43 / 87
43
しおりを挟む
「お父様。グリフォンは襲って来ないのですか?」
「グリフォンは賢い生き物だからこちらが刺激しない限りは攻撃しないんだ」
魔物ではあるけれど、グリフォンって格好いいし、凛々しくて素敵よね。グリフォン等の一部の魔物は知能が高く、人間と敵対しない魔物や共生に近い魔物もいる。
ここのグリフォンはどうやら外からダンジョンに入り込んだ魔物らしく、この階のモンスターを倒しながら住んでいるそうな。
確かにここなら九階辺りにいるオークは肉を落とすから確実に食糧を確保出来るし、二十八階は殆どの人は来ないから安全なんだろうね。
二十八階の元々いた魔物はバジリスクだったらしいが、グリフォンが巣食ってからは出なくなったそうな。
ダンジョン魔素は本物の魔物にも好都合なのか居心地は良いみたい。
私達はそっと二十九階へ移動しようとグリフォン達の巣横を通る。
すると、一匹の子犬程の大きさのグリフォンがヨロヨロと私の足元で座り、つぶらな瞳でじっと私を見ている。
グルルゥ。
親グリフォンは私達に向けて警戒をしているけれど、じっとこちらの様子をみているようだ。
「キュ、キュィ」
「お父様、この子、何か変です。グリフォンの巣に居る他の子より一際小さく、弱々しい」
「大丈夫よ」
そう声を掛けながら親グリフォンの前で抱き上げて撫でる。ふわふわで可愛いわ。そのままお父様に渡すと、どれどれ、と小さなグリフォンを全身隈なく診ている。
「ふむ。どうやらこの小グリフォンは呪いを受けているな。下のキメラにやられたのかもしれん。即死は免れたが、呪いを受け、徐々に魔力が抜けて死にかかっているのだろう。
通常のグリフォンなら呪いは受けないし、受けてもキメラが掛ける呪い程度なら跳ね返せるのが、このこは子供だから呪いを跳ね返す力がないようだ。
このままでは死んでしまう。いつもなら自然の摂理として私達は干渉しないのだが、私達の中で一番魔力が豊富で優しいソフィアに目を付けたな。賢い奴め」
「お父様、このグリフォンちゃんの呪いを解き、魔力を与えれば良いのですか?」
「まぁ、簡単に言えばそうだな」
お父様の話を聞き、早速、小グリフォンに魔力を少しずつ分け与える。殆どの魔物にはヒールは効きが悪い。
けれど魔物特有の回復力の高さがあり、多少の怪我はすぐ無くなる。私の魔力は小グリフォンを包み、小グリフォンは何だか気持ち良さそうだ。
「このグリフォン、ソフィアと魔力の相性が良いんだね」
「レオンお兄様、魔力に相性があるのですか?」
「勿論さ。僕達はオリヴェタン一族だから一族内なら魔力の質も似ていて、魔力の受け渡しも可能だが、他人との魔力の受け渡しはお互いの質を合わせてからの受け渡しになるから難しいし、ロスが出るので通常はしないんだ。
但し、ソフィアのクッキーは別だった。詳しく調べてみないと分からないが、ソフィアの魔力の質は本当の意味でも祖先と同じかもしれない。大昔の魔法使い達は魔力の受け渡しが容易だったらしい記述はあったからな」
そうなんだ。レオンお兄様の説明を聞きながら小グリフォンに魔力を分け与えていたが、魔力が満ちてきたので解呪魔法を唱える。
呪いも消えて小グリフォンはパタパタと跳ね回りはじめた。良かった。
私は小グリフォンをそっとグリフォンの巣に帰した。
「じゃあね。ちゃんと大きくなるのよ?」
「さぁ、治療も終わった。二十九階で休憩してボスを倒すぞ」
二十九階も水が流れている広場になっていた。お父様はまた術式を展開してお茶セットを用意し、おじい様達はサンドイッチを食べながら最下層のボスの話をしている。
「おじい様、三十階のボスは何ですか?」
「三十階はな、レッドドラゴンだ。こいつは偶に私とキャロ2人で倒す位の少し強い奴だな。誰が倒す?」
「私、倒してみたいです。お兄様達は疲労困憊の様子。お父様、私の補助をお願いしても良いですか?」
「もちろんだ。ソフィアが頑張るんだね。私はソフィアの危ない所の補助をするよ。息子達、ソフィアの全力を見て反省するように」
「お父様、まだ私、戦ってもいません」
「そうだな」
父は楽しそうにそう返した。
「ソフィアの全力か。楽しみだ」
お兄様達は笑顔でドラゴンをどう倒すのか話をしながら私の代わりに食事の片付けをしてくれている。
私はというと、レッドドラゴンとの戦い方を考え、魔力を練り上げておく。
私達は三十階へと進んでいく。
三十階は大きなフロアだが、ドラゴンが暴れたのか所々、壁にヒビが入り、床は少し抉られている部分があった。
中央の部分に大きなレッドドラゴンが鎮座していた。
「グリフォンは賢い生き物だからこちらが刺激しない限りは攻撃しないんだ」
魔物ではあるけれど、グリフォンって格好いいし、凛々しくて素敵よね。グリフォン等の一部の魔物は知能が高く、人間と敵対しない魔物や共生に近い魔物もいる。
ここのグリフォンはどうやら外からダンジョンに入り込んだ魔物らしく、この階のモンスターを倒しながら住んでいるそうな。
確かにここなら九階辺りにいるオークは肉を落とすから確実に食糧を確保出来るし、二十八階は殆どの人は来ないから安全なんだろうね。
二十八階の元々いた魔物はバジリスクだったらしいが、グリフォンが巣食ってからは出なくなったそうな。
ダンジョン魔素は本物の魔物にも好都合なのか居心地は良いみたい。
私達はそっと二十九階へ移動しようとグリフォン達の巣横を通る。
すると、一匹の子犬程の大きさのグリフォンがヨロヨロと私の足元で座り、つぶらな瞳でじっと私を見ている。
グルルゥ。
