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16章
419話 離脱
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「しゃあ!倒したぞおらあ!」
「倒せない方が怖い目に合うでしょう」
唸りを上げ、ポリゴン状に消失していくボスゴーレムを見ながらシャールが勝利の雄たけび。中指まで立てて、負けるわけねえだろ!と啖呵を切りながらぎゃーぎゃーと騒ぐので、その横。殆ど相棒の様になっているアオメがやれやれとため息を吐きだしながら自分の銃の手入れを済ます。
「とりあえずアカメさんの所に行きましょう!大丈夫とは言ってましたが、どうなってるか分かりませんし!」
「大丈夫じゃないかな、あの人、根性あるし」
病的にまで調べていたベギーだけは信用しているが、サンダースはしっかり状況を見ていただけあってかなり心配している。そうは言っても元々有名なプレイヤーなうえに、どういう人かを全員が知っている。そのうえで短い期間ながらも付き合っているだけあってそこまでの心配をしていないというのが正直な所。
「ボス討伐の証は貰ったし、アカメを回収して、先行こうぜ?」
「そうですね、手痛くやられたみたいですし」
さっきまでぎゃあぎゃあと騒いでいたが、急に落ち着いてアカメが設置していたタワーシールドの所へと4人揃って向かう。ちなみに他のパーティはそれぞれ固まって動いていたのもあってか、無事にボス撃破出来た余韻で騒いでいたりする。
「よぉ、煙草に火付けてくれねーか?」
普段は見たことないくらいにはボロボロになっているアカメがタワーシールドに寄りかかって座ったまま、いつもの感じで煙草を咥えてその先を揺らす。
客観的に見て、いつものスーツがボロボロになっていて、下に来ていたであろうキャットスーツが覗いている。特に体が欠損しているわけではないが、明らかに右半身はぐったりと動かない状態ってのが目に見え、右目に至っては伏せられたままだ。
「すっげーボロボロじゃんか!」
シャールが指を向けてけらけら笑いながら煙草の火を付ける。そしてすぱすぱと何度か吸ってからいつものように紫煙を吐きだしてギザ歯を見せる笑みを浮かべる。
「もうちょっと上手く立ち回れば良かったんだけどな、コアも撃ち抜けなかったし、こんな状態よ」
「そもそも何があったんですか!」
「それは確かに、アカメさん結構防御力高いですよね」
「ビームの直撃は見たけど」
そんな事を言われたらため息交じりに紫煙を辺りに燻らせ、どういう状況だったか、何があったのかを説明していく。最初はけらけらと笑っていたシャールも話を聞いて行くと青筋立てて明らかにイライラしていき、原因を作ったあのアホ共を探す様に辺りをぎろぎろと睨みつける。逆にアオメとベギーは冷静に、どう始末をつけるかを話し合いをし、サンダースの方はフレンドなりから情報を仕入れ始める。
パーティ崩壊の原因を作った癖に、何一つ謝罪も無ければ、ボス討伐のうま味も貰っている、ついでに言えばアカメの事を侮辱したというのもあって、今回の件でかなりお冠だ。そんな様子を見て、やられたアカメ本人は特に気にせずに煙草を吹かして、それをなだめる。
「全部終わるまではその怒りを敵にぶつけてくれ、そんなのより大事なことを話すからよく聞け」
それぞれあれこれ言ったり調べていたのをぴたりと止めるとアカメの方に顔を向ける。
「運営が回復手段を用意していない訳はないから、拠点にまで戻れれば回復は出来るはずだ。
だから足手まといの私を置いて先に進むか、私をこのまま持って行って先に進むか、決めろ」
いつもよりもペースの速い煙草の吸い方をした後に、ぷっとそれを吐き捨てて4人をじっと見つめる。幾ら片目でしか見ていないとは言え、四白眼のきつい目つきは変わらないので眼光は相変わらず鋭い。
暫く
「俺は置いて行くに1票」
「僕は連れていくに1票」
「自分もつれていくですね!」
「私は置いて行く」
きっちりと2対2で分かれたのを楽しそうに見てからアカメが口を開く。
「置いて行くに1票、そういう事だから気にせず先に進め」
インベントリから帰還用のアイテムを取り出し、準備をしているアカメ。まさかの票に驚きつつもある意味では納得している4人。
「パーティはどうすんだよ、解散か?」
「任せる、新しいのを組んでも良いし、このままでもな」
「それじゃあ維持ですね」
「此処で待つことはできませんが、先で待つことはできますよ!」
「先のボスまで倒しちゃうかもね」
そんな事を言えば、みんな揃ってひとしきり笑ってからアカメが転移を開始する。
転移し拠点に戻ったのを4人が見守った後、大きく息を吐き出してどうするかを相談。
「さて、先に進みますか!」
「一旦戻って此処から戻ってくるまでどれくらい掛かるんでしょう」
「さあなあ、アカメなら大丈夫だろ」
「悔しがるくらい先に進んだ方が煽れて良いんじゃない?」
それもそうかと言い合い、ボスエリアを抜けて祭壇の方へと向かう。道中ボスを倒したおかげなのか、他の大中小ゴーレムは特に出現せず、見掛けるのは同じように祭壇に向かっていく他パーティばかりだ。
道すがら各々のパーティの話題はさっきのボスはどうだ、誰が倒したのか、消費弾薬は、残りのアイテムは……攻略勢にありがちなさっきの事とこれからの攻略の事を言っている。
「やけに溜まってる気がしますね」
「ちょっと見てきます!」
いつも通りにサンダースが先行して情報収集。
「……例のクソがいたぜ」
「ゴキブリってしぶといって知ってる?」
いつもの感じで待っている間にシャール、ベギーの危険思想コンビが例のアホを見つけてじろりと一睨み。相変わらずの鈍感と言うか、自分のことしか見えていないようで危険思想コンビががっつりとマークをしつつ、いつでも撃てるように銃に指を掛ける。散々っぱらアカメはFFしても無駄だから、弾を使うなと口を酸っぱくしていたが、そんな事は知ったこっちゃねえと、すぐにでも撃ってちょっかいを掛けれるようにしている。1発だけなら誤射って言われてるからと言うのもあるんだろう。
「アカメさんがいないからってはっちゃけ過ぎですよ」
「っせーな、分かってるよ」
「間接的……とは言えないレベルの妨害で謝りもしない奴に礼儀ってのはね」
そんな2人を見てアオメも証拠は残さないのとアカメに迷惑をかけるなとだけ言って、サンダースに合流する。アカメの抜けたパーティは好き勝手やり過ぎている、これをアカメが知るのは合流して暫くしての話。
「倒せない方が怖い目に合うでしょう」
唸りを上げ、ポリゴン状に消失していくボスゴーレムを見ながらシャールが勝利の雄たけび。中指まで立てて、負けるわけねえだろ!と啖呵を切りながらぎゃーぎゃーと騒ぐので、その横。殆ど相棒の様になっているアオメがやれやれとため息を吐きだしながら自分の銃の手入れを済ます。
「とりあえずアカメさんの所に行きましょう!大丈夫とは言ってましたが、どうなってるか分かりませんし!」
「大丈夫じゃないかな、あの人、根性あるし」
病的にまで調べていたベギーだけは信用しているが、サンダースはしっかり状況を見ていただけあってかなり心配している。そうは言っても元々有名なプレイヤーなうえに、どういう人かを全員が知っている。そのうえで短い期間ながらも付き合っているだけあってそこまでの心配をしていないというのが正直な所。
「ボス討伐の証は貰ったし、アカメを回収して、先行こうぜ?」
「そうですね、手痛くやられたみたいですし」
さっきまでぎゃあぎゃあと騒いでいたが、急に落ち着いてアカメが設置していたタワーシールドの所へと4人揃って向かう。ちなみに他のパーティはそれぞれ固まって動いていたのもあってか、無事にボス撃破出来た余韻で騒いでいたりする。
「よぉ、煙草に火付けてくれねーか?」
普段は見たことないくらいにはボロボロになっているアカメがタワーシールドに寄りかかって座ったまま、いつもの感じで煙草を咥えてその先を揺らす。
客観的に見て、いつものスーツがボロボロになっていて、下に来ていたであろうキャットスーツが覗いている。特に体が欠損しているわけではないが、明らかに右半身はぐったりと動かない状態ってのが目に見え、右目に至っては伏せられたままだ。
「すっげーボロボロじゃんか!」
シャールが指を向けてけらけら笑いながら煙草の火を付ける。そしてすぱすぱと何度か吸ってからいつものように紫煙を吐きだしてギザ歯を見せる笑みを浮かべる。
「もうちょっと上手く立ち回れば良かったんだけどな、コアも撃ち抜けなかったし、こんな状態よ」
