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新世界の章
芽吹き始めて
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トニーは、見た目こそシンプルだけど、ロボットに求められる機能の多くはきちんと再現されたロボットだった。多脚式なのも、決して高い技術は使っていなくても必要な機能を確保する為の形態だというのはすぐに分かった。
全長一メートル五十センチ程度のボディから伸びるマニピュレータを兼ねた六本の<脚>はモーターを内蔵したタイヤも備え、舗装された道路なら時速六十キロで走り、必要とあれば人を乗せて移動もでき、荒れ地でも柔軟に踏破し、複雑で細かい作業をこなし、さらにはテーザー銃と樹脂弾頭の弾丸を発射する銃も装備し、家事手伝いから警備・哨戒任務も果たす、マルチロール機だった。私達、メイトギアやレイバーギアの原点のようなロボットだとも言える。
そんなトニーは、真ん中二本のマニュピレーターを伸ばしてリアカーを掴み、牽引してくれた。だから今回はリリア・ツヴァイだけじゃなく、私もリアカーの荷台に座る。さすがに速度を出すと危険なので時速は二十キロ程度だけど、それでも当然、歩くよりずっと早かった。
走り出すとすぐ、田園風景が目に入ってくる。人が生きる為に必要な食料を確保する為のものだ。そこで作業しているのはトニー達だった。畑もそうだけど、これだけのロボットを生産できる体制が出来上がってるという何よりの証拠に、私は何とも言えない気分になってた。
『そうか。新しい人間の世界は、もう芽吹き始めてるんだ』
そんなことを考える。
この辺りまでくると、メイトギアの信号も受信でき始めた。ちゃんとメイトギアも稼働してるんだ。
ここ、惑星リヴィアターネに、CLS患者を<処置>する為に投棄されたメイトギア達が、また、人間の為に働いている。それが何より嬉しかった。
嬉しい…?
ロボットの私が、『嬉しい』…?
人間相手にならそう表現した方が伝わりやすいということで使うこともある言葉だけど、心を持たない筈の私達ロボットは『嬉しいと感じる』ことがそもそもない。
それなのに、嬉しいなんて……
人間にとって好ましいこととそうでないことの区別くらいならロボットだってできる。だけどロボット自身にとって『好ましい』というのは、あくまで人間の幸福に資することができるかどうかだから。
ああ、でも、そうか。ロボットが人間の役に立ててることが改めて確認できたから、それを好ましいことと認識してるという意味では、おかしくないのか。
そんなことを考えているうちにも、高さ五メートルくらいの塀が見えてきた。イニティウムを囲む塀だ。私が最後に見た時のからさらに新しいものになってるのが分かったのだった。
全長一メートル五十センチ程度のボディから伸びるマニピュレータを兼ねた六本の<脚>はモーターを内蔵したタイヤも備え、舗装された道路なら時速六十キロで走り、必要とあれば人を乗せて移動もでき、荒れ地でも柔軟に踏破し、複雑で細かい作業をこなし、さらにはテーザー銃と樹脂弾頭の弾丸を発射する銃も装備し、家事手伝いから警備・哨戒任務も果たす、マルチロール機だった。私達、メイトギアやレイバーギアの原点のようなロボットだとも言える。
そんなトニーは、真ん中二本のマニュピレーターを伸ばしてリアカーを掴み、牽引してくれた。だから今回はリリア・ツヴァイだけじゃなく、私もリアカーの荷台に座る。さすがに速度を出すと危険なので時速は二十キロ程度だけど、それでも当然、歩くよりずっと早かった。
走り出すとすぐ、田園風景が目に入ってくる。人が生きる為に必要な食料を確保する為のものだ。そこで作業しているのはトニー達だった。畑もそうだけど、これだけのロボットを生産できる体制が出来上がってるという何よりの証拠に、私は何とも言えない気分になってた。
『そうか。新しい人間の世界は、もう芽吹き始めてるんだ』
そんなことを考える。
この辺りまでくると、メイトギアの信号も受信でき始めた。ちゃんとメイトギアも稼働してるんだ。
ここ、惑星リヴィアターネに、CLS患者を<処置>する為に投棄されたメイトギア達が、また、人間の為に働いている。それが何より嬉しかった。
嬉しい…?
ロボットの私が、『嬉しい』…?
人間相手にならそう表現した方が伝わりやすいということで使うこともある言葉だけど、心を持たない筈の私達ロボットは『嬉しいと感じる』ことがそもそもない。
それなのに、嬉しいなんて……
人間にとって好ましいこととそうでないことの区別くらいならロボットだってできる。だけどロボット自身にとって『好ましい』というのは、あくまで人間の幸福に資することができるかどうかだから。
ああ、でも、そうか。ロボットが人間の役に立ててることが改めて確認できたから、それを好ましいことと認識してるという意味では、おかしくないのか。
そんなことを考えているうちにも、高さ五メートルくらいの塀が見えてきた。イニティウムを囲む塀だ。私が最後に見た時のからさらに新しいものになってるのが分かったのだった。
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