1,562 / 2,962
第四世代
玲編 誉達の縄張り
しおりを挟む
新暦〇〇三五年九月二十日
明の縄張り内で姿を隠した龍準は、その後、消息を捉えられなかった。こっちの警戒網の外に出てくれたのならそれでいいんだが、玖号機や拾弐号機を恐れなかったという事実から何とも言えない<予感>めいたものがあり。警戒を緩める気にはなれなかった。杞憂で済めばそれでいいんだ。
そんな風に龍準という懸念材料もありつつ、それでも明は平穏に日々を過ごし、そして毎日、光に絵本を読んでもらいに来てた。
しかも玲と鋭も、一緒の時間を過ごす。
だがこの日、また、龍準の気配を捉えることができた。
<誉達の群れの縄張りの中>
で。
角がメイフェアやイレーネとやり合ったこともあった通り、誉の群れの縄張りは、明のそれと一部重なっている。だから角が侵入してきたんだ。
今回は龍準か。
しかし俺は逆にホッとしてしまった。何しろ、メイフェアが万全の状態で警護に当たってくれているからな。
「メイフェア。なるべく怪我をさせないように追い払ってくれ。ただし、万が一死なせても責任は問わない」
と告げる。
「了解いたしました」
誉達のことにあまり触れずにこれたのは、一にも二にもメイフェアのおかげだ。彼女が完璧に警護してくれるから、あくまで、
<同じパパニアンの群れとの小競り合い>
がある程度で済んでいたから、特に触れなきゃいけないような出来事がなかったんだ。もちろん、高齢の仲間が亡くなったり子供が生まれたりってこともあったが、それらはすべて、誉達自身で対処できることだったしな。
後はまあ、群れの実質的なボスの役目は轟が行ってるって感じなだけか。誉がずっと位置取ってた場所に轟が座して、誉はその後見人みたいな感じになっていたんだ。なので、実質、隠居状態ではある。
ただ時折、仲間内でのもめごとで、最終的に誉が出てこないと収まらない時もあり、そういう意味ではまだ完全に勇退とはいかないようだ。
そんな誉達の平穏を守ってくれている<最強戦力>メイフェアが、龍準の前に立ちはだかる。
すると龍準は、彼女の強さが分かるのか、一気に攻め込んでは来なかった。
慎重に間合いを図るような感じでじりじりと横移動している、角でさえここまで慎重じゃなかった。マンティアンの本能に従って、彼女に襲い掛かったんだ。で、見事返り討ちに。
なのに龍準は、そうじゃなかった。
ちなみに、この事態も有り得ると想定はできていたので、メイフェアにも、龍準にチップを埋め込むためのシリンジ式注入器とチップを携帯してもらっていて、彼女の手にはそのシリンジが握られていたのだった。
明の縄張り内で姿を隠した龍準は、その後、消息を捉えられなかった。こっちの警戒網の外に出てくれたのならそれでいいんだが、玖号機や拾弐号機を恐れなかったという事実から何とも言えない<予感>めいたものがあり。警戒を緩める気にはなれなかった。杞憂で済めばそれでいいんだ。
そんな風に龍準という懸念材料もありつつ、それでも明は平穏に日々を過ごし、そして毎日、光に絵本を読んでもらいに来てた。
しかも玲と鋭も、一緒の時間を過ごす。
だがこの日、また、龍準の気配を捉えることができた。
<誉達の群れの縄張りの中>
で。
角がメイフェアやイレーネとやり合ったこともあった通り、誉の群れの縄張りは、明のそれと一部重なっている。だから角が侵入してきたんだ。
今回は龍準か。
しかし俺は逆にホッとしてしまった。何しろ、メイフェアが万全の状態で警護に当たってくれているからな。
「メイフェア。なるべく怪我をさせないように追い払ってくれ。ただし、万が一死なせても責任は問わない」
と告げる。
「了解いたしました」
誉達のことにあまり触れずにこれたのは、一にも二にもメイフェアのおかげだ。彼女が完璧に警護してくれるから、あくまで、
<同じパパニアンの群れとの小競り合い>
がある程度で済んでいたから、特に触れなきゃいけないような出来事がなかったんだ。もちろん、高齢の仲間が亡くなったり子供が生まれたりってこともあったが、それらはすべて、誉達自身で対処できることだったしな。
後はまあ、群れの実質的なボスの役目は轟が行ってるって感じなだけか。誉がずっと位置取ってた場所に轟が座して、誉はその後見人みたいな感じになっていたんだ。なので、実質、隠居状態ではある。
ただ時折、仲間内でのもめごとで、最終的に誉が出てこないと収まらない時もあり、そういう意味ではまだ完全に勇退とはいかないようだ。
そんな誉達の平穏を守ってくれている<最強戦力>メイフェアが、龍準の前に立ちはだかる。
すると龍準は、彼女の強さが分かるのか、一気に攻め込んでは来なかった。
慎重に間合いを図るような感じでじりじりと横移動している、角でさえここまで慎重じゃなかった。マンティアンの本能に従って、彼女に襲い掛かったんだ。で、見事返り討ちに。
なのに龍準は、そうじゃなかった。
ちなみに、この事態も有り得ると想定はできていたので、メイフェアにも、龍準にチップを埋め込むためのシリンジ式注入器とチップを携帯してもらっていて、彼女の手にはそのシリンジが握られていたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる