最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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3章

90話 登山は行って帰るまで

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「食糧問題って大事だな」

 ゼイテの東エリア2-1手前でむしゃむしゃと焼いた肉を貪りながら回復。塩手に入れておいてマジで良かった。


名称:塩焼肉×18
詳細:満腹度を30%回復 塩振って焼いただけの骨付き肉


「MREじゃないだけで感動だわ」

 満腹度を回復してからエリアチェンジ。通算5度目の東エリア2-1にやってくる。レベルが低い時でも特に問題なく……ではないが、かなり立ち回れていたのは此処までだ。


東エリア2-1
Lv18 コボルト戦士
Lv19 黒蟲
Lv20 ボーデンドラゴン
Lv22 スライム
Lv23 ワイルドウルフ


 意外と面子が変わらないので突破は容易かった。スライムと黒蟲はノンアクティブなので3匹のアクティブモンスターに気を付けていけば結構大丈夫だったのは確かだ。
 だとしても下手に音を出したり余計な事をしなければ気を付けるものはない。

 まあビジュアル的に黒蟲が最強とも言えるだろうけど。

「ただ、私って見た事殆どないのよねぇ……リアルなゴキって」

 黒蟲、でかいゴキブリがかさかさ動いている。
 人生で数度しか見た事ないし、何なら超能力少年が出てるゲームとか竜に変身できるゲームに出てくる奴の方が見た回数が多いくらいだ。
 まあ死んで転がっているのしか見た事なかったが、嫌悪感が凄いのは確かだった。

「不快感って言うか嫌悪感が凄いなあ……すぐに沸いてくる本州ってこえーわ」

 一応何度か戦ってみたわけだが、問題なし。そういえば頭を斬っても1週間くらい生きるらしいね。
 死ぬ原因が頭が無くなったから餓死するっていうよくわからない理屈らしいが。

「まあ、今更レベルの上がった私にとっちゃ特に苦戦する相手はいないんだけど」

 狼のパターンは犬と変わらないのでいつも通り。コボルトも前よりも強く当たる事が出来るので体勢を崩しやすくなったので対処がそこそこ楽に、ボーデンドラゴンのほうもレベル上昇とステアップ、防具が揃えれたので前よりは倒しやすくなった。
 そんなわけでさっくりと片付けて先に進む。ちなみに安全地帯に関しては2-2と2-3の間にある。そっちまでいってリスポン地点を更新しようと思ったが、物資が無くなった状態で引き戻るってなかなか難しいのでゼイテに設定したままだ。



「問題はこっからな訳よ」

 4度死に戻りしたのがこのエリア、東エリア2-2になる。


東エリア2-2
Lv20 人食い兎
Lv21 オーク(棍) 
Lv24 黒鉄鷲
Lv25 シュッペエーパ
Lv27 ブラッドウルフ


 人型相手としてまずオークがきつい、単純にパワータイプで棍棒を振り回してくるので一撃貰うと大体瀕死になる。受け防御すると吹っ飛ばされるので防御すら出来ないので回避するしかない。
 この中じゃ低レベルなのでそこそこの数がいるというのもネックになる。
 
 次に厳しいのが黒鉄鷲、空から急襲してくるので不意打ちを貰う上に素早い。攻撃力がなかなか高いのでオークとの戦闘中にやられると一気に厳しくなる。
 
 で、シュッペエーパ、鱗付きの猪で装甲が硬いうえに素早い、突進攻撃メインなのでいつもの猪相手のテンプレ動きで対処する。
 
 狼に関してはさらに素早く、攻撃力が高くなったので受け防御を仕切れないとかなりのHPを持っていかれる。
 
「人畜無害なのはお前だけよ」

 とか言うけど思いっきり名前は物騒な人食い兎。特殊アクティブ系で戦闘中に絡んでくる奴だ。まあレベルは低い方なのでこれもいつものテンプレ動きで問題なし。

「とは言え、厳しいのは変わりないわけだが」

 とにかくここからはいつもの様にごり押してどうにかと言う感じでは通じない。
 
 たまたま発見したボスが隠しだとか、低確率出現のレア強力装備がドロップするとか、何かとりあえずいい感じにご都合主義な展開が起きて超余裕に……なるわけないので自分の立ち回りを見直しながら進む。

