死の惑星に安らぎを

京衛武百十

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遭遇

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メルシュ博士からサーシャを救い出すことを決心したタリアP55SIは、再びアンナの墓に参った後、フィーナQ3-Ver.1911と合流し今後の計画を綿密に打ち合わせる為に、待ち合わせの場所へと電動コミューターを走らせていた。

郊外の幹線道路は道が広く今はまったく自動車さえ走っていないので淡々としたペースで流していたのだが、そんな彼女の目に、思いがけないものが飛び込んできた。道路脇に止められた、軍用車両のベースにも使われている大型の4WD車の傍に、いる筈の無いものがいたのが見えたのである。

「まさか!?」

彼女はそう声を上げて急ブレーキを踏んでいた。その気配に、4WD車の傍にいたそれがハッとした表情で振り返った。

人間だった。それも、十代半ばくらいの人間の少年。

「お前、ロボットだな? ちょうどよかった。車が動かないんだ。見てほしい」

「は、はい。分かりました。私でできることなら」

応えて彼女はコミューターを降り、4WD車に近付いた。それと同時に少年のバイタルサインを取得する。体温、心音、血流、間違いなく生身の人間だ。クローンかどうかはもっと詳細に調べてみないと分からないとは言え、メルシュ博士が作ったクローンがこんなところをうろついているというのは不自然だとも思った。

そんなことを考えつつも言われたとおりに4WD車を見ると、左前輪の向きが明らかにおかしいことを彼女は察した。そこで地面に両手足をついて左前輪の辺りを下から覗き込むと、原因はすぐに分かった。駆動力を伝えるシャフトが折れているのだ。その所為で一番抵抗の少ない折れたシャフトばかりが空転し、他の車輪に動力が伝わらず動かないのだろう。

よく見るとサスペンションも歪んでしまっている。タイヤの摩耗の仕方も偏っているのが分かった。どうやらこの少年が運転していたらしいが、おそらくどこかで足回りをぶつけたにも拘わらずそのまま無理に使っていた感じだろうか。それで限界がきて遂に壊れたというところだと思われる。

「これはもう、部品などを交換しないと駄目ですね。この場では修理は無理です」

タリアP55SIは率直な見解としてそう述べた。すると少年は残念そうに溜息を吐いた。

「そうか…やっぱりな。あいつも言ってたんだけど……」

少年は呟くように言いながら、4WD車の助手席を見る。するとそこに、頭の半分が破損したメイトギアが座っていることにタリアP55SIはようやく気が付いた。少年にばかり気を取られていた上にそのメイトギアが信号を発信していなかったから気付かなかったのだった。

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