…)
素直にそう思った。
スタッフさんがこの場にいなかったら、言葉にしてすぐにそう伝えたかった。
・・・・・・・・・・・・
食事はコース形式で、一品一品が丁寧に運ばれてきた。
何人かのスタッフさんが料理を運んできてくれたけど、私たちが宿泊していることは皆さん知ってくれているらしい。
芸能人だからといって特別扱いされたり驚かれたりするようなこともなく、かっきーとの食事を楽しむことが出来た。
唯一特別だったことといえば、料理に使われている食材の話で私の地元・愛知県の話題を出してくれたり、かっきーの地元・栃木県の日本酒の話を出してくれたこと。
ホテル側のさりげない気遣いだったんだと思う。
遥香「なんか、嬉しいね…こうやって落ち着いてご飯を楽しめるのって」
さくら「そう言ってもらえると私も嬉しいよ。ずっと頑張ってきたかっきーに何かお祝いしたかったから」
遥香「うん…さくちゃん、本当にありがとね。さくちゃんの写真集が発売されたら、私も盛大にお祝いしようかな!」
さくら「そんな…私に写真集の話なんか全然出てないのに~」
遥香「いやいや、さくちゃんこんなにかわいいんだから、あとはもう時間の問題だよ!」
さくら「え~?そうかな~…」
それからもかっきーは、私の写真集ならどこの撮影地が似合いそうとか、どんな服を着て欲しいとか、そんな妄想話を膨らませていた。
(も~、かっきーのお祝いなのに、私の話ばっかり…でも、かっきーの気持ちが伝わってきて、嬉しいなぁ…)
私は、時々行き過ぎてしまうかっきーの妄想に照れ笑いしながら、幸せな気持ちに包まれていった。
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