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7話「王太子だった俺がドキドキする理由」最終話
しおりを挟む卒業パーティーのあと、ナディアの冤罪はすぐに晴れたこと。
ラーラは清純な女などではなく、食堂に来る客に色目を使うアバズレだったこと。
王都でラーラが誘拐されそうになったのは、過去にラーラが手酷く振った男の逆恨みだったこと。
僕が卒業パーティーでナディアに冤罪をかけ、公衆の面前でナディアとの婚約破棄したことで、僕は廃太子され王位継承権を剥奪されたこと。
間違いを犯した僕を塔に生涯幽閉するか、地方の男爵領に送るかで一カ月間もめていたこと。
被害者であるナディアが僕の厳罰を望まなかったので、僕はラーラとの結婚が許され男爵領に送られるという比較的軽い罰で済んだこと。
優秀なナディアを手放すのを惜しいと判断した父が、ナディアを弟の婚約者にしたこと。
僕は王都で王位継承権と完璧な淑女であるナディアを捨て、平民の尻軽女と結婚した間抜けと言われていること。
ラーラは男爵領に来てからも男遊びを繰り返していたこと。
ラーラが男爵領で男遊びしている噂はニクラス伯爵領にも届いていたこと……などなど。
ルイスの話を聞いて僕は言葉が出なかった。
ラーラの誘拐未遂はラーラの昔の男の仕業でナディアは無実だった?
僕は生涯幽閉されるところだった?
僕の窮地を救ってくれたのがナディア?
ナディアが弟の婚約者になった??
あまりに衝撃的な事実を次々に突きつけられて、思考がまとまらない。
真実を知らなかったのは僕だけだったのだな。
絶望が胸を支配し、心臓が嫌なリズムを刻む。
僕は……間違ってしまったのか……?
放心状態の僕を残し、ルイスは帰って行った。
僕はラーラの墓地の前からしばらく動けなかった。
☆☆☆☆☆
僕はラーラの死後、屋敷にこもるようになった。
現実を認めたくなかったからだ。
使用人が部屋に食事を持って来てくれるが、トレイに載っているのは硬いパンと豆のスープだけ。
僕が男爵の仕事をしないから、さらに家が貧しくなった。
そのうち僕は悪夢にうなされるようになった。
僕の捨てた者たちが僕をあざ笑う夢を……。
悪魔にうなされベッドから飛び起きることも増えた。
そういう日は、目が覚めた後も胸が騒いでいる。
ラーラと出会った時の心が躍るような鼓動ではない。
肌がジリジリと痛み、唇が乾き、体が小刻みに震える……そんな嫌なドキドキだ。
一人でいると「こんなはずじゃなかったのに……」という後悔が押し寄せてくる。
僕はただ愛する人と一緒になりたかっただけなんだ……。
なのに……すべてを失ってしまった。
――終わり――
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
2022年10月3日、アルファポリスに新作小説を5本投稿しました。
こちらもよろしくお願いします!
※5作品とも女性向け、完結保証、最終話まで予約投稿済みです。
※4作品は異世界が舞台の恋愛小説、1作品は現代が舞台のミステリー小説です。
【連載】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」異世界恋愛
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【連載】「王太子だった俺がドキドキする理由」異世界恋愛
【連載】「また異世界誘拐が流行り始めたんだってよ!」現代/ミステリー
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元王太子の心情がリアルで、短編なのに読み応えありました(∩︎・∀︎・)∩︎
たかっち様
ほめほめの感想ありがとうございます!(*´∀`*)✨✨✨💕💕💕
ですがなろうさんでもアルファさんでもあまりブクマ伸びなかったんですよね💦(;´∀`)
エブリスタの編集さんもたかっち様のように評価してくれたなら、コンテストに受かったんですけどね。💦賞にかすりもしませんでした(ノД`)シクシク