「そもそも何があったんですか!」
「それは確かに、アカメさん結構防御力高いですよね」
「ビームの直撃は見たけど」
そんな事を言われたらため息交じりに紫煙を辺りに燻らせ、どういう状況だったか、何があったのかを説明していく。最初はけらけらと笑っていたシャールも話を聞いて行くと青筋立てて明らかにイライラしていき、原因を作ったあのアホ共を探す様に辺りをぎろぎろと睨みつける。逆にアオメとベギーは冷静に、どう始末をつけるかを話し合いをし、サンダースの方はフレンドなりから情報を仕入れ始める。
パーティ崩壊の原因を作った癖に、何一つ謝罪も無ければ、ボス討伐のうま味も貰っている、ついでに言えばアカメの事を侮辱したというのもあって、今回の件でかなりお冠だ。そんな様子を見て、やられたアカメ本人は特に気にせずに煙草を吹かして、それをなだめる。
「全部終わるまではその怒りを敵にぶつけてくれ、そんなのより大事なことを話すからよく聞け」
それぞれあれこれ言ったり調べていたのをぴたりと止めるとアカメの方に顔を向ける。
「運営が回復手段を用意していない訳はないから、拠点にまで戻れれば回復は出来るはずだ。
だから足手まといの私を置いて先に進むか、私をこのまま持って行って先に進むか、決めろ」
いつもよりもペースの速い煙草の吸い方をした後に、ぷっとそれを吐き捨てて4人をじっと見つめる。幾ら片目でしか見ていないとは言え、四白眼のきつい目つきは変わらないので眼光は相変わらず鋭い。
暫く
「俺は置いて行くに1票」
「僕は連れていくに1票」
「自分もつれていくですね!」
「私は置いて行く」
きっちりと2対2で分かれたのを楽しそうに見てからアカメが口を開く。
「置いて行くに1票、そういう事だから気にせず先に進め」
インベントリから帰還用のアイテムを取り出し、準備をしているアカメ。まさかの票に驚きつつもある意味では納得している4人。
「パーティはどうすんだよ、解散か?」
「任せる、新しいのを組んでも良いし、このままでもな」
「それじゃあ維持ですね」
「此処で待つことはできませんが、先で待つことはできますよ!」
「先のボスまで倒しちゃうかもね」
そんな事を言えば、みんな揃ってひとしきり笑ってからアカメが転移を開始する。
転移し拠点に戻ったのを4人が見守った後、大きく息を吐き出してどうするかを相談。
「さて、先に進みますか!」
「一旦戻って此処から戻ってくるまでどれくらい掛かるんでしょう」
「さあなあ、アカメなら大丈夫だろ」
「悔しがるくらい先に進んだ方が煽れて良いんじゃない?」
それもそうかと言い合い、ボスエリアを抜けて祭壇の方へと向かう。道中ボスを倒したおかげなのか、他の大中小ゴーレムは特に出現せず、見掛けるのは同じように祭壇に向かっていく他パーティばかりだ。
道すがら各々のパーティの話題はさっきのボスはどうだ、誰が倒したのか、消費弾薬は、残りのアイテムは……攻略勢にありがちなさっきの事とこれからの攻略の事を言っている。
「やけに溜まってる気がしますね」
「ちょっと見てきます!」
いつも通りにサンダースが先行して情報収集。
「……例のクソがいたぜ」
「ゴキブリってしぶといって知ってる?」
いつもの感じで待っている間にシャール、ベギーの危険思想コンビが例のアホを見つけてじろりと一睨み。相変わらずの鈍感と言うか、自分のことしか見えていないようで危険思想コンビががっつりとマークをしつつ、いつでも撃てるように銃に指を掛ける。散々っぱらアカメはFFしても無駄だから、弾を使うなと口を酸っぱくしていたが、そんな事は知ったこっちゃねえと、すぐにでも撃ってちょっかいを掛けれるようにしている。1発だけなら誤射って言われてるからと言うのもあるんだろう。
「アカメさんがいないからってはっちゃけ過ぎですよ」
「っせーな、分かってるよ」
「間接的……とは言えないレベルの妨害で謝りもしない奴に礼儀ってのはね」
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※1話1500文字くらいで書いております
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