最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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16章

427話 狙いは1個

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 例のアホ、名前がアルバスだった。
 やっぱりアホやんけ、ちょっと足したらアルバトロスでアホウドリ……うん、アホで決定。まあかなり無理やりこじつけているのはあるし、未だに許してない私の器の小ささもあるわ。

 とりあえず全員のやれる事と自己紹介を改めて済ませて今後の動き方を考える。
 ポンコツがポンコツたる所以を発揮してくれたおかげでキメラが複数いるというのが、ようやく倒した後に発覚したわけで。ここからはキメラ討伐にシフト……することも無く、あちこち探し回った割に1匹も見つける事が出来なかった。

「肩透かしだ」
「まさかとは思うけどもうお払い箱?」

 ももえの奴が小動物の様にぷるぷるし始めるのだが、それはそれでほったらかしにしておいて……これからどうするか。一応討伐自体は出来ているが証を手に入れる事は出来ず、次エリアの祭壇も今の所見つかっていない。あっちこっち行っても雑魚ばかりでキメラは見つからず。流石に時間含めて掛かり過ぎだろと思っていた時に、アホが声を上げて切り上げようと提案する。

「こんなに歩き回ってもいないなら無駄な行動じゃないか?」
「知ってる、だからどうするか考えてるんだ」

 一旦止まって全員で休憩を入れている間にアデレラをくるくる回して考える。頭を使わないでバカスカ撃ちまくれば楽なんだろうけど、それをやってひいひい言ってたのはそこのポンコツ。計画性が無さすぎるんだよ。

「……一旦解散ってどうよ」
「此処まで来て解散なん?」
「どうせここでどん詰まりであれこれやってもしゃーないだろ、こういう時はさっさとログアウトして飯食って寝るに限る」

 もう日曜の深夜1時だし、イベント開始からずっとマグロの様に走り抜けてきたが、そろそろ精神的にきつい。気が付いたら朝になってるなんて事もあったけど、今じゃアラサーだから明日って言うか今日の分を走り切る体力を戻しておきたいって切なる願い。

「パーティはどうするかな」
「私はボスと一緒がいいなぁ」
「アカさんが付いてこいって言うから維持だねー」

 最後はアホだが……一番抜けそうだ。って言うかキメラ倒す時に無理やり引き込んだから別に抜けても問題ないと言えば無いのだが。

「好きにしていいが……二度と人の事を悪く言うなよ」

 いつまでもぐちぐち言われた事を引きずった所で何か良くなるわけじゃない。ちょっとでもこいつが悪口を言った相手がどういうやつか分かればそれでいい。
 
「……いや、付いて行く」
「なら元パーティにはちゃんと説明しとけ、余計ないざこざは御免だからな」

 一応釘を刺しておいてから帰還用のアイテムを取り出す。
 戻ってくるのが結構大変だから最後に何かやりたい事や残しておいた事が無いか確認も怠らない。まあ、聞いた所で3人共特にはないのでまとめて全員拠点に戻る。




「さて、と……銃弾の補給して、イベントマップ飛ぶ前にグレネードの補給をして……」
「ねー、ボス、順位見よ順位」
「じゃあ、また後でな」

 あいんつ、アルバスとは一旦ここで分かれてももえと一緒に順位を出してくれるNPCの所へ。
 あれからあんまりやってないしそこまで変わらんと思うのだが、寝る前にチェックするにはいいか。

「えーっとボスと私の名前はっと」

 あれよあれよと確認しているももえを見ながら、ももえから貰った煙草に火を付けて一服。そういえば煙草の自作しようと思ってちょっとだけ農場弄ったんだっけか……結局頓挫してほったらかしだし、そろそろ葉巻、煙草の量産もするかな。結局そのままほったらかしにしそうだけど。

「おおー……ボス!ボース!」
「なんじゃい」
「1位取れてるよ!」

 何でこう、私が見る前に言ってしまうのか。ネタバレされてもそんなにイラついたりしないので良いと言えばいいんだが。で、言われた通りに順位表の所で確認したら確かに1位にはなっている。が、あくまでもガンナーとしてなので総合順位で言えば上の方ではあるが10位以内には入ってない。

「……ボス2回分か」
「総合順位はまだっぽいね」
「お前は?」
「えーっと29位かな」

 こうなると、ボス倒すのがやっぱりキーポイントっぽい。わざわざ2回倒す必要もないってのを考えると結構盲点なのか?総合上位とどれくらい差があるのか分からないが、そういうのを考えればボス巡りなんてやってそうだ。ただ、もう1つ懸念点としては、現状で襲撃が収まっているから、また襲撃された場合は順位付けがころころ変わるはずだ。襲撃モンスターとダンジョンモンスターの得点が一緒かどうかは分からないが、数が多いのは前者なので捲られる可能性はまだある。

「終わるまで油断できんなあ」
「そんな事あるの?」
「余裕のあった時なんてないさ……そういやうちの連中元気か?」
「んー、元気だよー?」

 久々にあれこれ聞いてみると、私が作ったヴェンガンズカンパニーは事業拡大、店舗増設、人員微増。まずクランハウス自体が地下と地上1F増設、何だったら横にも1ハウス分増やしたらしい。で、1~2Fは完全に店舗と菖蒲の作業場に。地下に関しても区画整備できっちりと作業場化。
 そして各々は相変わらず。十兵衛は更に作れる酒が増えて酒造クランと行ったり来たりで結構いいポジションになっているらしい。バイパーは注文殺到でガンナー御用達の高級品製造、最近新しい機構を開発してるらしい。マイカ、バイオレットに関してはあっちこっちでつるんで戦闘しまくってるので消息不明……ではないが、クランハウスには殆どいない。して、色々とやっているニーナはあっちこっちで奔走しているらしい。

「私がいた時よりもでかくなったな」
「資金は使ってなんぼ!だって」
「使いたいもの無いかって聞いたら何にも言わなかったくせになあ」

 元クランの現状を聞きつつ、次にログインする時の事も考える。
 グレネードの補充に特殊弾、マガジンの数も揃えておかないといけないし、襲撃用の銃も揃えれるだけ揃えて……。

「ねー、ボス、何処まで行く気なの?」
「んー、そうだなあ……」

 不意に掛けられた声を聞きつつ、ログアウト処理を始めて。

「やっぱりここだな」

 人差し指をびっと立ててそれを見せつける。
 
「それ以外にあるか?」

 にぃっとギザ歯を見せるいつもの笑みをももえの奴に見せつけてからログアウト。
 さあ明日も頑張るか。
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