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おまけ話 うっかり編んだら星空を作ってしまったようです
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「ふんふんふ~♪」
婚約者となったアス様との生活は、相変わらず幸せいっぱいだ。
今日は新しく手に入れた「月光糸」という特殊な毛糸で、何か作ってみようと思う。
「ニニィアネ様~、今日は何を編んでるんですか?」
リリスが紅茶を運んできてくれた。
「えっとね、実は決まってないの。この糸がとても綺麗だから、思いつくまま編んでみようかなって」
キラキラと銀色に光る糸は、見ているだけでうっとりする。
「わぁ、楽しみです!」
編み始めると、不思議なことが起きた。糸が勝手に導いてくれるような感覚。手が自然に動いて、今まで編んだことのない模様が生まれていく。渦巻きと、波紋と、星の組み合わせ。中心から外側に向かって、段々と複雑になっていく模様。
「なんだか、夜空みたい……!」
るんるん、鼻歌をうたって編み続け、二時間ほどで、直径五十センチほどの円形の編み物が完成した。
「できた! これも何かの魔法陣だったりするのかな?」
試しに、壁に掛けてみる。すると——
「きゃっ!」
編み物全体が、淡く光り始めた。そして、その表面に映像が浮かび上がる。満天の星空。本物と見まがうほど美しい夜空が、編み物の中に広がっていた。
「すごい……!」
思わず見とれていると、扉が勢いよく開いた。
「ニニィアネ! 今、強い魔力を感じたが——」
「アス様! 見て見て! 星空ができたの!」
興奮して、アス様の手を引っ張る。
「これは……」
アス様も息を呑む。すぐに城中の使用人たちが集まってきた。
「まあ! なんて美しい!」
「本物の星空みたい!」
「いえ、本物より綺麗かも!」
皆、口々に感嘆の声を上げる。
「ニニィアネ様、天才!」
「さすが奥様!」
褒められて、照れてしまう。
「えへへ……たまたまできちゃっただけで……」
でも、ふとアス様の表情が真剣なことに気づいて首を傾げる。
「アス様?」
「ニニィアネ、これは星空を『映している』のか? それとも『作っている』のか?」
「え? うーん……」
じっと編み物を見つめる。すると、ある星の配置に見覚えがあった。
「あ! これ、今の本物の星空だ! 昨日の夜に見た星の位置と同じ!」
「やはりか」
アス様が編み物に手をかざすと、映像が変わった。
星空から、突然、城の庭園の景色に。
「ええっ!?」
「これは……遠見の魔法の応用か。いや、それ以上だ」
アス様が興奮した様子で説明してくれる。
「通常の遠見の魔法は、術者が直接その場所を見る必要がある。だが、これは違う。任意の場所の映像を、この編み物に映し出せる」
「す、すごいの?」
「すごいどころではない! 世界が変わるぞ!」
アス様が私を抱き上げて、くるくると回した。
「きゃー! また目が回る~!」
「天才だ! 我が妻は天才だ!」
その後、アス様は興奮しながら色々な実験を始めた。
「隣国の首都を映せるか?」
編み物に触れて、念じる。すると、見たこともない賑やかな街並みが映った。
「本当に映った……」
「次は、もっと遠く。人間界の王都なら、どうだ」
また念じると、今度は人間の王都が映し出される。
「これは革命的だ」
アス様が真剣な顔で言う。
「ニニィアネ、分かるか? これがあれば、遠く離れた場所の情報を瞬時に得られる。戦争でも、商売でも、この優位性は図り知れない」
「え、えーと……」
難しい話になってきた。
「さらに言えば、これを各地に配置すれば、領地全体の監視網が作れる。いや、それどころか——」
「んんっ……アス様」
セバスが咳払いをした。
「奥様が困惑しておられます」
「あ……すまない。つい興奮してしまって」
アス様は苦笑すると、優しく頭を撫でてくれた。
「要するに、ニニィアネは世界を変える発明をしたということだ」
「そ、そんな大げさな……」
「情報の価値がひっくり返るような――」
「でもアス様、これ、もっと楽しいことに使えませんか?」
その言葉に、アス様は目を瞬かせた。
「楽しいこと?」
「例えば……」
私は編み物に触れて、想像してみた。
昔読んだ絵本の、美しい花畑のシーン。
すると、編み物の中に色とりどりの花が咲き乱れた。
