最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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19章

498話 仕切り直し

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「女は度胸と、言ったけど、度胸で突破出来たら苦労しないわな」

 ズタボロになりながら、どうにかこうにか先に進む。度胸とは言ったが、それで全部避け切れるわけもないし、ダメージが軽減されるわけでもない。が、被弾は結構少なかったりする。単純に今まで、罠を踏んだ瞬間に下がっていたから前に進むよりも遅れるテンポなのが原因で被弾してたってだけ。つまるところ、全速力で前に出るほうが直撃しにくくなるって事。

「別にずーっと走るのがきついわけじゃないけど、やばいのは確か」

 また新しく踏み抜いた罠、今度は針が降ってくるタイプ。細かく降り注ぐ雨のように私を襲ってくるので、咄嗟にガンシールドを傘のように見立てて走る。一応トラップだから状態異常を考えていたけど、火力振りっぽいおかげでその心配はなし。

「私だったらもっとえぐい状態異常掛かるようなトラップ仕掛けるけど……油断してたらそういうの来るんだよな」

 針雨トラップを避け、次の罠を踏む。何個も踏み抜いてきているけど、属性の多さに惑わされてたのか、案外バリエーションは少ない。魔力の込め方で威力と大きさを弄ってバリエーションが多いように見せてる、って感じか?

「突っ込んでいった時に引いたから罠敷設は斧持ちだと思ったよ!」

 後ろに爆炎を受けながら漸く捉えた斧持ちと十兵衛。
 まさかこの速度で追いつくてくるか?といった感じに驚いているので手持ちの銃剣ARを投げつける。狙いは十兵衛で、あいつの手を止めさせすれば、手前の斧持ちに襲い掛かれる。
 
「まっすぐ突っ込んできたか!」
「十兵衛さん、ここは自分が!」

 十兵衛を逃がすって事は、結構消耗したのか?いや、そんな事よりもアドレナリン出まくってる今の状況でもっかいクールダウンしろってのは無理な話よ。このまま勢いを乗せて倒して相手の本陣に食い込む。多分だけど追いかけてきた方向をそのまま進んだら、あいつらいそうだし。

「私を倒すって根性は、嫌いじゃないわ!」

 斧持ちが投げつけたARを弾き飛ばし、どっしり構えてくるので相変わらずの2丁拳銃を装備し、勢いのまま接近。横に振るってくる斧を上体を後ろに逸らし、膝で滑りながら下に潜って回避。私これでもAgiに振ってるし、みかわし、なんてスキルも持ってるのよね。何よりもガンカタのスキル補正が掛かってるのか、今まで以上に軽やかに動けるようになった……気がする。

「お前らのクランマスターがどれほど強いか身に感じろっ!」

 振りぬいて体勢が崩れたところ、膝滑りしたところから尻尾と自力の脚力で跳ねるように立ち上がり、斧持ちに銃口を向けて連射。向こうは咄嗟に体を捻り、斧を手元に戻して何発か武器で受けるが、数発は直撃。呻いたのを見逃さず、半身の体をぶつけて相手の武器が振れないように抑え込みつつ、ぶつけている反対側の方で接射を続ける。

「本当にやる気か、アカメ!」
「私はお前と会った時から、それよりも前から『やる時はやる』女さ!」

 そのまま連射しつつ、向こうからの押し返しで少し下がる。
 自分も話に入れてくれ、なんて感じでカットインしてくる根性は嫌いじゃないな。すぐさま正面を向き、下がった分を前に行く瞬間に振り戻しの斧。その攻撃はハンドガンを逆手に持ち替え、トンファーのように持った状態で受け逸らし。こうやって思えば私のスキル、かなり接近戦向けの物が揃ってるわ。

「もうちょっとお前も揉まれたら、使い方が良くなるだろう、よっ!」

 攻撃を振り切った所、強くまた体をぶつけて一撃……の瞬間、ぶつけたところから閃光が漏れる。そして次の瞬間に爆発。

「自分にトラップを仕掛けた自爆か?無茶なことをしおる」
「……あの根性は、誰仕込みなんだろーね」

 スーツの上着を破り捨てながら立ち上がり、けほけほとせき込む。爆発の瞬間に体を捻ってちょっとでも被弾を落としたけど、それでも結構なダメージを貰った。自爆ってなかなかえげつないな、マジで。

「あーあ、また一張羅ぼろぼろになったし」
「どこまで掛けたんだ、今回に」
「まー、結構かな」

 なんて事を言っていたら、十兵衛の奴が軽く何かを投げてくるので受け取る。

「もう一度本気の勝負はどうだ」
「そんな気使えたんだ?」
「ぼろぼろのお前を倒しても自慢にはならんだろう」

 貰ったポーションを飲み、HPとMPを回復。だったら最初に急襲してほしくなかったんだけど、あれはあれでガンカタ覚える前だからって事か。

「負けて泣いてもしらねーぞ?」
「ぬかせ、そこまでヤワではないわ」

 ほー、言ってくれるじゃねえか、こいつは。
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