最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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19章

524話 あまあま

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 私が合流して少し、なんか拍子抜けした魔法使いを倒して3:2になったらそりゃ押せ押せよ。あっという間に制圧してフルボッコ。エルアル姉妹もぎりぎりだったけど、どうにか生存。これでどうにかと言うか、ようやく一息つける。

「まあ、楽勝とは言えんかったけど」

 空になったマガジンを落として新しいのにしながら煙草を咥えて一服。これで相手が最初10人くらいだったから、今の3人、私と関口が倒したカコル、メタリカで残り5人。こっちはこっちでアリス、松田、エルアル姉妹、ヤス、私で6人。お、戦力的もちょうどいいんじゃね?相手の残り5人もガウェイン、ガヘリス、薫と一二三、あと1人が分からんけど、ガウェインと一緒にいるのはほぼ確実。
 
「これでもまだ勝てなさそうってのが怖い所よ」

 人数が多いからって勝てるとは限らないのは対戦ゲームの常だけど、相手が相手なだけにその辺が怖い。何だったら圧倒しまくってた薫クラスの奴がごろごろいそうって言うかいるから、ここから逆転される可能性もある。不安材料は多くて困る。

「そろそろ次のを狙わないと、アリス達もきついはずだ」
「うん、大丈夫」
「まだ、いける」

 ボロボロにはなっているけど、目は死んでいないし、大丈夫だろう。私もまだ心までは折れていないし、アリスの所に行ってガウェインを先にボコれればどうにかこうにか出来る気がする。問題としてはどフリーになっている薫か。大体こういう時に言ったらすっ飛んでくる可能性が……。

「はぁーい♪」
「きちゃうんだなあ、これが」

 ゾンビ塗れになった街でしつこく迫ってくるアイツみたいな感じに出てくるんじゃねえよ、マジで。

「ああ、クソ、追いつかれた……」
「……いいよ、行って」
「エル、ちょっと!」
「少しでも削っておくから」

 かなりの打ち合いをしたせいか、ボロボロになっている剣を構えてエルが前に出る。

「アルも行って」
「でも……」
「行きなさい!」

 そう声を上げた瞬間、薫がすっ飛んできてパンチ一発。それを剣で受けると共に風が起きて土煙が上がる。っていうか剣でも全然斬れない拳ってどんな強度してんだよ。なんて事を考えていればギャンギャンと明らかに硬いもの同士をぶつけ合う音が響くのを聞きながらアルを引っ張り、その場から離れようとする。

「ちょっと、引っ張るの、やめて…!」
「言われた事を聞くのはいい子だぞ」

 激しくなる戦闘音、怒声を聞きながらもどうにかしようとするが、テコでも動かないってくらいには踏ん張られる。どうしてこうも人の話を聞かないやつばかり……って、それは私もだからあんまり人の事言えた義理じゃねえな。

「二人でやっても勝てんぞ」
「それでもいい」
「……あー、もう、どうしてこう何にも思い通りにいかないんだろうね」

 このゲーム初めて思い通りになったことって素材関係で上手くいった時くらいか?まあ、そういうの含めてよね。そんなわけだからパッと手を離してため息一つ。

「負けるにしても体半分くらい吹っ飛ばして負けなさいよ」
「……いいの?」
「どうせ止めても行くって言うなら好きにさせるわ」

 いきなり良いと言われて狼狽えるアルに残り少ないポーションとグレネードを手渡し。これで私もほぼすっからかん。

「勝ち負けは大事だけど、それよりもあんたたちには大事なもんがあるんでしょ」

 大きい衝撃音と共に吹っ飛んでいくエルがちらりと、言われたから付いていかなきゃ、でも助けたいと思っているアル。その背中を押して、向かわせる。ほんと、私ってつくづく甘ちゃんだわ。勝ち至上主義の私がこんな事をするなんてな。本当なら此処でさっさとエルを見捨てて合流するべきなんだろうけど。

「あーあ、何も思い通りにいかん」

 それを認める私も私だけど。とりあえずここから離れてアリス達に合流しよう、どこまでやれるかは……正直な所8:2くらいで負けって感じかな。ちょっとでも消耗させてダメージを稼いでくれれば十分だ。




「エル、大丈夫?」
「なんで言う事を……」
「アカメが行けって」

 瓦礫からエルを引っ張り出してポーションを渡して回復を入れてから真正面にいる薫に2人揃ってしっかり見つめる。ふんっとポージングしながら余裕のある感じに薫が決めているのを見つつ二人でどうするかを話し合う。

「どのくらい強い?」
「かなり、正直来てくれてよかったくらいには」
「後で礼を言わないと」

 ポージングの決めが終わると、一気に薫が駆け出してパンチ一発。エルがアルをすぐに下がらせその攻撃を受けてから、連続攻撃をぶつけあって捌いていく。とはいえ、さっきと同じ状況だと吹っ飛ばされてやられるだけなのだが、攻撃の補助をアルが行い、攻撃の回転速度を上げて捌きやすくする。

「やだぁ、アカメちゃん、色んな子集めてるじゃないのぉ」

 打ち合いに負けると思ったのか、手を止めて軽く引いてタイミングをずらすと共に、向こうも一旦の息を入れる瞬間に拳を合わせて一気に突き出す。今までも同じように金属音をさせていたが、甲高い音ではなく、乾いた音が響く。

「一撃おっも……!」

 顔を歪ませ、自分の上空を吹っ飛んでいく半分より短い剣の先を見ながら、アルの方にちらりと。それを見越してなのか、合図取ってなのかは分からないが、折れた剣先をアルが風魔法を使って一気に振り下ろし。攻撃をした後、軽く引いた薫の肩口に思い切り剣先を突き立てると共に、エルが攻勢に。

「いったぁーい!もう、怒るわよぉ!」
「まだ余裕があるの怖すぎ」
「でも、あんまり時間を掛けてらんないのよねぇ?」

 突き刺さった剣先を引き抜こうとするが、それを防ぎつつがんがんと前に出てラッシュを掛けていくのだが、それでもまだ余裕があるような動きと口ぶり。

「アル、行くよ!」
「分かってる!」
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