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新世界の章
小さく見える
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「リリア・ツヴァイなの……?」
私を見詰める見知らぬ女性に向けて、思わずそう問うていた。そんな私にその<女性>は、少し困ったように微笑みながらも頷いた。
「そうだよ。私は、リリア・ツヴァイ。まぎれもなくね」
それを聞いた瞬間、私は察した。
そう。私達は<ロボット>。データさえ保存されていれば、ボディは取り換えが効くロボットなんだ。それはもちろん、リリア・ツヴァイにだって当てはまる。
少し考えれば分かる筈のことだった。それなのに私は、彼女が本当の人間のように振る舞うものだから、いつの間にか忘れてたのかもしれない。
彼女を普通の人間のように思ってしまっていたのかもしれない。
博士が言った。
「以前の体は、やはり他のCLS患者のそれと同じように、機能を失うと塵のように崩れてしまった。クローンを作るにも既に間に合わなかった。
なので、新しい体をと思ったんだが、この辺りではもう既に殆どCLS患者を回収しきってしまっていてね。仕方なく、リルフィーナ君に頼んで、三千キロほど離れたところにまで探しに行ってもらったよ。
ただ、同じくらいの女児のCLS患者がどうしても見つからなくて、申し訳ないが成人女性のそれで代用させてもらったんだ。
今回は私のミスだ。このような事態は十分に想定しうるものだった。それを失念していたのだから、これは当然の対応だよ」
『まったく。命をただのメカニズムと捉えるようなサイコパスの狂人なのに、そういうところだけは相変わらず律儀なんですね。博士』
私も涙で酷いことになってるからか苦笑いになってしまって、そんなことを考えてた。
すると、<大人になったリリア・ツヴァイ>が頭を掻きながら言った。
「私もさっき目が覚めて、詳しい事情はインストール済みだったからすぐに理解できたけど、さすがに驚いちゃった」
その口ぶりも仕草も、間違いなく私が知っているリリア・ツヴァイだった。
私のAIの、<リリア・ツヴァイとして動作している領域>にアクセスすると、確かに彼女だった。
「良かった……本当に良かった……」
ヘナヘナとその場に完全に座り込んで、私はまた泣いていた。こんなに涙が止まらないものだなんて、知識としてはあったけど、まさかロボットの自分がそれを経験することになるなんて思ってもみなかった。
そんな私に、リリア・ツヴァイが手を差し伸べてくる。子供のそれだった手は、すっかり大人の女性のものになっていた。
「なんか、変な感じだね。リリアテレサがすごく小さく見える」
「あなたが大きくなっただけだよ、リリア・ツヴァイ」
本当なら私が人間を支えないといけないのに、人間の体を持つ彼女に支えられて、私はようやく立ち上がったのだった。
私を見詰める見知らぬ女性に向けて、思わずそう問うていた。そんな私にその<女性>は、少し困ったように微笑みながらも頷いた。
「そうだよ。私は、リリア・ツヴァイ。まぎれもなくね」
それを聞いた瞬間、私は察した。
そう。私達は<ロボット>。データさえ保存されていれば、ボディは取り換えが効くロボットなんだ。それはもちろん、リリア・ツヴァイにだって当てはまる。
少し考えれば分かる筈のことだった。それなのに私は、彼女が本当の人間のように振る舞うものだから、いつの間にか忘れてたのかもしれない。
彼女を普通の人間のように思ってしまっていたのかもしれない。
博士が言った。
「以前の体は、やはり他のCLS患者のそれと同じように、機能を失うと塵のように崩れてしまった。クローンを作るにも既に間に合わなかった。
なので、新しい体をと思ったんだが、この辺りではもう既に殆どCLS患者を回収しきってしまっていてね。仕方なく、リルフィーナ君に頼んで、三千キロほど離れたところにまで探しに行ってもらったよ。
ただ、同じくらいの女児のCLS患者がどうしても見つからなくて、申し訳ないが成人女性のそれで代用させてもらったんだ。
今回は私のミスだ。このような事態は十分に想定しうるものだった。それを失念していたのだから、これは当然の対応だよ」
『まったく。命をただのメカニズムと捉えるようなサイコパスの狂人なのに、そういうところだけは相変わらず律儀なんですね。博士』
私も涙で酷いことになってるからか苦笑いになってしまって、そんなことを考えてた。
すると、<大人になったリリア・ツヴァイ>が頭を掻きながら言った。
「私もさっき目が覚めて、詳しい事情はインストール済みだったからすぐに理解できたけど、さすがに驚いちゃった」
その口ぶりも仕草も、間違いなく私が知っているリリア・ツヴァイだった。
私のAIの、<リリア・ツヴァイとして動作している領域>にアクセスすると、確かに彼女だった。
「良かった……本当に良かった……」
ヘナヘナとその場に完全に座り込んで、私はまた泣いていた。こんなに涙が止まらないものだなんて、知識としてはあったけど、まさかロボットの自分がそれを経験することになるなんて思ってもみなかった。
そんな私に、リリア・ツヴァイが手を差し伸べてくる。子供のそれだった手は、すっかり大人の女性のものになっていた。
「なんか、変な感じだね。リリアテレサがすごく小さく見える」
「あなたが大きくなっただけだよ、リリア・ツヴァイ」
本当なら私が人間を支えないといけないのに、人間の体を持つ彼女に支えられて、私はようやく立ち上がったのだった。
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