転生したら捨てられたが、拾われて楽しく生きています。

トロ猫

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本編

魔術書のすゝめ

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 昨日は精神的にも疲れていたため、夕食を食べてすぐに寝落ちをしてしまった。
 今日は誰よりも早く起きて、台所へと向かう。
 コップを取り、果汁水を注ぐ。

(ちょっとぬるいかも)

 果汁水に魔法で作った氷を追加する。うんうん。冷たくておいしい。
 夕食の時点で月光さんとラジェはまだ帰宅していなかった。でも、玄関のドアの近くにラジェの靴があるので、あれから帰宅したのだろう。
 それにしても、ずいぶんとラジェの靴が汚れている。転がっていた靴にクリーンを掛け、部屋へと戻る。
 昨日買った魔術書を取り出すと、ベッドに寝転びながら読む。
 中級魔術書の【クリストンの魔法強化法】は、基本初級の魔法の応用が主な内容だった。でも、コスパの話は結構長々と書いてあった。例えば、水魔法……すでに存在する水または水魔法で先に出した水魔法を使って水玉を作るほうが、直接魔法で水玉を出すよりも魔力の消費が低いとあった。
 実際に試してみると、確かにそうだったけど……魔力過多のせいで、魔力の誤差が微妙過ぎてそこまで違いが分からなかった。もしかして、もっと大量な水を使えば違いが明確に分かるかもしれない。
 次に魔法の強化についてだが……その前に魔力の増幅と言う項目があった。そこに、魔力を使い切り増やそうとする行為は精神的にも肉体的にも負荷が重く、過去に同じことを試みようとした魔法使いの魔力が減った事例ばかりだから絶対にやめましょうと警告文が記してあった。

「もうすでに後の祭りなんだけど……」

 どうやら私は知らず知らずに危ないことをしていたようだ。でも、私は魔力が増えたので成功事例ということになる。他のみんなに枯渇気絶を勧めていなくてよかった……
 強化については、例えば土魔法なら同じ魔法を何度もコーティングして強くするというものがあった。試しに普通の土人形と、何層にも薄く同じ魔法をコーティングした土人形を出した。コーティングは土人形二体分以下でできた。
 鉄のハンマーで人形を叩いてみると、普通の土人形をすぐ割れたけど、コーティングしたのは三回ほど叩かないと割れなかった。これは、勉強になった。
 後の内容は、ある程度知っていたことを再確認させてくれる内容だった。

「中級の本は大体分かった。次は上級だね」

 上級の魔術書【属性魔法の応用】には魔法の属性の話が詳しく記されていた。
 土の上位魔法が金属魔法だと書いてある項目に目が留まる。
金属ってかなり広範囲の種類になるのだけど。もしかして、金や銀も出せる……ってことなの? それは絶対にチートだと思う……
 うん、ものは試しだ。

「金、金、金、金こーい」

 ベッドの上で守銭奴ダンスをしながら、金を捻り出そうとしたけどダメだった。何か条件があるってこと? それともこの金属魔法の金属とは鉄のことだけを意味しているのだろうか。それなら鉄魔法と呼んでほしい。
 ちなみに水魔法の上位魔法は氷、火魔法の上位は炎、風魔法の上位は雷だった。上位魔法に関しては、四台元素の魔法のみが記されていた。
 炎魔法が今一度何なのか分からないので試せないけど、雷魔法だったら分かるので試してみる。指を合わせ、風魔法と同じ感覚で雷を連想する。五分くらい唸りながら集中すれば、パチッと指の間に電気が走った。

「で、できた!」

 雷というよりも電流のような気がしたけど、まぁ……いいや。それにしてもあの小さなパチッを出すためだけに使った魔力は、メガライト三個分くらいあったと思う。上手く使いこなすには練習のみかもしれない。
 気になっていた魔力を流し込んで読むページを開く。本屋にいた時より強く魔力を流し込むと、本が強く光りページに文字が現れた。
 そこには、上位魔法を取得するための訓練方法が記してあった。だけど、この訓練方法……ほぼほぼ私が夜の枯渇気絶前でやっていたお遊びの内容だった。本にはもっと真面目に書いてあったが、魔法の個数同時行使や、分離並行遂行、二属性魔法の混合魔法、魔力の瞬発行使――全て心当たりがある……
 地域性の魔法も記されてあった。ラジェの砂の国の砂魔法、森林の多い国に現れる植物魔法、山頂などに住む部族に現れる重力魔法などがあるらしい。著者の注意書きを読む。【地域別の魔法はその地域特有なもので、決して隷属させるようなことはあってはならない】
 どうやらこの本の著者は、地域別の魔法を持つものを少しでも守りたく魔力が高い者しか読めない仕様にしたのかもしれない。
 でも……この地域属性魔法って、もしかして全部使うことができるの?
 目を閉じ、集中しながら植物魔法を使う自分を連想してみる。

「草、草、草生えろ」

 魔力が少し減った感覚がして目を開く。

「へ?」

 部屋中が草原になっていた……
 床だけでなく、壁や天井にベッドまで草が生え散らかしていた。
 トントンと扉がノックされる音が聞こえる。サリさんだ。

「お嬢様、お目覚めになっておられますか?」
「は、はい。でも、まだ開けないでください!」
「……はい。昨晩は湯浴みをされずに眠られてしまったので、朝風呂を準備しております」
「はい! 今、行きます」

 雑草を全て除草して、ドアを開けた。
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