死の惑星に安らぎを

京衛武百十

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葬送

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「これでいい。引き金を引いてみろ」

状況が飲み込めないまま、エレクシアYM10に言われた通りにケインが引き金を引くと、ガーン!という爆発音のような激しい音と共に、両腕に自動車でもぶつかったかのような衝撃を感じ、彼は思わず手を放していた。一瞬、腕が抜けたかと錯覚して、自分の両手を見てしまう。肩に痛みまであった。

「これで分かっただろう。今のお前にこの銃はまだ早い」

エレクシアYM10の言うとおりだった。それは、スーパーブラックホーク・1903リプロと呼ばれる四五口径の大型拳銃であり、まだまだ未熟なケインでは発射時の反動で肩が外れる危険性さえあるものだったのだ。それを、エレクシアYM10が支えることで衝撃を緩和しつつ、しかし彼に扱えるようなものではないことを教えたのである。

そんなこともありつつ、一人と一体の放浪は続いた。そして、体が不自由になってしまったエレクシアYM10の代わりにCLS患者の処置をケインが行うようになっていた。彼にそんなことをする義務はないのだが、憐れなCLS患者を安らかに眠らせる為にそれが必要なのだと、彼も実感していたのだ。

また、CLS患者を安楽死させる為にリヴィアターネに投棄されるロボット達の現実も彼は見た。

銃を構えたまま機能を停止したもの、廃棄用のコンテナの中で落着の衝撃で破損したもの、もはや元がなんだったのか全く分からないくらいに細かい機械部品となって地面に散らばったものさえあった。

「恐らく、大型の患畜の群れに遭遇したんだろう。奴らは鈍重だが力だけは強いからな。数が多ければ驚異にもなる」

周囲に残された無数の足跡を見て、エレクシアYM10がそう推測した。トラックや自動車を集めてバリケードにしたと思しきものが突破されたらしい形跡からもそれが窺われた。

特に、スーパーブラックホーク・1903リプロを拾った時に見かけた、顔の左半分を失い、左足のフレームに鉄パイプを括り付けて義足代わりにしたメイトギアの姿は、今のエレクシアYM10の姿とあまりにも重なってしまい、いずれ彼女もこうなるんだということをケインに思い知らせるものとなった。

そういう経験を重ねるうちに、ケインは、わずかながらとはいえ逞しい青年の顔も見せるようになっていった。

そしてある時、郊外の住宅街からさらに離れたところにぽつんと一軒だけ建っていた住宅を訪れた彼は、一体のメイトギアが椅子に座ったまま、まるで眠るように機能停止している光景を見た。

「帰らぬ主人を待ち続けた哀れな奴だ。帰らぬ両親を待ち続けたお前と同じだな……」

そう呟いたエレクシアYM10の顔がどこか寂しそうに、ケインには見えたのだった。

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