「悪い癖なんだよなあ、受け防御」

 受け防御を発見した時は天才だと思っていたが、やはり攻撃力と言うか勢いの強い攻撃は受け切れないし、素早い敵だと受け返しが間に合わない。そもそもガンナー自体が後衛職なので前衛職と同じ動きをすればそりゃきついに決まってる。
 肉薄しながら銃剣でちくちくし、じっくり確実に削っていくのがガンナーの接近戦だと思う。勿論AGIのステータスを上げればその分の動きは出来るだろうけど、3極型だからレベル帯としては低い方だし、ちょっと無理したらすぐやられる。

「だからこそ立ち回りって大事なのよねぇ」

 ダンジョンのポイントも水銀のデータを貰った時に一緒に受け取っていたので、場所については問題なし、問題としてはそこまで行くのがきついってだけだから?
 囲まれてボコられるくらいなら一体ずつ確実に倒して、自動回復を使いつつじっくり先に進むのをメインに据えて先に進む、全部ガン無視して走っていくのも手だが、所謂迷惑行為に当たるMPK(モンスタープレイヤーキラー)は避けておきたい。
 此処の運営、結構罰則とかの対処が早いから、ログを取られたら一発で垢BANかロックされると思う。余計な事をし無駄ないざこざは避けておきたい。
 
「基本物陰に隠れて、避けられそうにない時は相手をする、受け防御はなるべく控えて避けて攻撃」

 ぶつくさ言いながら目の前にやってくる狼の攻撃をいつもの様にパイプライフルを構えて迎撃するわけだが、いつもは噛みつきを銃を横にして一度受けていたが、半身に構えたまま銃剣を突き出す形でびしっと構える。
 
「よーし、いい子だな」

 飛び掛かってくるのに合わせ銃剣を構えつつ片足を軸に回転し、避けた勢いのまま銃剣を振るって一撃。皮と肉の斬れる斬撃音をさせ、また狼の方へと向き直る。

「思い付きのわりに案外動けるじゃない?」

 スキルメニューを展開してから銃剣と銃格闘のスキルをLv2つ分上げる。おっと、銃剣は頭打ちか……SLv最大にすると付加能力が付いたりするものだが、単純に火力と命中にボーナスか。


スキル名:銃剣 レベル:5(MAX)
詳細:【パッシブ】銃剣を使う際の行動に大きく補正
  :銃剣ステータスの攻撃命中にそれぞれ+10


「何だ、さっさと上げておいた方が良かったか」

 まあ気合避けしなきゃならないのは変わらないわけだが、それでも少しでも倒しやすくなるならいい事だ。まあ、あまり回転避けするのはバランス崩したり、相手を一瞬見逃すからあまり多用は出来んな、堅実に避け、受けて狼をなぎ倒す。
 ……のを数十分続けて、やっと一体倒す。一回り上の相手を倒すってやっぱり大変だわ。パイプライフルを杖代わりにしつつ思い切り息を吐き出して一息。

「山行ったらもっときついんだろうかね」

 何だかんだで近づいてきたダンジョンを眺める。
 うん、山だな、登山なんてしばらくやった事もないなあ……アウトドアしないのにゲーム内でアウトドアしているよ。……一番最後に山を登ったのは手の甲に三角形のマークが出てくる勇者のゲームをした時だったかな。雪山の祠探すのマジで苦痛だったわ。

「もうちょっと、もうちょっとなんだ」

 ダンジョンの山を見つめてパイプライフルを握りなおして歩みを進める。


東エリア2-2 ステイル山
攻略推奨レベル30
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