さくらと遥香

youmery

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さくら1st写真集 編

さくら1st写真集編〜エピローグ〜

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レイ「ねえねえ、さくって独占欲強いほう?」

4期生の控室に入るなり、挨拶もそこそこに質問を投げかけられる。

さくら「え…?ど、どくせんよく?」
美佑「も~、レイちゃん。いきなり訊かれたらさくちゃん困っちゃうって。さくちゃん、あのね…」

レイと一緒に毎週ラジオをやっている美佑ちゃんのフォローはさすがだった。
私が楽屋の隅へ移動して席に着くまでの間に、言葉足らずのレイに代わって説明をしてくれる。

どうやら、さきほど届いたマネージャーさんからのLINEで、次のシングルのタイトルと歌詞が発表されたらしい。移動中だった私は、カバンに入れてて気付かなかった。

かっきーと私がダブルセンターに選ばれた34thシングルのタイトルは、『独り占め』とか『独占する』って意味の英単語。
帰国子女のレイが「ものぉぽりぃ」と、かっこよく発音してくれる。

美佑「それでね、歌詞も読むと独占欲強めの主人公って感じだから、さくちゃんとかっきーのセンター曲にしては意外だなって話してたの。もっと穏やかな世界観の曲になるかなって思ってたから」
レイ「そうそう。でも、『もしかしたらさくにもかっきーにも独占欲強めな一面があるんじゃない?』って、うちらで盛り上がっちゃって。で、さくはどう?」

さくら「え~?どうかな、わかんないけど…」

まだかっきーは来ていないみたいだから、私が先に訊かれているんだろう。

答えるのを誤魔化そうと思ったけど、「歌番組に出たら絶対訊かれるから練習しておこうよ」と押してくるレイの勢いには勝てそうにない。

(かっきーを独り占めしたい、かぁ…わからなくはないけど…)

かっきーはいろんなメンバーと仲が良い。
憧れの先輩である美月さんとご飯へ行ったり、昔から同期で仲良しの柚菜の実家へ行ったりとか。
それを聞いてもそれほどネガティブな感情を持つことはないから、独占欲が強いほうではないのかもしれない。

さくら「私は…独り占めしたいっていうより、相手が私を独り占めしたいって思ってくれるくらい、それくらい好きって思ってもらえたら、嬉しい、かな…?」

レイ「じゃあさくは独占されたいほうだね~。あ、かっきーも来た!」

タイミングよく楽屋に入ってきたすっぴんのかっきーに、レイが駆け寄る。
私の時と同じようにいきなり質問をぶつけるレイを、後ろから追いかけていった美佑ちゃんがすかさずたしなめる。もはやコンビ芸の域だ。

またしても美佑ちゃんのフォローで状況を理解したかっきーが、楽屋を見渡す。

私しか気付かないくらいの一瞬だったけど、かっきーと目が合ったのは気のせいじゃないはず。

遥香「私は正直、好きな人を独り占めしたくなっちゃうかな」
レイ「お!かっきー、大胆発言!!」

かっきーが口にした「好きな人を独り占め」というワードに反応してしまう。
こないだお風呂で「他の誰にも触らせたくない」ってかっきーが言ってくれたこと。
すごく嬉しかったから。

美佑「あ、それなら、さくちゃんとかっきーなら相性ピッタリってことじゃない?」

かっきーと浴室で愛し合ったあの日の夜を思い出し、一人で恥ずかしくなりかけていたところで突然私の名前を呼ばれて我に返る。

レイ「ほんとだ!好きな人に独占されたいさくと、好きな人を独占したいかっきー!お似合いじゃん!」

美佑ちゃんが気付いて、レイが盛り上げる。本当に息がピッタリだ。
レイの元気な声をきっかけに、楽屋にいた他の4期生の目線が私とかっきーを行き来する。

同期からお似合いって言われたのは嬉しい、けど。
みんなからそんな目線を向けられても、反応に困る。

何か言わなきゃと思って言葉を探していると、かっきーが私の元へまっすぐ歩いてきた。
驚いて反射的に立ち上がると、かっきーと目が合う。
向かい合う形になった私たちに、その場にいた全員の目線が集まっている、ような気がした。

(かっきー、この空気、どうするの…?)

ニコッと、かっきーが笑いかけてくれたと思ったら、かっきーの左手が私の右手を優しく包んだ。
そして、みんながいるほうへ身体を向ける。

遥香「次のシングル、これまで先輩たちがやってきたダブルセンターって形で4期生がやらせてもらうのは初めてだし、不安もあるけど…」

誰も予想していなかったかっきーの真面目なトーンに、楽屋の空気が変わった。

遥香「でも私、今回のシングルも楽しい期間になると思うし、大変なことがあってもさくちゃんと一緒なら乗り越えられる気がする。だって、私とさくちゃんって…」

(え…?……え…?!もしかして、今ここで打ち明けちゃうの…?!私たちの、関係…)

予想していなかった展開に、思わず両手に力を込めて身構えていると…

遥香「こんなにお似合いだから♡」

まるで芸能人カップルの婚約発表みたいに、恋人つなぎした手をみんなに見せ付けながら。
茶目っ気たっぷりにかっきーが締めの一言を発した。

すると、みんなの緊張が一気にほどけて、笑いと歓声が生まれる。

レイ「分かってるよ!二人なら大丈夫!」
美佑「うちらもアンダーで盛り上げるから!」
真佑「かっきーヤバいって!矢久保が来たら修羅場になっちゃう!」

みんなの声援に、かっきーが上品に手を振って応える。その姿はまるでプリンセスみたいで、みんなを笑顔に変える魔法を持っているようだった。

(かっきーのこういうところ、本当にすごいなぁ…)

感心と尊敬の眼差しをかっきーの横顔に向けていると…

「それよりさくちゃん…?『独り占めされたい』なんて、みんなの前で簡単に言っちゃダメだよ?」
「え…?」
「さくちゃんを独り占めしていいのは、私だけなんだから…」

顔はみんなの方へ向けたまま、私にだけ聞こえるくらいの声量だった。
同時に、私の右手を包むかっきーの左手に、ぐっ、と力が込められる。

(ふふ…心配しなくても、大丈夫だよ……)

言葉を返す代わりに、同じくらいの力でかっきーの手を握り返す。

(私のこと、ずーっと独り占めしててね…?)

~今度こそ、完~
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