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19章
497話 女は度胸
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「強いね」
「強いわ」
エルアル姉妹が相手の攻撃をいなし、相手もエルアル姉妹、どちらとも体制を整えるために一旦距離を置いて一息入れる。息を整えている二人の目の前にいる相手。一人はうさ耳の銀髪、もう一人はもろトカゲ顔の獣人。
「おい、マイカ、あんまり遊ぶなよ?」
「ええー、結構本気なんだけどなぁ……」
軽口を叩きながら、バイパーがガトリングマガジンを詰め直し、マイカがぴょんぴょんと跳ねながらタイミングを計る。
「逃げる?」
「いや、逃げきれない」
何度かかち合ったからこその回答。風魔法で加速し、一気に離脱といった手段もマイカの足があると難しい。ただただ足の速い相手が魔法の加速についていけるってのもおかしい話だが、どうしてもここでガチらないといけない状況になっているのはエルアル姉妹が弱いわけじゃ無く、圧倒的にマイカの足が速い。
「アカメちゃんが集めたからどんなもんかって思ったけど……なかなかいい動きしてくるよねぇ」
ぴょんぴょん楽しそうに跳ねていると思うと、いきなり駆け出して構えていたエルの剣とマイカのレガースが強くかち合って金属音を響かせる。そのまま剣と足での打ち合いを続けている後ろ、アルとバイパーがそれぞのカバーに入るように動き出す。
物理遠距離と非物理遠距離、優勢なのは圧倒的に前者。近接戦闘している二人に関しては攻撃の手をお互いに止めてやれば拮抗状態にはなるのだが遠距離同士だとそうもいかない。弾速の高い銃撃、しかもそれを高レートで発射できるので防ぐのもコツがいる。幸いにもアルの得意魔法でもある風系は銃弾に対しての防御効果は結構強い方だったりする。
「切り離して」
「やってみる」
銃弾の雨を、アルがお得意の風魔法を使って弾道をずらす。自分たちに当たらない様にし続けるが、かなり大きめかつ強く魔法を出し続けないといけないので消費負担もかなりある。その状況をちらりと見て、どうにかエルがマイカを引き付ける。何度かかち合ったのもあって、攻撃を出せば向こうも攻撃を繰り出してくるおかげで引きはがしやすかったりする。
「あたしとガチるなんてぇ、今時そうそういないんだよねぇ」
「それは、分かる」
引きはがしに成功し少しだけ遠距離職の二人から距離をとった所から、ぶつかり合いが激しくなる。何度も剣とレガースのぶつかり合いで火花を散らし、どうやって相手を打ち崩そうかを考えながら攻撃を繰り出し続ける。
「マイカの奴とやりあってるのは、すげえな」
「こっち、見ないと」
こちらはこちらでガトリングと風魔法の応酬。ただただ連射するのをやめ、適度に休みを入れて距離を測り始めるバイパー。装填隙をなくすというのもあるが、相手のMPを消費させる目的に切り替える。
冷や汗を垂らし、その意図を踏んでか、先ほどよりも威力と規模を落としてぎりぎりの弾道回避にし、消耗を抑えるアル。二人のやりたいことはいかに長く相手を留めつつ、先にどっちが折れるかの勝負だ。
「俺の銃弾が切れるか、あんたのMPが切れるか……我慢比べか」
「負けない」
なんとなく楽しそうにしているバイパーがにやりと笑う。まるでこっちの弾は尽きることがないぞ、といった感じで、気楽にばらまいて楽しむ。まだ始まったばかりの2VS2、一番楽しめる奴が勝つともいえる。
「ああ、もう、罠ばっかやんけ!」
逃げた方向に行けばいく程、トラップが満載。アホかってレベルで張りまくられているせいで全然先に進めていない。3歩進んで2歩下がる状態、幸せは歩いてこないってホントよね。
「くっそ、ニーナの奴、いいプレイヤー仕入れやがった」
私の対策、ってわけじゃないんだろうけど、ちょっと特殊な奴を拾ってくるのは明らかに私と同じような考えだな。使い方次第で化けるっていうか、ちょっと不遇な扱いされてるのって大体は難度の高い職が多い。ガンナーしかり、今この罠を貼ってる奴もそうだ。
魔法罠って便利で、所謂近接信管のように近づいたら発動するようになっている。範囲に入ったらその範囲に入った奴をターゲットにした結構な威力の攻撃が飛んでくる。これがまあ規模もでかいわ威力もあるわ……なんだったらバリエーションも様々。物理的に飛んできたり、魔法的なものが噴き出したりと、特にかく進路妨害がひどい。
「重量感知じゃないし、敵対者に対してだけ引っかかるって……まー、特殊」
物理的な探知はトラッカーで出来るけど、魔法的な探知ってのは別のスキルが必要になるから踏んでからの回避になるのがさらにきつい所。絶対に相手の攻撃からもらうってこのゲームじゃかなりのアドバンテージだっての。
「……迂回すると時間がかかる、かといって慎重になりすぎても時間がかかる……そうなると」
罠群を突破して、突破した先に待ち構えているって可能性もあるけど、ここで足踏みしたらしただけその時間を与える。と、なってくると私が取る手段は一つしかない。はーっと大きい溜息一つ。トレードマークの煙草を咥えて火を付けてからどのルートを通るか検討を付けてから、ぐっと溜めを作ってから一気に走り出す。