親グリフォンは私達に向けて警戒をしているけれど、じっとこちらの様子をみているようだ。
「キュ、キュィ」
「お父様、この子、何か変です。グリフォンの巣に居る他の子より一際小さく、弱々しい」
「大丈夫よ」
そう声を掛けながら親グリフォンの前で抱き上げて撫でる。ふわふわで可愛いわ。そのままお父様に渡すと、どれどれ、と小さなグリフォンを全身隈なく診ている。
「ふむ。どうやらこの小グリフォンは呪いを受けているな。下のキメラにやられたのかもしれん。即死は免れたが、呪いを受け、徐々に魔力が抜けて死にかかっているのだろう。
通常のグリフォンなら呪いは受けないし、受けてもキメラが掛ける呪い程度なら跳ね返せるのが、このこは子供だから呪いを跳ね返す力がないようだ。
このままでは死んでしまう。いつもなら自然の摂理として私達は干渉しないのだが、私達の中で一番魔力が豊富で優しいソフィアに目を付けたな。賢い奴め」
「お父様、このグリフォンちゃんの呪いを解き、魔力を与えれば良いのですか?」
「まぁ、簡単に言えばそうだな」
お父様の話を聞き、早速、小グリフォンに魔力を少しずつ分け与える。殆どの魔物にはヒールは効きが悪い。
けれど魔物特有の回復力の高さがあり、多少の怪我はすぐ無くなる。私の魔力は小グリフォンを包み、小グリフォンは何だか気持ち良さそうだ。
「このグリフォン、ソフィアと魔力の相性が良いんだね」
「レオンお兄様、魔力に相性があるのですか?」
「勿論さ。僕達はオリヴェタン一族だから一族内なら魔力の質も似ていて、魔力の受け渡しも可能だが、他人との魔力の受け渡しはお互いの質を合わせてからの受け渡しになるから難しいし、ロスが出るので通常はしないんだ。
但し、ソフィアのクッキーは別だった。詳しく調べてみないと分からないが、ソフィアの魔力の質は本当の意味でも祖先と同じかもしれない。大昔の魔法使い達は魔力の受け渡しが容易だったらしい記述はあったからな」
そうなんだ。レオンお兄様の説明を聞きながら小グリフォンに魔力を分け与えていたが、魔力が満ちてきたので解呪魔法を唱える。
呪いも消えて小グリフォンはパタパタと跳ね回りはじめた。良かった。
私は小グリフォンをそっとグリフォンの巣に帰した。
「じゃあね。ちゃんと大きくなるのよ?」
「さぁ、治療も終わった。二十九階で休憩してボスを倒すぞ」
二十九階も水が流れている広場になっていた。お父様はまた術式を展開してお茶セットを用意し、おじい様達はサンドイッチを食べながら最下層のボスの話をしている。
「おじい様、三十階のボスは何ですか?」
「三十階はな、レッドドラゴンだ。こいつは偶に私とキャロ2人で倒す位の少し強い奴だな。誰が倒す?」
「私、倒してみたいです。お兄様達は疲労困憊の様子。お父様、私の補助をお願いしても良いですか?」
「もちろんだ。ソフィアが頑張るんだね。私はソフィアの危ない所の補助をするよ。息子達、ソフィアの全力を見て反省するように」
「お父様、まだ私、戦ってもいません」
「そうだな」
父は楽しそうにそう返した。
「ソフィアの全力か。楽しみだ」
お兄様達は笑顔でドラゴンをどう倒すのか話をしながら私の代わりに食事の片付けをしてくれている。
私はというと、レッドドラゴンとの戦い方を考え、魔力を練り上げておく。
私達は三十階へと進んでいく。
三十階は大きなフロアだが、ドラゴンが暴れたのか所々、壁にヒビが入り、床は少し抉られている部分があった。
中央の部分に大きなレッドドラゴンが鎮座していた。
301
あなたにおすすめの小説
初恋を諦めたあなたが、幸せでありますように
ぽんちゃん
恋愛
『あなたのヒーローをお返しします。末永くお幸せに』
運命の日。
ルキナは婚約者候補のロミオに、早く帰ってきてほしいとお願いしていた。
(私がどんなに足掻いても、この先の未来はわかってる。でも……)
今頃、ロミオは思い出の小屋で、初恋の人と偶然の再会を果たしているだろう。
ロミオが夕刻までに帰ってくれば、サプライズでルキナとの婚約発表をする。
もし帰ってこなければ、ある程度のお金と文を渡し、お別れするつもりだ。
そしてルキナは、両親が決めた相手と婚姻することになる。
ただ、ルキナとロミオは、友人以上、恋人未満のような関係。
ルキナは、ロミオの言葉を信じて帰りを待っていた。
でも、帰ってきたのは護衛のみ。
その後に知らされたのは、ロミオは初恋の相手であるブリトニーと、一夜を共にしたという報告だった――。
《登場人物》
☆ルキナ(16) 公爵令嬢。
☆ジークレイン(24) ルキナの兄。
☆ロミオ(18) 男爵子息、公爵家で保護中。
★ブリトニー(18) パン屋の娘。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました
三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。
優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。
優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。
そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。
絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。
そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる