魔法使いとして頑張りますわ!

まるねこ

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 家族が揃ってダンジョンなんていつ以来だろうか。母上が生きていた頃はたまに行ってたいたけれど、俺達も大きくなった。

 たまに父上が修行と称してダンジョンに置き去りにされる以外は、ダンジョンに行く事もなくなっていた。

 ソフィアが我が家に来てから侯爵家は明かりが灯るような雰囲気が屋敷を包んだ。

 俺は跡取りとして、王命として、必ず誰かを娶らねばならない。が、婚約者候補者達はみな我が強く、選ぶことが出来ずにいる状態だった。

 父上にはソフィアと再会した日から何度も妻に迎えたいと言っていたのだが、聞く耳を持ってもらえず、はじめて父に苛立ちを覚えた。

 ソフィアが父宛に送ってきたクッキーを取り上げようかと思ったくらいだ。

 ソフィアはダンジョンで魔法を使う事に喜んでいる。魔法に関しては、まだまだ初心者だが、腐食魔法や酸魔法を使い勝手が良いように変えていくセンスには目を見張る物がある。

 敵を倒すのに忌避感が無いところも良い。えっへん!と聞こえて来そうな敵を倒した時の仕草も可愛い。テオも心を掴まれたのだろう。

 ダンジョンから帰った次の日の朝、突然魔力が邸全体を覆った事に気付き、ベッドから飛び起きる。

 だがその魔力は攻撃する訳でもなく、悪意なく、邸をただ覆っているような感じだが、魔力が作用しているのか邸の周りだけ雨が降っている。

 不思議な現象だった。

 庭を覗くと一面緑の絨毯になっていた。訳がわからない。慌てて服を着替え、ホールに向かうと家族皆、同じ考えだったようだ。

 ソフィアだけが居ない。

 もしや、ソフィアが?

 サロンでソフィアの話を聞くとやはりソフィアだった。原始魔法を使ったのだとか。

 初めて体感した原始魔法。
 不思議な感覚だった。

 ソフィアは皆の前で癒し魔法を使うと、俺は身体が光り、癒されていくのを理解した。昨日までの身体の疲れがなくなるのと同時に芽生える多幸感。

 やはり、ソフィアは素晴らしい。ソフィアは魔力が底を突いたと笑っているが、原始魔法を邸の範囲で三回も使えているし、実際はまだ魔力の底は突く気配は無い感じなのだが。

 まだ魔力量も伸び代がありそうだ。

 それと中庭では植物が一気に育った。無理に成長を促すようなものには感じなかったが、後で王宮魔法使いを派遣した上で土の状態や庭師の意見など調査も必要だな。

 回復魔法についても我々が使う治療魔法とは根本的に違うような感覚だ。

 もっと自然に回復させていくような感じ、か。

 だが、多幸感を湧き上がらせている間に治療をしていたのだとしたら我々が使う魔法と変わらないのか。

 根本的に精神にも作用する魔法なのだろうか?

 謎ばかりだな。これは少しずつ解明していくしかない。
 俺は思考の海に入りかけていたが、思い出した。

 今日は久々に家族全員が揃っている! そうだ、言うなら今だ。

「父上、この場を借りてはっきり言います。私はソフィアの夫になります。いや、させて下さい」

 父上の片眉が上がった。きっと俺にはまだ早いと言いたそうだ。祖父様に根回ししておいて良かった。

 無事、婚約まで辿り着く事ができた自分を褒めたい。これから婚約に向け、準備で忙しくなる。

 職場で婚約事を報告すると、何故だかすぐさま広まった様だった。連日のように王宮で働く侍女やどこぞの令嬢が魔法使いの棟へと押しかけてきた。

 香水臭く、気持ちの悪い奴等め。

 心とは裏腹に丁寧に令嬢達に説明して帰らせる日が続いた。どれもあの女と同じだ。ある日、俺は精神的に疲れたからと父上に仕事を押し付けて帰宅する。

 ちょうどそこにソフィアが学院から帰ってきており、ソフィアは困惑したような表情で俺に相談したいと言う。可愛いじゃないか。

 ソフィアの部屋に初めて入ったが、シンプルな部屋だった。後で年頃の女の子が気に入るような可愛い物を贈ってもいいな。

 そう思っていると、机の引き出しから魔道具を出して隷属反射の術式を脚に描いて欲しいと言ってきた。

 なぜ隷属反射なのだ?

 しかも脚に直接描くなんて聞いた事もない。

 誰に狙われているのか? よく分からないが、ソフィアが必死に頼んでくる姿に俺は折れた。

 ベッドに座り、脚の付け根までドレスをたくし上げる姿は流石の俺でもヤバい、理性との戦いだ。

 ソフィアの白く柔らかい肌に触れ、煩悩が俺を支配しそうだ。

 術式を描き始めると、やはり肌に直接作用するので痛いらしく、顔をゆがめながら必死に耐えている。不謹慎だが、痛みに耐えるソフィアも唆りとても魅惑的だ。

 術式を描き上げると、ソフィアは潤んだ目で俺を見ていて、気がついたらソフィアを抱きしめていた。

 危なく理性が吹き飛ぶ所だった。
 絶対、俺は試されているんだ。

 これは俺自身の戦いだ。ソフィアの侍女がお茶を淹れている間にどうにか落ち着きを取り戻す。

 ソフィアの身体の変化?気になるな。話を聞く限りでは原始魔法向きになるような体質の変化にも思うが。

 直接彼女の魔法に触れれば何か分かるかもしれない。そしてソフィアと魔力の交換を行ってみる。

 あぁ、先程戦いに勝った俺の理性がまたここに来て吹き飛びそうだ。

 体内に入ってくるソフィアの魔力は心地が良い。まるで肌と肌で触れ合うように、抱き合うような、ソフィアと俺との境界線が無くなるような不思議な感覚になるソフィアの魔力。あまりに刺激的でその魔力に魅了されそうになる。

 ソフィアをそのまま抱き寄せ、キスをするが、それ以上は侍女が阻みやがった。

 ぷるぷると可愛く震えていたソフィアは俺に抗議してきた。どうやらソフィアのファーストキスを奪ってしまったようだ。

 ソフィアの初めての体験は全て俺と一緒にしていきたい。夫になる俺の特権だ。
 テオ? まだ及第点も貰えていない。あいつにはまだ早い。魔力交換もさせるもんか。


 循環しているソフィアの魔力を感じながらソフィアの部屋を出て祖父様の研究室に入る。

 原始魔法をじい様の前で魔力を最小限に抑えながら唱えてみると、原始魔法が出せる事が判明し、祖父様と共に感動したんだ。

 先ほどの考えを祖父にも話した。

 原始魔法は精神にも作用するのか、現代の魔法との違いなど、そこからは寝るまでじい様と研究に没頭していたのだが、ラファルを迎えにきたソフィアの侍女に俺は怒られた。

 ソフィアはファーストキスを大切に考えていて、シチュエーションも色々と考えていたとの事。

 それはとても不味い事をしたと思う。

 横で聞いていた祖母様も呆れている。ソフィアの侍女に助言を求めると、女の子が憧れるシチュエーションをいくつか教えてくれた。

 出来るかどうかは怪しいが、今度、女の子が憧れるシチュエーションを演出し、頑張ってみるつもりだ。

 父上は仮の婚約者と言っていたが、ソフィアが王宮魔法使いになり、落ち着いたら結婚となるだろう。あと一年か二年後というところか。

 早くソフィアのドレス姿が見たい。
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