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本編
経験の差
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「あ、あの子供だ。カニはあいつの魔法だ! あいつを狙え」
船長が叫ぶと、急に無数の魔法攻撃が飛んできた。想像していた倍くらいの攻撃魔法が私に集中する。
水魔法のカニたちを跳ねさせ攻撃を吸収した。でも、焦ったことで重力魔法が乱れてしまい、船が激しく揺れる。最初に使った魔力で船を一定に保てるけど、精神的に焦ったりして魔法が乱れると重力魔法に魔力を追加しないといけない。
急いで船を安定させると、次の攻撃が向かってきた。
え、と、ああ! カニ! カニ!
マルチタスクで頭がいっぱいになると、月光さんが私の前に立った。
「焦り過ぎだ」
無数の攻撃魔法を一撃の風魔法で月光さんが吹き飛ばす。
「凄い……」
「魔力の差だ」
大臣の一味が二度目の攻撃を放ったので、私も月光さんと同じように風魔法を吹かせる。すると、全ての攻撃が空遠くへと吹き飛んだ。私の固定観念で彼らと自分の攻撃魔法を同等の力だと思っていたけど、魔力が違うだけでここまで力の差が出てしまうんだ。
月光さんが口角を上げ笑う。
「そうだ。ミリアナのほうが強い。それを忘れるな」
大臣の一味の動きが止まり、戸惑った様子で互いを見始めた。
「お、お前たち! 怯むな!」
大臣が声を裏返しながら後退りする。
「遅い」
月光さんが一気に大臣一味十人を全て風魔法で拘束する。
は、速い……私も月光さんの動きを全部視認できなかったけど、移動した場所には魔力の痕が色濃く残っていた。
リュヤさんと船長は拘束されてもなお、こちらを睨んでいた。
これで終わった……?
月光さんが大臣の首根っこを掴み、船の手すりまで引きずっていく。
「今宵は魚の餌になるのに絶好な夜だと思わないか?」
「ま、ま、またないか! 何が欲しい? エルフとて物欲はあるだろう? 助けてくれるのならなんでもくれてやる。どうだ、金か? 宝石か?」
唾を吐き散らしながら大臣が尋ねる。
「ほう……そうだな。なら、情報だ」
「情報? それで助けてくれるのなら、安いものだな」
大臣が下衆な笑みを浮かべる。
「お前は帝国人であろう? 何故、自国の王女の誘拐などした? 」
「ふん。王は次期後継者を側妃が産み落としたその小娘の兄を指名しようとしている。許し難い事態だ! そんなの許されるはずがない! そんな国はもうすでに帝国ではないのだ」
「なぜそれが誘拐に繋がる?」
「この国の王太子とその娘の婚姻が成立でもしたら、それは確実になる。帝国と王国が深くつながる前にその娘を敵国に引き渡せば、私はそこで高位貴族の地位と金を約束されている。相手側はその娘を大層気に入っている。金はある。私を逃がせば、お前もそんな子供のお守りなどしなくてよいのだぞ、エルフよ」
大臣が私を蔑みながら鼻を鳴らす。
その後も大臣が一人で熱弁しながら交渉を続ける。
「その子供を売るのもいいだろう。魔力はあるがさすがにエルフほどではないだろう。買い手は紹介してやる」
大臣のたわ言を月光さんは終始静かに聞いていた。後ろを向いているので表情は見えないけれど、怒っているのは分かる。だって、少しずつ魔力の漏れ出る量が多くなっているから……
大臣はついに喋ることがなくなり静かになると、月光さんが口を開く。
「無知とは怖いな……自分から爆弾に触りに行く阿呆がいるとは……だが、そうだな。助けてはやる。交渉成立だ」
「そうか、そうか。なら早くこの拘束を解くのだ、エルフよ」
「何を言っている?」
月光さんが大臣を引きずり、他の一味の近くに投げ捨てる。
「おい、エルフ! 話が違うではないか!」
「私はお前が魚の餌にならないように約束通り助けた」
「は? いや、そうではない!」
怒鳴り散らす大臣に月光さんが満面の笑みを見せると、大臣の頬が赤くなった。
月光さんの笑顔に赤面するのは老若男女関係ないようだ。美貌って恐ろしい……
月光さんが清々しい顔で言う。
「さて、ゴミも片付いた。ミリアナ、帰るぞ」
「でも、あの人たちをこの船に置いたままだと死んでしまうので」
「見ろ。王太子の騎士たちだ。あとはあの者たちに任せればいい」
船尾から乗り組んでくる騎士たちが見えた。大臣一味以外の船員は無事に避難したようだ。
安堵のため息をつく。
「無事に終わったんですね」
大臣たちが拘束されてみんなが船から降りたら、重力魔法を解除しよう。他の魔法との並行使用は正直精神を削られた。
オーレリア王女とばあやさんも安堵の表情を互いに向ける。
レオさんの騎士たちが私たちと合流する直前、急に足元から魔力が膨らむのを感じた。
リュヤさんと目が合うと、口角を上げていた。
「ミリアナ!」
月光さんが焦った表情で私に向かって手を伸ばす姿が、スローモーションのようにゆっくりと見えた。
船長が叫ぶと、急に無数の魔法攻撃が飛んできた。想像していた倍くらいの攻撃魔法が私に集中する。
水魔法のカニたちを跳ねさせ攻撃を吸収した。でも、焦ったことで重力魔法が乱れてしまい、船が激しく揺れる。最初に使った魔力で船を一定に保てるけど、精神的に焦ったりして魔法が乱れると重力魔法に魔力を追加しないといけない。
急いで船を安定させると、次の攻撃が向かってきた。
え、と、ああ! カニ! カニ!
