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決闘
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そのメイトギアに、タリアP55SIは見覚えがあった。アンナTSLフラウヴェアおよびプリムラEL808と情報を交換した時にその中に記録されていた機体だった。機種名は確かエレクシアYM10。辺境の中小メーカーの製品だったこともあり、彼女が持っていた元々のデータベースにはない機体だった。
しかし、アンナTSLフラウヴェアやプリムラEL808が記憶していた彼女は、違法な改造が施されてはいたが目立った破損はなかった筈だ。しかもよく見れば爆発による破損と思われる汚れも見られる。あのコミュニティーを離れた後で何かがあったということだろう。
するとタリアP55SIに気付いたエレクシアYM10が助手席から降りてきた。
「お前、タリアP55SIとかいう奴だな? まったく。あの時と同じ奴にまた出会うとか、シャレがきついぜ」
そう音声で話し掛けてくる。信号が発信されていないのと合わせ、その辺りの通信機能が失われてるのだろう。全身傷だらけ。右腕は失われ、右脚も表皮部分が失われ人工筋肉が剥き出しになっている。顔の右半分もごっそりと欠落しているという状態を見るに、通信機能が損なわれているのも当然のように見えた。通信機能の多くは頭部に集中しているからだ。
が、そんなエレクシアYM10が左手に持っていたものを見た瞬間、タリアP55SIは飛び退いていた。その彼女がいた位置を、凄まじい速度で通り過ぎたものがあった。弾丸だ。しかも、飛び切り強力なやつ。
ゴングMBKハンドカノンだった。対戦車ライフル弾や対ランドギアライフル弾を打ち出す為の大型拳銃だ。それをエレクシアYM10はグローブボックスに入れていたのだ。この至近距離で直撃を受けては、要人警護仕様のメイトギアであってもひとたまりもない。
「お、おい! 何やってんだ!?」
少年がエレクシアYM10に向かって叫ぶ。それでその行為が少年も与り知らないものだというのが窺えた。しかも、まったく脈絡なく唐突に、エレクシアYM10がタリアP55SIに向けて、
「おいお前! 私と勝負しろ!!」
と叫んだ。それに対して少年がますます混乱しているのが分かる。
だがその時、タリアP55SIは通信を受信していた。
『こいつは私が見つけた人間の生き残りだ。だがこいつの世話にも飽き飽きしてたんでな。お前にくれてやる。ただし、私に勝てればだ!!』
エレクシアYM10からの通信だった。信号は発信できないようだが、通信はまだ辛うじて使えるようだ。かなり出力が低くノイズ交じりではあるものの、聞き取ることはできる。だからあまり使わないのだろう。しかし問題はそこではない。
『やはり、その少年は人間なのですか!?』
タリアP55SIは思わず聞き返していたのだった。
しかし、アンナTSLフラウヴェアやプリムラEL808が記憶していた彼女は、違法な改造が施されてはいたが目立った破損はなかった筈だ。しかもよく見れば爆発による破損と思われる汚れも見られる。あのコミュニティーを離れた後で何かがあったということだろう。
するとタリアP55SIに気付いたエレクシアYM10が助手席から降りてきた。
「お前、タリアP55SIとかいう奴だな? まったく。あの時と同じ奴にまた出会うとか、シャレがきついぜ」
そう音声で話し掛けてくる。信号が発信されていないのと合わせ、その辺りの通信機能が失われてるのだろう。全身傷だらけ。右腕は失われ、右脚も表皮部分が失われ人工筋肉が剥き出しになっている。顔の右半分もごっそりと欠落しているという状態を見るに、通信機能が損なわれているのも当然のように見えた。通信機能の多くは頭部に集中しているからだ。
が、そんなエレクシアYM10が左手に持っていたものを見た瞬間、タリアP55SIは飛び退いていた。その彼女がいた位置を、凄まじい速度で通り過ぎたものがあった。弾丸だ。しかも、飛び切り強力なやつ。
ゴングMBKハンドカノンだった。対戦車ライフル弾や対ランドギアライフル弾を打ち出す為の大型拳銃だ。それをエレクシアYM10はグローブボックスに入れていたのだ。この至近距離で直撃を受けては、要人警護仕様のメイトギアであってもひとたまりもない。
「お、おい! 何やってんだ!?」
少年がエレクシアYM10に向かって叫ぶ。それでその行為が少年も与り知らないものだというのが窺えた。しかも、まったく脈絡なく唐突に、エレクシアYM10がタリアP55SIに向けて、
「おいお前! 私と勝負しろ!!」
と叫んだ。それに対して少年がますます混乱しているのが分かる。
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