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大家族
義務(ロボットを使う者の責任だ)
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女王とコミュニケーションが取れるかどうかを確かめるべく、エレクシアは話し掛けてみた。
「秋嶋シモーヌ! 私達はあなたと交渉する為に来ました!」
よく通る明瞭な発声で、エレクシアはそう語り掛けた。しかし<返事>はなかった。「ギギギギ、ギギギギ」と警戒音らしい声を発するだけで、エレクシアの言葉の意味を理解するべく思考している素振りさえ見えなかった。
メイトギアは、人間が声を出せなくても表情を作るだけである程度は意図を酌むことができるように作られている。だがそんな彼女にも、この時の女王の表情は何らかのコミュニケーションを取ろうとしている人間のそれではないという判断しか下せなかった。
「やはり、コミュニケーションを取ることは不可能だと判断します。また、群れ全体の反応も把握しましたが、現在の装備で十分に殲滅できる規模です。女王と思しき個体の身体能力も解析、クモ人間と同等かそれ以下だと思われます。
また、取得されたバイタルサインからも、秋嶋シモーヌを模した部分には、頭部の脳以外に重要な器官が満足に機能しておらず、クモ人間とほぼ同じ構造であり、改めて『人間ではない』と確認いたしました。
いかがいたしますか、マスター?」
エレクシアが取得したバイタルサインから判読された内部構造が、タブレットに表示される。それは、まぎれもなくクモ人間と同じものだった。脳以外の重要な器官は腹に集中し、秋嶋シモーヌの姿をした部分は、ただそう見えるだけの<飾り>でしかない……
厳密には人間の形をした部分にも内臓のような器官はあるのだが、殆どが人間の肉体の構造を模した痕跡でしかなく、たとえ僅かに機能していてもあくまで補助的なものでしかない。その象徴的なものが<心臓>だろう。本当の心臓は昆虫のような本体の側にあり、人間のそれと同じ位置にある心臓のような臓器は、血圧を調節するためのものでしかないそうだ。
「メイフェア…すまない……」
エレクシアとの通信はオープンチャンネルでのものだったから、メイフェアが間違いなく傍受していると分かった上で、俺はそう言った。エレクシアから送信された映像もデータも、メイフェアにも伝わっている筈である。
「エレクシア…駆除しろ。秋嶋シモーヌを貶めるその怪物に引導を渡してやれ…!」
そうだ。そいつが秋嶋シモーヌでない以上、怪物の如きその姿は、彼女を貶める存在でしかない。無駄に肉体を緻密に再現したそれは、彼女の心も記憶も持たないただの<猥褻物>だ。死んでもなおこんな辱めを受けるのは、彼女も望んでいないだろう。
「承知しました」
いつものように淡々と応えて、エレクシアは樹上からショットガンを女王へと向けた。まず女王を片付けてから、群れを殲滅する為に。
これから行うことは、<戦闘>ですらない。ただの<害虫駆除>であり、一方的な<殺戮>だ。ここに人間を裁くための法律はないが、もしこれが<罪>だというのなら、俺はそれを背負わなければならない。
それが、ロボットを使う者の義務だからな。
「秋嶋シモーヌ! 私達はあなたと交渉する為に来ました!」
よく通る明瞭な発声で、エレクシアはそう語り掛けた。しかし<返事>はなかった。「ギギギギ、ギギギギ」と警戒音らしい声を発するだけで、エレクシアの言葉の意味を理解するべく思考している素振りさえ見えなかった。
メイトギアは、人間が声を出せなくても表情を作るだけである程度は意図を酌むことができるように作られている。だがそんな彼女にも、この時の女王の表情は何らかのコミュニケーションを取ろうとしている人間のそれではないという判断しか下せなかった。
「やはり、コミュニケーションを取ることは不可能だと判断します。また、群れ全体の反応も把握しましたが、現在の装備で十分に殲滅できる規模です。女王と思しき個体の身体能力も解析、クモ人間と同等かそれ以下だと思われます。
また、取得されたバイタルサインからも、秋嶋シモーヌを模した部分には、頭部の脳以外に重要な器官が満足に機能しておらず、クモ人間とほぼ同じ構造であり、改めて『人間ではない』と確認いたしました。
いかがいたしますか、マスター?」
エレクシアが取得したバイタルサインから判読された内部構造が、タブレットに表示される。それは、まぎれもなくクモ人間と同じものだった。脳以外の重要な器官は腹に集中し、秋嶋シモーヌの姿をした部分は、ただそう見えるだけの<飾り>でしかない……
厳密には人間の形をした部分にも内臓のような器官はあるのだが、殆どが人間の肉体の構造を模した痕跡でしかなく、たとえ僅かに機能していてもあくまで補助的なものでしかない。その象徴的なものが<心臓>だろう。本当の心臓は昆虫のような本体の側にあり、人間のそれと同じ位置にある心臓のような臓器は、血圧を調節するためのものでしかないそうだ。
「メイフェア…すまない……」
エレクシアとの通信はオープンチャンネルでのものだったから、メイフェアが間違いなく傍受していると分かった上で、俺はそう言った。エレクシアから送信された映像もデータも、メイフェアにも伝わっている筈である。
「エレクシア…駆除しろ。秋嶋シモーヌを貶めるその怪物に引導を渡してやれ…!」
そうだ。そいつが秋嶋シモーヌでない以上、怪物の如きその姿は、彼女を貶める存在でしかない。無駄に肉体を緻密に再現したそれは、彼女の心も記憶も持たないただの<猥褻物>だ。死んでもなおこんな辱めを受けるのは、彼女も望んでいないだろう。
「承知しました」
いつものように淡々と応えて、エレクシアは樹上からショットガンを女王へと向けた。まず女王を片付けてから、群れを殲滅する為に。
これから行うことは、<戦闘>ですらない。ただの<害虫駆除>であり、一方的な<殺戮>だ。ここに人間を裁くための法律はないが、もしこれが<罪>だというのなら、俺はそれを背負わなければならない。
それが、ロボットを使う者の義務だからな。
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