こうなったら力づくで突破、ついでに言えば待ち構えていたら、いつもの気合避けから無理接近してガンカタで肉薄。自分で言ってて中々にハードな事言ってるわ。
「女は度胸ってか」
そして一気に駆け出し、罠が設置しまくってあろう所に突っ込んでいく。
「強いわ」
エルアル姉妹が相手の攻撃をいなし、相手もエルアル姉妹、どちらとも体制を整えるために一旦距離を置いて一息入れる。息を整えている二人の目の前にいる相手。一人はうさ耳の銀髪、もう一人はもろトカゲ顔の獣人。
「おい、マイカ、あんまり遊ぶなよ?」
「ええー、結構本気なんだけどなぁ……」
軽口を叩きながら、バイパーがガトリングマガジンを詰め直し、マイカがぴょんぴょんと跳ねながらタイミングを計る。
「逃げる?」
「いや、逃げきれない」
何度かかち合ったからこその回答。風魔法で加速し、一気に離脱といった手段もマイカの足があると難しい。ただただ足の速い相手が魔法の加速についていけるってのもおかしい話だが、どうしてもここでガチらないといけない状況になっているのはエルアル姉妹が弱いわけじゃ無く、圧倒的にマイカの足が速い。
「アカメちゃんが集めたからどんなもんかって思ったけど……なかなかいい動きしてくるよねぇ」
ぴょんぴょん楽しそうに跳ねていると思うと、いきなり駆け出して構えていたエルの剣とマイカのレガースが強くかち合って金属音を響かせる。そのまま剣と足での打ち合いを続けている後ろ、アルとバイパーがそれぞのカバーに入るように動き出す。
物理遠距離と非物理遠距離、優勢なのは圧倒的に前者。近接戦闘している二人に関しては攻撃の手をお互いに止めてやれば拮抗状態にはなるのだが遠距離同士だとそうもいかない。弾速の高い銃撃、しかもそれを高レートで発射できるので防ぐのもコツがいる。幸いにもアルの得意魔法でもある風系は銃弾に対しての防御効果は結構強い方だったりする。
「切り離して」
「やってみる」
銃弾の雨を、アルがお得意の風魔法を使って弾道をずらす。自分たちに当たらない様にし続けるが、かなり大きめかつ強く魔法を出し続けないといけないので消費負担もかなりある。その状況をちらりと見て、どうにかエルがマイカを引き付ける。何度かかち合ったのもあって、攻撃を出せば向こうも攻撃を繰り出してくるおかげで引きはがしやすかったりする。
「あたしとガチるなんてぇ、今時そうそういないんだよねぇ」
「それは、分かる」
引きはがしに成功し少しだけ遠距離職の二人から距離をとった所から、ぶつかり合いが激しくなる。何度も剣とレガースのぶつかり合いで火花を散らし、どうやって相手を打ち崩そうかを考えながら攻撃を繰り出し続ける。
「マイカの奴とやりあってるのは、すげえな」
「こっち、見ないと」
こちらはこちらでガトリングと風魔法の応酬。ただただ連射するのをやめ、適度に休みを入れて距離を測り始めるバイパー。装填隙をなくすというのもあるが、相手のMPを消費させる目的に切り替える。
冷や汗を垂らし、その意図を踏んでか、先ほどよりも威力と規模を落としてぎりぎりの弾道回避にし、消耗を抑えるアル。二人のやりたいことはいかに長く相手を留めつつ、先にどっちが折れるかの勝負だ。
「俺の銃弾が切れるか、あんたのMPが切れるか……我慢比べか」
「負けない」
なんとなく楽しそうにしているバイパーがにやりと笑う。まるでこっちの弾は尽きることがないぞ、といった感じで、気楽にばらまいて楽しむ。まだ始まったばかりの2VS2、一番楽しめる奴が勝つともいえる。
「ああ、もう、罠ばっかやんけ!」
逃げた方向に行けばいく程、トラップが満載。アホかってレベルで張りまくられているせいで全然先に進めていない。3歩進んで2歩下がる状態、幸せは歩いてこないってホントよね。
「くっそ、ニーナの奴、いいプレイヤー仕入れやがった」
私の対策、ってわけじゃないんだろうけど、ちょっと特殊な奴を拾ってくるのは明らかに私と同じような考えだな。使い方次第で化けるっていうか、ちょっと不遇な扱いされてるのって大体は難度の高い職が多い。ガンナーしかり、今この罠を貼ってる奴もそうだ。
魔法罠って便利で、所謂近接信管のように近づいたら発動するようになっている。範囲に入ったらその範囲に入った奴をターゲットにした結構な威力の攻撃が飛んでくる。これがまあ規模もでかいわ威力もあるわ……なんだったらバリエーションも様々。物理的に飛んできたり、魔法的なものが噴き出したりと、特にかく進路妨害がひどい。
「重量感知じゃないし、敵対者に対してだけ引っかかるって……まー、特殊」
物理的な探知はトラッカーで出来るけど、魔法的な探知ってのは別のスキルが必要になるから踏んでからの回避になるのがさらにきつい所。絶対に相手の攻撃からもらうってこのゲームじゃかなりのアドバンテージだっての。
「……迂回すると時間がかかる、かといって慎重になりすぎても時間がかかる……そうなると」
罠群を突破して、突破した先に待ち構えているって可能性もあるけど、ここで足踏みしたらしただけその時間を与える。と、なってくると私が取る手段は一つしかない。はーっと大きい溜息一つ。トレードマークの煙草を咥えて火を付けてからどのルートを通るか検討を付けてから、ぐっと溜めを作ってから一気に走り出す。
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