マルチタスクで頭がいっぱいになると、月光さんが私の前に立った。
「焦り過ぎだ」
無数の攻撃魔法を一撃の風魔法で月光さんが吹き飛ばす。
「凄い……」
「魔力の差だ」
大臣の一味が二度目の攻撃を放ったので、私も月光さんと同じように風魔法を吹かせる。すると、全ての攻撃が空遠くへと吹き飛んだ。私の固定観念で彼らと自分の攻撃魔法を同等の力だと思っていたけど、魔力が違うだけでここまで力の差が出てしまうんだ。
月光さんが口角を上げ笑う。
「そうだ。ミリアナのほうが強い。それを忘れるな」
大臣の一味の動きが止まり、戸惑った様子で互いを見始めた。
「お、お前たち! 怯むな!」
大臣が声を裏返しながら後退りする。
「遅い」
月光さんが一気に大臣一味十人を全て風魔法で拘束する。
は、速い……私も月光さんの動きを全部視認できなかったけど、移動した場所には魔力の痕が色濃く残っていた。
リュヤさんと船長は拘束されてもなお、こちらを睨んでいた。
これで終わった……?
月光さんが大臣の首根っこを掴み、船の手すりまで引きずっていく。
「今宵は魚の餌になるのに絶好な夜だと思わないか?」
「ま、ま、またないか! 何が欲しい? エルフとて物欲はあるだろう? 助けてくれるのならなんでもくれてやる。どうだ、金か? 宝石か?」
唾を吐き散らしながら大臣が尋ねる。
「ほう……そうだな。なら、情報だ」
「情報? それで助けてくれるのなら、安いものだな」
大臣が下衆な笑みを浮かべる。
「お前は帝国人であろう? 何故、自国の王女の誘拐などした? 」
「ふん。王は次期後継者を側妃が産み落としたその小娘の兄を指名しようとしている。許し難い事態だ! そんなの許されるはずがない! そんな国はもうすでに帝国ではないのだ」
「なぜそれが誘拐に繋がる?」
「この国の王太子とその娘の婚姻が成立でもしたら、それは確実になる。帝国と王国が深くつながる前にその娘を敵国に引き渡せば、私はそこで高位貴族の地位と金を約束されている。相手側はその娘を大層気に入っている。金はある。私を逃がせば、お前もそんな子供のお守りなどしなくてよいのだぞ、エルフよ」
大臣が私を蔑みながら鼻を鳴らす。
その後も大臣が一人で熱弁しながら交渉を続ける。
「その子供を売るのもいいだろう。魔力はあるがさすがにエルフほどではないだろう。買い手は紹介してやる」
大臣のたわ言を月光さんは終始静かに聞いていた。後ろを向いているので表情は見えないけれど、怒っているのは分かる。だって、少しずつ魔力の漏れ出る量が多くなっているから……
大臣はついに喋ることがなくなり静かになると、月光さんが口を開く。
「無知とは怖いな……自分から爆弾に触りに行く阿呆がいるとは……だが、そうだな。助けてはやる。交渉成立だ」
「そうか、そうか。なら早くこの拘束を解くのだ、エルフよ」
「何を言っている?」
月光さんが大臣を引きずり、他の一味の近くに投げ捨てる。
「おい、エルフ! 話が違うではないか!」
「私はお前が魚の餌にならないように約束通り助けた」
「は? いや、そうではない!」
怒鳴り散らす大臣に月光さんが満面の笑みを見せると、大臣の頬が赤くなった。
月光さんの笑顔に赤面するのは老若男女関係ないようだ。美貌って恐ろしい……
月光さんが清々しい顔で言う。
「さて、ゴミも片付いた。ミリアナ、帰るぞ」
「でも、あの人たちをこの船に置いたままだと死んでしまうので」
「見ろ。王太子の騎士たちだ。あとはあの者たちに任せればいい」
船尾から乗り組んでくる騎士たちが見えた。大臣一味以外の船員は無事に避難したようだ。
安堵のため息をつく。
「無事に終わったんですね」
大臣たちが拘束されてみんなが船から降りたら、重力魔法を解除しよう。他の魔法との並行使用は正直精神を削られた。
オーレリア王女とばあやさんも安堵の表情を互いに向ける。
レオさんの騎士たちが私たちと合流する直前、急に足元から魔力が膨らむのを感じた。
リュヤさんと目が合うと、口角を上げていた。
「ミリアナ!」
月光さんが焦った表情で私に向かって手を伸ばす姿が、スローモーションのようにゆっくりと見えた。
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