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テオお兄様が魔法剣でケルベロスに切りかかろうとしているけれど、一つの頭を狙おうとしても隣の頭が邪魔してなかなかダメージが入らないようだ。
私もテオお兄様の攻撃の支援をしようと頭に向けて氷槍や風刃を出すけれど、三つ目の頭が悉く邪魔をしてくる。
これでは無駄に魔法を消費してしまうわ。
「お兄様、少しの間、時間稼ぎをお願いします」
「分かった」
テオお兄様が斬りかかって時間稼ぎをしてくれている間に魔力をギリギリまで練り上げる。
時間はかかるけれど、質を限界まで上げて作った魔法で攻撃すれば攻撃できるはず。
「お兄様、行きます! 【コロージョン・ブレイド】」
私の合図でテオお兄様は攻撃を止め、後退する。
鈍色の円盤状の形をした腐食刃魔法はケルベロスに向かって飛んでいく。テオお兄様は私が声を掛けたと同時に横に避ける。
腐食刃は垂直にケルベロスの正面からスッパリと進んで尻尾の先まで貫通して行った。
ケルベロスは動く間もなく真っ二つになり、切り口からケルベロスの身体は見るも無残なほどドロドロと溶けだしている。
「お父様! 見ましたか!? 思っていたより上手くいきました!!」
ケルベロスは再生能力が高い為、切り口から再生が出来ないような魔法が合っているように思ったの。
でも酸や腐食などの呪文は切り口の再生を妨げるのに効果が高い魔法だが、足元が沼地や雨になるような物で範囲を指定しなければならないし、動きの早い魔獣には効果が低い。
私はその点を改良して風刃のようにしてみたの。
ウキウキ気分で振り返ると、お父様たちは微妙に引き攣った顔をしていた。
何故!?
「ソ、ソフィアが。こんなに可愛い娘が、こんなに凶暴な魔法を作りだすなんて……」
「ソフィア、す、凄いね……。でもちょっとばかり、ソフィアのイメージとは違った魔法だったよ」
テオお兄様まで。
「傷口から再生が始まらないような合理的な魔法を作ってみたんです。そ、そりゃあ、見栄えはとても悪いですが……」
「ま、まあ、あっさりと倒せて良かったよ。ほらっ、ケルベロスから特大の蒼魔石が取れたし」
テオお兄様は溶けたケルベロスから魔石を拾い上げ、清浄魔法を掛けて渡してくれた。
「お父様、凄いですね。この蒼魔石、宝石みたい。これって加工して装飾品に出来ますか?」
「この大きさならネックレスとしても見栄えがして良いだろうね。サファイアと遜色ないだろう」
「この蒼魔石を貰ってもいいですか? 私、欲しいです。お父様やお兄様達の瞳の色ですもの。ネックレスにして持ち歩きたいです」
「……ソフィア。なんて嬉しい事を言ってくれるんだ。ソフィアの誕生日にはもっと良い物を送ろう」
先ほどの引きつった顔の家族が打って変わって微笑んでいる。私も家族として認められたってことかしら。嬉しくなった。
もっとみんなに近づけるように頑張ろう。
そう思いを新たにしながら蒼魔石を腰に下げている小さな袋にしまった。
二十一階からは慎重に進む。何故かおじいさまとおばあ様だけは、街でラブラブデートしているかのような錯覚さえするわ。上級者が過ぎる。
ここら辺の階になると、お父様はお兄様達に厳しい指導に変わっていく。
キリッとしたお父様の横顔が素敵だわ。
おじい様達がいつも魔石取りをしているという二十五階では小型のグリーンドラゴンが徘徊していた。
グリーンドラゴンは縄張りを持っていて縄張りに入る敵には容赦しない。
私は倒し方をおじい様に教わりつつ、ドラゴンを倒していく。
グリーンドラゴンの魔石は若草色の魔石。大きさも加工すれば腕輪や指輪に丁度良いかも。グリーンドラゴンを倒し終えるとお父様から声が掛かった。
「ここらで少し休憩するか。フィン、結界を」
「父上、了解」
私は初めて見る結界に感動したわ。箱型の結界で触ると膜のような柔らかさがある。でも、外からの敵は強固に弾いてくれる。凄いわ。
「フィンお兄様! 凄いですね。私も結界を作ってみたいです」
「そうか、お家に帰ったら教えるから今はゆっくり休憩するんだ」
家族でドラゴンに囲まれながらお茶が飲めるってなんて素晴らしいのかしら。
これって絶対我が家だけよね。
「そういえば、さっきテオお兄様が使っていた魔法剣は、ルイ・オーカー様と似ていると感じたんですが、ルイ様は魔法剣を使う方は少ないと言っていました。テオお兄様はルイ様とお知り合いなのですか?」
「あー、ルイ君か。彼の魔法剣はレオン兄が教えたんダ。彼がまだ小さい頃に教えてくれるまで離さないって泣いて駄々っ子して面白かったナ」
テオお兄様はまたおどけたように話をしている。ルイ様が泣いて駄々っ子だったのかと想像すると少し面白い。
「そういえば、そうだったな」
「ふふっ。そんな事があったのですね」
「さて、続きをする時間かな。準備はいいか?」
お父様の声で結界も消え、グリーンドラゴンが待ってましたとばかりに襲ってきた。
お兄様達は魔法剣でサクサク倒していく。お兄様達が使う魔法剣を私も魔法剣を使ってみたいと考えたけれど、先日剣術を覚えたばかりの初心者なので、私は諦めて魔法で倒す。
