最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

文字の大きさ
556 / 625
19章

523話 強さの幅

しおりを挟む
 戦況は優勢、とは言い切れない状況で、どっちかって言うと多少なりと不利とも言える。結構頑張って走ってきたのだが、やっぱりカコル、ガヘリス、薫と相手をしていて、なおかつ薫がごりごりに格闘してくるわ、走っても速いってので捲くのに時間が掛かった。
 それと逃げる最中に松田アリス達の所に引っかけないように結構遠回りにスモークまき散らしてきたから時間が掛かったからしょうがない。が、そこで時間を掛け過ぎたせいでエルアル姉妹の苦戦状況が長引いたって事になる。

「とは言え、私もきついんだけど」

 刀は折られるし、銃弾はすげえ使うし、ポーションもそこまで沢山持っているわけでもないしで、あんまり消耗しないでこの相手を倒したい。
 して、次の戦いの相手……剣盾持ち、爪、魔法使い、どれも私自身が初めて会う奴だから元々ガウェインのクランにいた連中って事なんだろう。実力は、エルアル姉妹と同等かそれ以上……はないな。強いのは元々の連携の強さだ。エルアル姉妹の連携技も目を見張るものがあるが、それと同じくらいのコンビネーションが出来て、そのうえで人数も多いってなると向こうの方が上手だな。

「さて、エルアル姉妹、相手の情報は」
「剣盾持ちがメイン盾、爪が奇襲のメイン火力、隙潰の魔法使い」
「回復はない」
「上等だ」

 メイン盾の剣盾持ちが真っすぐに来るのでエルが受けて拮抗、その状況を潰すために爪持ちが突っ込んでくるのをアルが風魔法で防ぐので、魔法使いを狙い突っ込む。あまり表立って爪持ちが動いてこないので、先に相手の後衛を潰して前衛を潰すって作戦。さっき思いついたけど。

「詠唱して発言して発射って、結構無駄が多いよなあ」

 属性的には火魔法の使い手か。ガンナー周りの事ばかりだからあんまり魔法の種類について知らないのが怖い所か。そんな風に考えていれば、火球が飛んでくるので、火球で返して……と、やったんだが、向こうの方が火力が高いので相殺することは叶わず、多少なりと威力を落とした程度に過ぎない。そりゃそうよ、本職とサブとして取得した魔法じゃこうなる事くらい、分かってる。それでも、こっちからぶつけた分、炎は舞い上がり、威力も落ちている。すぐさまガンシールドを構えて火球を受け、そこそこのダメージを貰いつつも一気に突破。

「はぁーい」
「うわっ!?」

 燃え盛る炎を纏いながら魔法使いの目の前に出ると共に射撃で強襲。これで終いなんて思っていたら、着弾する瞬間に手から炎を出して銃弾を勢いを殺して防ぐとは中々に面白い事をやってくる。ほんと固定ダメージ部分以外は結構貧弱だよな、ガンナーって。まあ鉛玉使ってるから融解温度が低めになってるのもあるか。

「こうも対策されてると悩みどころよ」

 しかも本人の意思でMPの続く限り魔法は撃てるって言うんだから性質悪い。とはいえ、こっちだって馬鹿正直に真っすぐ撃つなんて事を今更やるわけないだろうに。正面射撃で相手の魔法を出し続けさせながらの、銃操作……ではなく、普通に2丁拳銃からの跳弾射撃。チュンチュンと跳ねる音がした後、魔法が途切れるので、ここぞとばかりに射撃で詰める。

「このくらいしてくるって言ってそうだけど」

 攻撃を痛がっているが、こっちのガンカタの間合いにまで入り込んでいるので、後は魔法を撃たせないようにしながらボコればいける。

「そう単純に行くとは思わないけど」

 あのガウェインの奴が集めたんだから並み程度の魔法使いじゃないだろう、耐久が高かったり、隠し札の一つや二つあってもおかしくない。エルアル姉妹も長時間の戦闘だから疲弊もしているってのを考えれば此処で速攻倒しておきたい。

「そういうわけでだからさくっと倒れてくれや」

 跳弾の不意打ち、正面からの連続射撃。このまま簡単にやられ……って、あれ?
 
「あっけなあ」

 ポリゴン状に消えていく魔法使いを見て拍子抜け。エルアル姉妹がしっかり前衛2人を抑え込んでくれてたからこっちに集中できたけど、前衛2人が強いからそこまで?そもそもメタリカって言うアホ程強い遠距離職と比べてるからか、どうも何かありそう。とりあえずこっちに攻撃が向いてないのを確認しつつ、倒しきったかをチェック……問題なし。いや、マジで拍子抜けするわ。

『案外あっさり仕留めれたんだけど?』
『特化型なだけじゃ』
『こっちも仕留めて』

 さて、先に倒せばいいのは……爪持ちかな。
 アルの風魔法、強い事は強いんだけど、素早い相手だと対等くらいの扱いになるから、地味にきついだろうし。エルの方は普通にタンク型相手だし、下手な立ち回りをしなければ負けることはないだろう。

「息抜きにしては弱すぎる気がするなあ」

 感覚マヒって来たか?
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

処理中です...