「わあああ!」
使用人たちから歓声が上がる。
「絵本の世界!」
「夢みたいだねえ!」
次に、海の中を想像してみた。
色鮮やかな魚たちが、編み物の中を泳ぎ回る。
「人魚もいる!」
「あれってイルカ!?」
皆、子供のようにはしゃいでいる。にこ、と私は彼を見上げる。
「ほら、アス様。皆を楽しませることもできますっ」
「……そうだな」
アス様が優しく微笑んだ。
「さすが我が妻。私は実用性ばかり考えていたが、君は人の心を考える」
「だって、魔法は人を幸せにするためにあるんでしょう?」
「ニニィアネ……」
大きな手で持ち上げられ、ぎゅっと抱きしめられた。
「愛している。本当に、心から」
「きゃっ、皆の前で……」
「構わん。皆に見せつけたい。我が妻がどれほど素晴らしいか」
顔が真っ赤になる。でも、嬉しい。
「そうだ!」
リリスが手を叩いた。
「これで劇を見せることもできますね! 遠い国の演劇とか!」
「料理教室も!」
「音楽会も!」
使用人たちが次々とアイデアを出していく。その様子を見ながら、アス様が呟いた。
「やはり天才だな、ニニィアネは」
「もう、また大げさな……」
「いや、本当だ。技術を生み出すだけでなく、それを皆の幸せに繋げる。これこそ真の天才なのだ」
そして、いたずらっぽく笑った。
「ただし、この技術は当分秘密だな」
「え?」
「だって、また人間どもが狙ってくるだろう?」
確かに、父たちがまた来たら面倒だ……。
「それに……」
アス様が耳元で囁いた。
「君の才能をしばらく私だけのものにしておきたい」
「も、もう! 独占欲強すぎです!」
「当然だ。君は私の宝物だから」
またぎゅっと抱きしめられ、ああ、幸せだなあ、と思う。こんなに愛されて、必要とされている。
「あ、そうだ!」
「ん?」
「寝室にも一つ作ろうかな。毎晩、星空を見ながら眠れたら素敵かなって!」
「それは良いな。ぜひ作ってくれ」
「うん! 頑張りますっ!」
「ただし」
アス様がニヤリと笑った。
「二人きりの時は、別の映像を楽しもう」
「べ、別の映像?」
「例えば、君との思い出とか」
「……ロマンチックだけど恥ずかしい!」
賑やかな笑い声が、広間に響く。編み物が繋ぐ、幸せな時間。
これからも、きっとずっと続いていく。
私の編み物と、愛する人と共に――。
婚約者となったアス様との生活は、相変わらず幸せいっぱいだ。
今日は新しく手に入れた「月光糸」という特殊な毛糸で、何か作ってみようと思う。
「ニニィアネ様~、今日は何を編んでるんですか?」
リリスが紅茶を運んできてくれた。
「えっとね、実は決まってないの。この糸がとても綺麗だから、思いつくまま編んでみようかなって」
キラキラと銀色に光る糸は、見ているだけでうっとりする。
「わぁ、楽しみです!」
編み始めると、不思議なことが起きた。糸が勝手に導いてくれるような感覚。手が自然に動いて、今まで編んだことのない模様が生まれていく。渦巻きと、波紋と、星の組み合わせ。中心から外側に向かって、段々と複雑になっていく模様。
「なんだか、夜空みたい……!」
るんるん、鼻歌をうたって編み続け、二時間ほどで、直径五十センチほどの円形の編み物が完成した。
「できた! これも何かの魔法陣だったりするのかな?」
試しに、壁に掛けてみる。すると——
「きゃっ!」
編み物全体が、淡く光り始めた。そして、その表面に映像が浮かび上がる。満天の星空。本物と見まがうほど美しい夜空が、編み物の中に広がっていた。
「すごい……!」
思わず見とれていると、扉が勢いよく開いた。
「ニニィアネ! 今、強い魔力を感じたが——」
「アス様! 見て見て! 星空ができたの!」
興奮して、アス様の手を引っ張る。
「これは……」
アス様も息を呑む。すぐに城中の使用人たちが集まってきた。
「まあ! なんて美しい!」
「本物の星空みたい!」
「いえ、本物より綺麗かも!」
皆、口々に感嘆の声を上げる。
「ニニィアネ様、天才!」
「さすが奥様!」
褒められて、照れてしまう。
「えへへ……たまたまできちゃっただけで……」
でも、ふとアス様の表情が真剣なことに気づいて首を傾げる。
「アス様?」
「ニニィアネ、これは星空を『映している』のか? それとも『作っている』のか?」
「え? うーん……」
じっと編み物を見つめる。すると、ある星の配置に見覚えがあった。
「あ! これ、今の本物の星空だ! 昨日の夜に見た星の位置と同じ!」
