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心
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だが、ある郊外の小さな町に来た時、彼は出会ってしまった。
「姉さん…」
思わずそう呟く。食料を確保する為に訪れたスーパーのバックヤードの一室に、十歳には届かないくらいの少女のCLS患者がいたのである。無論、それはケインの姉ではない。よく似た髪型をしてよく似た服を着ただけの別人だ。
しかし、姉の姿を重ね合わせてしまうには十分すぎるくらいの相似点はあっただろう。コンバットルージュを構えたまま、ケインは動くことが出来ずにいた。
撃てばいい。撃つべきだ。相手はCLS患者なのだから。撃つことこそが優しさなのだ。それによって安らかな死を得られるのである。
頭では分かっていた。撃つべきなのだと。だが、いくら頭で分かっていてもそんな簡単に割り切れないのが人間というものだろう。それが心というものだろう。
「邪魔だ。どけっ!」
ケインの体を払いのけるように突き飛ばし、エレクシアYM10がスーパーブラックホーク・1903リプロで少女の頭を打ち抜いた。突き飛ばされたケインは、その光景を見ることはなかった。
「やはり人間は人間か……だが、別にいいさ。人間はそれでいい……」
床に座り込み、うなだれるケインを見て、エレクシアYM10はそう呟いた。
『人間はそれでいい』
彼女の言う通りかもしれない。CLS患者を安楽死させるのは、ロボットに与えられた最後の役目だ。ロボットは、人間にできないこと、人間にはあまりに負担が大きいことを肩代わりする為に存在するのだ。それがロボットの存在意義なのだ。それすら人間自身が自らやってしまうのなら、ロボットは何の為にここにいるのか分からなくなってしまう。現在も数千体を数えるメイトギアやレイバーギアが、決して回収されることもなく、自らが朽ち果てるまでCLS患者の処置を行うという任務を担っている。それを人間に奪われるということは、あまりにも残酷すぎると言えるのかもしれない。
ロボットには心がないのだから気にする必要はないと言えば確かにそうだ。いずれCLS患者もすべて処置される。そうなればやはり、現在、リヴィアターネで稼働している数千体のロボットは結局ただの廃棄物となる。故に総合政府も向こう五年を目途にリヴィアターネへのロボットの投棄を終了させることを予定していた。
その時点で何体のロボットが稼働状態にあるかは分からないが、やがて何の役目も目的も持たず単に朽ちるのを待つだけというロボットを生み出すことは間違いなかった。それもまた、現在のリヴィアターネの現実なのであった。
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しかし、姉の姿を重ね合わせてしまうには十分すぎるくらいの相似点はあっただろう。コンバットルージュを構えたまま、ケインは動くことが出来ずにいた。
撃てばいい。撃つべきだ。相手はCLS患者なのだから。撃つことこそが優しさなのだ。それによって安らかな死を得られるのである。
頭では分かっていた。撃つべきなのだと。だが、いくら頭で分かっていてもそんな簡単に割り切れないのが人間というものだろう。それが心というものだろう。
「邪魔だ。どけっ!」
ケインの体を払いのけるように突き飛ばし、エレクシアYM10がスーパーブラックホーク・1903リプロで少女の頭を打ち抜いた。突き飛ばされたケインは、その光景を見ることはなかった。
「やはり人間は人間か……だが、別にいいさ。人間はそれでいい……」
床に座り込み、うなだれるケインを見て、エレクシアYM10はそう呟いた。
『人間はそれでいい』
彼女の言う通りかもしれない。CLS患者を安楽死させるのは、ロボットに与えられた最後の役目だ。ロボットは、人間にできないこと、人間にはあまりに負担が大きいことを肩代わりする為に存在するのだ。それがロボットの存在意義なのだ。それすら人間自身が自らやってしまうのなら、ロボットは何の為にここにいるのか分からなくなってしまう。現在も数千体を数えるメイトギアやレイバーギアが、決して回収されることもなく、自らが朽ち果てるまでCLS患者の処置を行うという任務を担っている。それを人間に奪われるということは、あまりにも残酷すぎると言えるのかもしれない。
ロボットには心がないのだから気にする必要はないと言えば確かにそうだ。いずれCLS患者もすべて処置される。そうなればやはり、現在、リヴィアターネで稼働している数千体のロボットは結局ただの廃棄物となる。故に総合政府も向こう五年を目途にリヴィアターネへのロボットの投棄を終了させることを予定していた。
その時点で何体のロボットが稼働状態にあるかは分からないが、やがて何の役目も目的も持たず単に朽ちるのを待つだけというロボットを生み出すことは間違いなかった。それもまた、現在のリヴィアターネの現実なのであった。
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