ある程度グリーンドラゴンを魔法石に変えると私達は次の階へと降りた。
私もテオお兄様の攻撃の支援をしようと頭に向けて氷槍や風刃を出すけれど、三つ目の頭が悉く邪魔をしてくる。
これでは無駄に魔法を消費してしまうわ。
「お兄様、少しの間、時間稼ぎをお願いします」
「分かった」
テオお兄様が斬りかかって時間稼ぎをしてくれている間に魔力をギリギリまで練り上げる。
時間はかかるけれど、質を限界まで上げて作った魔法で攻撃すれば攻撃できるはず。
「お兄様、行きます! 【コロージョン・ブレイド】」
私の合図でテオお兄様は攻撃を止め、後退する。
鈍色の円盤状の形をした腐食刃魔法はケルベロスに向かって飛んでいく。テオお兄様は私が声を掛けたと同時に横に避ける。
腐食刃は垂直にケルベロスの正面からスッパリと進んで尻尾の先まで貫通して行った。
ケルベロスは動く間もなく真っ二つになり、切り口からケルベロスの身体は見るも無残なほどドロドロと溶けだしている。
「お父様! 見ましたか!? 思っていたより上手くいきました!!」
ケルベロスは再生能力が高い為、切り口から再生が出来ないような魔法が合っているように思ったの。
でも酸や腐食などの呪文は切り口の再生を妨げるのに効果が高い魔法だが、足元が沼地や雨になるような物で範囲を指定しなければならないし、動きの早い魔獣には効果が低い。
私はその点を改良して風刃のようにしてみたの。
ウキウキ気分で振り返ると、お父様たちは微妙に引き攣った顔をしていた。
何故!?
「ソ、ソフィアが。こんなに可愛い娘が、こんなに凶暴な魔法を作りだすなんて……」
「ソフィア、す、凄いね……。でもちょっとばかり、ソフィアのイメージとは違った魔法だったよ」
テオお兄様まで。
「傷口から再生が始まらないような合理的な魔法を作ってみたんです。そ、そりゃあ、見栄えはとても悪いですが……」
「ま、まあ、あっさりと倒せて良かったよ。ほらっ、ケルベロスから特大の蒼魔石が取れたし」
テオお兄様は溶けたケルベロスから魔石を拾い上げ、清浄魔法を掛けて渡してくれた。
「お父様、凄いですね。この蒼魔石、宝石みたい。これって加工して装飾品に出来ますか?」
「この大きさならネックレスとしても見栄えがして良いだろうね。サファイアと遜色ないだろう」
「この蒼魔石を貰ってもいいですか? 私、欲しいです。お父様やお兄様達の瞳の色ですもの。ネックレスにして持ち歩きたいです」
「……ソフィア。なんて嬉しい事を言ってくれるんだ。ソフィアの誕生日にはもっと良い物を送ろう」
先ほどの引きつった顔の家族が打って変わって微笑んでいる。私も家族として認められたってことかしら。嬉しくなった。
もっとみんなに近づけるように頑張ろう。
そう思いを新たにしながら蒼魔石を腰に下げている小さな袋にしまった。
二十一階からは慎重に進む。何故かおじいさまとおばあ様だけは、街でラブラブデートしているかのような錯覚さえするわ。上級者が過ぎる。
ここら辺の階になると、お父様はお兄様達に厳しい指導に変わっていく。
キリッとしたお父様の横顔が素敵だわ。
おじい様達がいつも魔石取りをしているという二十五階では小型のグリーンドラゴンが徘徊していた。
グリーンドラゴンは縄張りを持っていて縄張りに入る敵には容赦しない。
私は倒し方をおじい様に教わりつつ、ドラゴンを倒していく。
グリーンドラゴンの魔石は若草色の魔石。大きさも加工すれば腕輪や指輪に丁度良いかも。グリーンドラゴンを倒し終えるとお父様から声が掛かった。
「ここらで少し休憩するか。フィン、結界を」
「父上、了解」
私は初めて見る結界に感動したわ。箱型の結界で触ると膜のような柔らかさがある。でも、外からの敵は強固に弾いてくれる。凄いわ。
「フィンお兄様! 凄いですね。私も結界を作ってみたいです」
「そうか、お家に帰ったら教えるから今はゆっくり休憩するんだ」
家族でドラゴンに囲まれながらお茶が飲めるってなんて素晴らしいのかしら。
これって絶対我が家だけよね。
「そういえば、さっきテオお兄様が使っていた魔法剣は、ルイ・オーカー様と似ていると感じたんですが、ルイ様は魔法剣を使う方は少ないと言っていました。テオお兄様はルイ様とお知り合いなのですか?」
「あー、ルイ君か。彼の魔法剣はレオン兄が教えたんダ。彼がまだ小さい頃に教えてくれるまで離さないって泣いて駄々っ子して面白かったナ」
テオお兄様はまたおどけたように話をしている。ルイ様が泣いて駄々っ子だったのかと想像すると少し面白い。
「そういえば、そうだったな」
「ふふっ。そんな事があったのですね」
「さて、続きをする時間かな。準備はいいか?」
お父様の声で結界も消え、グリーンドラゴンが待ってましたとばかりに襲ってきた。
お兄様達は魔法剣でサクサク倒していく。お兄様達が使う魔法剣を私も魔法剣を使ってみたいと考えたけれど、先日剣術を覚えたばかりの初心者なので、私は諦めて魔法で倒す。
ある程度グリーンドラゴンを魔法石に変えると私達は次の階へと降りた。
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