「やはりか」
アス様が編み物に手をかざすと、映像が変わった。
星空から、突然、城の庭園の景色に。
「ええっ!?」
「これは……遠見の魔法の応用か。いや、それ以上だ」
アス様が興奮した様子で説明してくれる。
「通常の遠見の魔法は、術者が直接その場所を見る必要がある。だが、これは違う。任意の場所の映像を、この編み物に映し出せる」
「す、すごいの?」
「すごいどころではない! 世界が変わるぞ!」
アス様が私を抱き上げて、くるくると回した。
「きゃー! また目が回る~!」
「天才だ! 我が妻は天才だ!」
その後、アス様は興奮しながら色々な実験を始めた。
「隣国の首都を映せるか?」
編み物に触れて、念じる。すると、見たこともない賑やかな街並みが映った。
「本当に映った……」
「次は、もっと遠く。人間界の王都なら、どうだ」
また念じると、今度は人間の王都が映し出される。
「これは革命的だ」
アス様が真剣な顔で言う。
「ニニィアネ、分かるか? これがあれば、遠く離れた場所の情報を瞬時に得られる。戦争でも、商売でも、この優位性は図り知れない」
「え、えーと……」
難しい話になってきた。
「さらに言えば、これを各地に配置すれば、領地全体の監視網が作れる。いや、それどころか——」
「んんっ……アス様」
セバスが咳払いをした。
「奥様が困惑しておられます」
「あ……すまない。つい興奮してしまって」
アス様は苦笑すると、優しく頭を撫でてくれた。
「要するに、ニニィアネは世界を変える発明をしたということだ」
「そ、そんな大げさな……」
「情報の価値がひっくり返るような――」
「でもアス様、これ、もっと楽しいことに使えませんか?」
その言葉に、アス様は目を瞬かせた。
「楽しいこと?」
「例えば……」
私は編み物に触れて、想像してみた。
昔読んだ絵本の、美しい花畑のシーン。
すると、編み物の中に色とりどりの花が咲き乱れた。
「わあああ!」
使用人たちから歓声が上がる。
「絵本の世界!」
「夢みたいだねえ!」
次に、海の中を想像してみた。
色鮮やかな魚たちが、編み物の中を泳ぎ回る。
「人魚もいる!」
「あれってイルカ!?」
皆、子供のようにはしゃいでいる。にこ、と私は彼を見上げる。
「ほら、アス様。皆を楽しませることもできますっ」
「……そうだな」
アス様が優しく微笑んだ。
「さすが我が妻。私は実用性ばかり考えていたが、君は人の心を考える」
「だって、魔法は人を幸せにするためにあるんでしょう?」
「ニニィアネ……」
大きな手で持ち上げられ、ぎゅっと抱きしめられた。
「愛している。本当に、心から」
「きゃっ、皆の前で……」
「構わん。皆に見せつけたい。我が妻がどれほど素晴らしいか」
顔が真っ赤になる。でも、嬉しい。
「そうだ!」
リリスが手を叩いた。
「これで劇を見せることもできますね! 遠い国の演劇とか!」
「料理教室も!」
「音楽会も!」
使用人たちが次々とアイデアを出していく。その様子を見ながら、アス様が呟いた。
「やはり天才だな、ニニィアネは」
「もう、また大げさな……」
「いや、本当だ。技術を生み出すだけでなく、それを皆の幸せに繋げる。これこそ真の天才なのだ」
そして、いたずらっぽく笑った。
「ただし、この技術は当分秘密だな」
「え?」
「だって、また人間どもが狙ってくるだろう?」
確かに、父たちがまた来たら面倒だ……。
「それに……」
アス様が耳元で囁いた。
「君の才能をしばらく私だけのものにしておきたい」
「も、もう! 独占欲強すぎです!」
「当然だ。君は私の宝物だから」
またぎゅっと抱きしめられ、ああ、幸せだなあ、と思う。こんなに愛されて、必要とされている。
「あ、そうだ!」
「ん?」
「寝室にも一つ作ろうかな。毎晩、星空を見ながら眠れたら素敵かなって!」
「それは良いな。ぜひ作ってくれ」
「うん! 頑張りますっ!」
「ただし」
アス様がニヤリと笑った。
「二人きりの時は、別の映像を楽しもう」
「べ、別の映像?」
「例えば、君との思い出とか」
「……ロマンチックだけど恥ずかしい!」
賑やかな笑い声が、広間に響く。編み物が繋ぐ、幸せな時間。
これからも、きっとずっと続いていく。
私の編み物と、愛する人と共に――。
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