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12章
317話 地盤を固める
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さて、これで商人連中が私の所を目の敵にしているってのは確定で、証拠を集めてまたBANしてもらうかな……とは言え此処まで聞いて少し引っかかる事もある。簡単に言えば私の知らない間に色んな所で売り歩いている割には手広過ぎる。
今の人口が前にも言った通り最低5万はいるとして、商人クランの連中がどれくらいいるのかって話もあるし、その商人クラン、1つでやっているのかって所もある。火炎瓶自体のレシピはアルコールの入手手段さえ分かればかなり簡単に作れる。そもそも、商人クランが競合しているかって話にもなってくる。
対人イベントの時に大っぴらに火炎瓶と爆弾を投げまくって「こういうのが作れる」と、T2Wにおける自由度を知らしめたってのはある。
「敵の数を把握できないってのは中々難しい」
焙烙玉をポンコツ集団に投げ込んでやると慌てて逃げる奴、蹴るなり殴るなりキャッチしてモンスターの方へと投げ込む奴、経由してポンコツに投げる奴と色々いるわけだが、それを楽しみつつ葉巻の紫煙を辺りに燻らせつつ、今後を考える。
私に対してガチガチに対抗策を練って火炎瓶の売上を掠めている……って訳でもない気がする。何て言うかこう、売っている団体が何個かいて、その中であっちはあれだ、こっちはこうだとシノギを削り合っている感じがある。
火炎瓶を売っているけど、他に誰が売っているかは知らない、でも売っているのは結構な人数がいる。だから売ってる奴はとにかく敵!って考え方も出来るな。
「ま、もうちょっと敵が分かってこないと手が出ないわねー……露店の時は名前がっつり出てたから手が出たけど」
おっと、今持っている焙烙玉は全部なくなったか。
「それじゃあ今日は終わりな?」
気が付けば周り含めて爆発でクレーターは出来ているし、地面剥き出しになってるわ、ポンコツとそのファンはぐったりして息を整えている。あれくらいでへばってくると、うちのクランじゃ過労死するわ。
「ボスの鬼!悪魔!人でなし!」
「大丈夫よ、死なない様にちゃんと考えてるから」
大体動き方見たらそいつがどう対応できるかって確認してるんだから、何も考え無しに投げているのはポンコツに向けてくらいだって。
「それにあんた達が張り切ったからこの辺のモンスターは一掃出来たみたいだし?」
結構しっかり動いてくれるから、うまい具合にモンスターも片付けられたし、非常にベネ。何だかんだでポンコツのファンも動ける奴が多いのもあって非常に楽しく花火大会が出来たわ。
「とりあえず今回の襲撃イベントもそろそろ終わるし……ポンコツ、折角来てもらったんだし、うちのクランハウスのツアーでやっていきな、見るだけなら許可してやるから」
「え、いいの?」
「パーティーとグループ組んだ奴だけな」
手がドリルになるんじゃねえのかってくらいにぐりぐり掌返しながら私の方に抱き着いて来ようとするので頭を抑えて、わかったわかったと言いつつさっさと行けと言う様に手を払う。別れ際にあのファン連中がやけにこっちを見てきたが、そいつらにも手をぷらぷら振ってやって見送り、一息。
とりあえず今日の襲撃で私の相手がどういうのか少しずつだがはっきりしてきたのはでかい。
あのポンコツファンの中に取引した経験がある奴がいたというのも、ちょっと出来過ぎた話ではあるが、手広くやっているというのを考えればそう言うのに出くわすってのもあり得る話か。
「やるならやるで私だけにしてほしいんだけどなあ」
最初に喧嘩を売ったのは向こうだけど、あの時は個人狙い。その時に作ったクランではあるけど、その後のイベント含めて悪目立ちしたのもあるが……私ってそこまで目立って動いてる事あんましなかった気がする。何だったら規模含めてパチもんの方が目立っているくらいだけど、あっちにも根回ししに行かないと……。
「なるべくうちの連中には余計な心配させたくないわねぇ」
葉巻の紫煙をぷはーっと吐き出しつつ、フレンドリストを確認してから帰還スクロールで街に戻る。
「こうやってみると私の交友って狭いと思わない?」
「いきなりどうしたんですか」
「出来るプレイヤーに初めに当たって、なおかつ自前でクランを持つとフレンドの新規開拓って難しいでしょ」
犬野郎の所にやってきて葉巻の紫煙を吹かしつつ、ちょっとした情報交換。
襲撃イベントは街に戻って在庫を補充していたら終わっていたので、終わり際の犬野郎を捕まえてクランハウスに転がり込んでいる。
「どこどこの誰誰ですって紹介された方が信用があるじゃん?」
「それで私の所をだしにするわけですか」
「ご名答」
まあ、よくわかってるよ。
「良いですけど、私はこれから出るので弟でも良いですか?」
「案内してくれりゃいいよ、わたしゃ」
「じゃあ伝えておくので、30分後にエルスタンの転移地点で」
了解と、一言伝えてその場を後に。
だらだらと人の家なり溜まり場で待っているのって好きじゃないんだよね。
そんなわけで30分後。
「美人とデートの割に格好がなあ」
「ダメですか?」
実は知らないところでクランを行ったり来たりしている犬耳ショタ。うちのクラン内部の事も結構知っているらしいし、なんだったらサイオン姉妹とも仲がいいって。
それはさておき、犬耳ショタの格好だが、魔法使いといえばのようなローブを基本に、色々と装飾を施している。主装備の杖もよくある物理で殴った方が強いだろって言われるような握り拳がついてるようなやつではなく、指し棒のようなスラッとしたやつだし、結構おしゃれではある。
なのだが、バッチリスーツで決めている私の隣だと浮いてるな。
「まずは服だな……ファンタジーのRPGとしては良いけど、私が気に入らん」
「み、見た目装備はセンスないの知ってるんで……」
あんましうるさいとお前も宇宙猫Tのお揃いにしてやるぞ。
「しょうがないなあ……で、どこに行けって言われたのよ」
「兄さんの紹介とアカメさんの希望で、3個です。1つは半ギャザラー、2つ目がタンク系クラン、最後がファーマーです」
「最後が不安だけど、まあ案内してよ」
「それにしても急にどうして、紹介を……?」
まあやっぱりそこは気になるよね。
とりあえず道すがらその話をいつものように葉巻を咥えながら説明。
「こういうゲームって横の繋がりがあればあるほど、何かと良いのよ」
そう言ってもリアルで同じような事があるのでゲームに限った話ではないのだが、やっぱり何かあった時に味方を作っておくのは大事。明らかに敵がいるのに何も手を打たないってのは状況次第だけど、今回に関しては外堀を埋めてしっかり味方を作っておきたい。
「アカメさんが声かければ結構な大物引っ張り出せるかと思いますが」
「相手がはっきりわかってれば手を打つけど、今は足元固める方がいいんよ」
首を傾げて、なんでって顔をするので犬耳ひっくり返して遊んでやりつつギャザラーのクランのところへ。
やっぱりどのクランもそうだが、エルスタンに拠点を構えるのが基本。何でもそうだけどアクセスの悪い場所って結局手間がかかる。
「『半』ってついてるのが気になるけどね」
「兄さんからだと……えっと、職ごちゃ混ぜで、収集癖のある変態達って」
「あの犬野郎がいうくらいだからよっぽどなんだろうなあ……変なやつのところには変なやつしかいないわ」
ため息を大きく吐き出しながら犬耳をぴょこぴょこ弄り回す。お前、私のこと見て「えっ?」って顔したの見逃してないからな。
今の人口が前にも言った通り最低5万はいるとして、商人クランの連中がどれくらいいるのかって話もあるし、その商人クラン、1つでやっているのかって所もある。火炎瓶自体のレシピはアルコールの入手手段さえ分かればかなり簡単に作れる。そもそも、商人クランが競合しているかって話にもなってくる。
対人イベントの時に大っぴらに火炎瓶と爆弾を投げまくって「こういうのが作れる」と、T2Wにおける自由度を知らしめたってのはある。
「敵の数を把握できないってのは中々難しい」
焙烙玉をポンコツ集団に投げ込んでやると慌てて逃げる奴、蹴るなり殴るなりキャッチしてモンスターの方へと投げ込む奴、経由してポンコツに投げる奴と色々いるわけだが、それを楽しみつつ葉巻の紫煙を辺りに燻らせつつ、今後を考える。
私に対してガチガチに対抗策を練って火炎瓶の売上を掠めている……って訳でもない気がする。何て言うかこう、売っている団体が何個かいて、その中であっちはあれだ、こっちはこうだとシノギを削り合っている感じがある。
火炎瓶を売っているけど、他に誰が売っているかは知らない、でも売っているのは結構な人数がいる。だから売ってる奴はとにかく敵!って考え方も出来るな。
「ま、もうちょっと敵が分かってこないと手が出ないわねー……露店の時は名前がっつり出てたから手が出たけど」
おっと、今持っている焙烙玉は全部なくなったか。
「それじゃあ今日は終わりな?」
気が付けば周り含めて爆発でクレーターは出来ているし、地面剥き出しになってるわ、ポンコツとそのファンはぐったりして息を整えている。あれくらいでへばってくると、うちのクランじゃ過労死するわ。
「ボスの鬼!悪魔!人でなし!」
「大丈夫よ、死なない様にちゃんと考えてるから」
大体動き方見たらそいつがどう対応できるかって確認してるんだから、何も考え無しに投げているのはポンコツに向けてくらいだって。
「それにあんた達が張り切ったからこの辺のモンスターは一掃出来たみたいだし?」
結構しっかり動いてくれるから、うまい具合にモンスターも片付けられたし、非常にベネ。何だかんだでポンコツのファンも動ける奴が多いのもあって非常に楽しく花火大会が出来たわ。
「とりあえず今回の襲撃イベントもそろそろ終わるし……ポンコツ、折角来てもらったんだし、うちのクランハウスのツアーでやっていきな、見るだけなら許可してやるから」
「え、いいの?」
「パーティーとグループ組んだ奴だけな」
手がドリルになるんじゃねえのかってくらいにぐりぐり掌返しながら私の方に抱き着いて来ようとするので頭を抑えて、わかったわかったと言いつつさっさと行けと言う様に手を払う。別れ際にあのファン連中がやけにこっちを見てきたが、そいつらにも手をぷらぷら振ってやって見送り、一息。
とりあえず今日の襲撃で私の相手がどういうのか少しずつだがはっきりしてきたのはでかい。
あのポンコツファンの中に取引した経験がある奴がいたというのも、ちょっと出来過ぎた話ではあるが、手広くやっているというのを考えればそう言うのに出くわすってのもあり得る話か。
「やるならやるで私だけにしてほしいんだけどなあ」
最初に喧嘩を売ったのは向こうだけど、あの時は個人狙い。その時に作ったクランではあるけど、その後のイベント含めて悪目立ちしたのもあるが……私ってそこまで目立って動いてる事あんましなかった気がする。何だったら規模含めてパチもんの方が目立っているくらいだけど、あっちにも根回ししに行かないと……。
「なるべくうちの連中には余計な心配させたくないわねぇ」
葉巻の紫煙をぷはーっと吐き出しつつ、フレンドリストを確認してから帰還スクロールで街に戻る。
「こうやってみると私の交友って狭いと思わない?」
「いきなりどうしたんですか」
「出来るプレイヤーに初めに当たって、なおかつ自前でクランを持つとフレンドの新規開拓って難しいでしょ」
犬野郎の所にやってきて葉巻の紫煙を吹かしつつ、ちょっとした情報交換。
襲撃イベントは街に戻って在庫を補充していたら終わっていたので、終わり際の犬野郎を捕まえてクランハウスに転がり込んでいる。
「どこどこの誰誰ですって紹介された方が信用があるじゃん?」
「それで私の所をだしにするわけですか」
「ご名答」
まあ、よくわかってるよ。
「良いですけど、私はこれから出るので弟でも良いですか?」
「案内してくれりゃいいよ、わたしゃ」
「じゃあ伝えておくので、30分後にエルスタンの転移地点で」
了解と、一言伝えてその場を後に。
だらだらと人の家なり溜まり場で待っているのって好きじゃないんだよね。
そんなわけで30分後。
「美人とデートの割に格好がなあ」
「ダメですか?」
実は知らないところでクランを行ったり来たりしている犬耳ショタ。うちのクラン内部の事も結構知っているらしいし、なんだったらサイオン姉妹とも仲がいいって。
それはさておき、犬耳ショタの格好だが、魔法使いといえばのようなローブを基本に、色々と装飾を施している。主装備の杖もよくある物理で殴った方が強いだろって言われるような握り拳がついてるようなやつではなく、指し棒のようなスラッとしたやつだし、結構おしゃれではある。
なのだが、バッチリスーツで決めている私の隣だと浮いてるな。
「まずは服だな……ファンタジーのRPGとしては良いけど、私が気に入らん」
「み、見た目装備はセンスないの知ってるんで……」
あんましうるさいとお前も宇宙猫Tのお揃いにしてやるぞ。
「しょうがないなあ……で、どこに行けって言われたのよ」
「兄さんの紹介とアカメさんの希望で、3個です。1つは半ギャザラー、2つ目がタンク系クラン、最後がファーマーです」
「最後が不安だけど、まあ案内してよ」
「それにしても急にどうして、紹介を……?」
まあやっぱりそこは気になるよね。
とりあえず道すがらその話をいつものように葉巻を咥えながら説明。
「こういうゲームって横の繋がりがあればあるほど、何かと良いのよ」
そう言ってもリアルで同じような事があるのでゲームに限った話ではないのだが、やっぱり何かあった時に味方を作っておくのは大事。明らかに敵がいるのに何も手を打たないってのは状況次第だけど、今回に関しては外堀を埋めてしっかり味方を作っておきたい。
「アカメさんが声かければ結構な大物引っ張り出せるかと思いますが」
「相手がはっきりわかってれば手を打つけど、今は足元固める方がいいんよ」
首を傾げて、なんでって顔をするので犬耳ひっくり返して遊んでやりつつギャザラーのクランのところへ。
やっぱりどのクランもそうだが、エルスタンに拠点を構えるのが基本。何でもそうだけどアクセスの悪い場所って結局手間がかかる。
「『半』ってついてるのが気になるけどね」
「兄さんからだと……えっと、職ごちゃ混ぜで、収集癖のある変態達って」
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