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三日後、婚約者との初顔合わせの日を迎えた。王宮の普段使う事がない外交官用のサロンで初顔合わせとなった。
私は着飾り、王妃と共にサロンに向かう。
「リヴィア、いい?相手は王族の血を引く公爵家。フェルディナンド子息をなんとしても捕まえておきなさい。分かったわね?」
「……はい。王妃様」
王妃なら自身の実家である公爵家の財力を使い、べニーシェイク公爵と共謀し、王子達を暗殺した後、私を女王にすることも厭わないだろう。例え私を女王にしなくとも孫を王にする事もやぶさかではないわ。
サロンに着くと先に居た公爵夫人とフェルディナンド様が立ち上がり、礼を執る。
「久しぶりね、エトワール」
「お久しぶりです。オリーディ王妃殿下。この度は我が息子との婚約、有難き幸せに存じますわ」
「ふふっ。そう堅苦しい事は止めて?私とエトワールの仲でしょう?」「そうですね。オリーディ様」
どうやら二人は旧知の仲のようだ。公爵夫人の隣に立っていた彼は一歩前に出て挨拶する。
「初めまして、僕はフェルディナンド・べニーシェイクです。僕のことはフェルディナンドとお呼びください」
ふわりと笑った彼はとても優しそうに思えた。
「初めまして、私はリヴィア・ジョール・ケルノッティ。お会いできて嬉しいですわ」
彼は満面の笑みを浮かべとても嬉しそうにしている。
その様子を見て私も素直に嬉しくなった。私は初めて会う同じ年齢の婚約者に緊張と不安で一杯だった。
「二人とも印象は良さそうね」
王妃が満足そうに言うと、夫人も頷く。
「リヴィア、これからフェルディナンドと仲良くするのですよ?」
「はい、お母様」
流石にこの日ばかりは王妃様と呼ぶのは不味い。
王妃もそこは分かっているようで優しい母のような笑顔で私を見ている。
二人は何か話し合うことがあるらしく、私達は早々に中庭を案内するように言われる。
中庭と言っても一般の人達に見せる中庭ではなく、王族がくつろぐためだけに作られている中庭の方へ案内することになった。
「フェルディナンド様は普段何をしていらっしゃるのですか?」
「僕は勉強と剣の練習をしています。それほど上手いとは言えませんが」
私を見て少し恥ずかしそうにしながら話をするフェルディナンド様。
「リヴィア様は普段何をしているのですか?貴族達のお茶会には出ないと聞きましたが」「私は公務以外は勉強をしています。お茶会などの出席は母が決めているのでよく分からないのです」
私も礼儀作法の教師から貴族はお茶会があるものだと聞いているので知識としてはもちろん習っている。けれど、母の目指すものはあくまで女王なのだろう。
政治を行う女王にはお茶会は必要ないと思っているのかもしれない。
「ここが王族専用の中庭ですわ」
「素晴らしいですね」
案内してみたものの私は一日の大半を部屋で過ごしていて庭に殆ど出たことがないのでとても緊張している。
それを知ってか王宮侍女達が席まで案内してくれる。
「リヴィア様、王宮の中庭は素晴らしいと聞いていましたが、本当に素晴らしいですね。僕、とても驚きました」
「私も」
「そうなんですか?」
「ええ。恥ずかしいけれど、私、毎日勉強をしていて部屋から出る事なんてほとんどないの。勉強で忙しくて……」
私は初めてダリア以外に言葉を崩して話をしてみた。すると彼も緊張が解けたのか笑顔で答えてくれた。
「そうなんだ。じゃあ今度一緒に勉強しよう? そうすればまたここでお茶が出来るよね!」
「本当? 嬉しい」
「僕、リヴィア様と一緒に勉強を頑張るよ!」
フェルディナンド様は笑顔でそう話をする。今まで私と一緒に過ごしてくれる人なんていなかったからとても嬉しい。
しばらく二人で話をした後、侍女に呼ばれてサロンへと戻った。王妃と公爵夫人は何を話していたのだろう。
二人とも会った時より笑顔で上機嫌のようだ。
「フェルディナンド、帰りますよ」「はい。母上。ではリヴィア様、また今度お会いしましょう」
公爵夫人とフェルディナンド様は従者に送られサロンを後にした。残った王妃は先ほどまでの雰囲気は一変する。
「リヴィア、べニーシェイク公爵子息を捕まえておきなさい。決して婚約破棄されることのないように」
「……はい。王妃様」
先ほどまで心がほんわりと温かかったのが急速に冷え固まっていく。
だが、王妃の公爵令息を捕まえておくという言葉のおかげでフェルディナンドが会いに来る時間だけは勉強を休むことが許された。
それはリヴィアにとって人生の中で今までにない程の幸せな時間になった。優しいフェルディナンドと話をしながらゆっくりとお茶を飲む。
彼は朗らかな性格でとても優しかった。
リヴィアの中で家族はダリアとモニカだけだ。ダリアは乳母兼侍女で母として慕っている。
モニカは最近リヴィア付きになった侍女でダリアの娘。リヴィアより歳が四つ上で、姉のような存在だ。
侍女は沢山いるけれど、モニカを専属にして欲しいと陛下に我儘を言った。陛下は今まで私が我儘を言わなかったため驚いていたが、これくらいなら問題ないとすぐに手配してくれたの。
陛下に言った初めての我儘かもしれない。
血の繋がった家族ほど遠い存在に感じてしまうのはいつものこと。
こうして私は婚約者を得て今までの色のない世界が色づいたような世界に見えた。
フェルディナンド様はとても優しくて紳士ですぐに好きになった。
私は着飾り、王妃と共にサロンに向かう。
「リヴィア、いい?相手は王族の血を引く公爵家。フェルディナンド子息をなんとしても捕まえておきなさい。分かったわね?」
「……はい。王妃様」
王妃なら自身の実家である公爵家の財力を使い、べニーシェイク公爵と共謀し、王子達を暗殺した後、私を女王にすることも厭わないだろう。例え私を女王にしなくとも孫を王にする事もやぶさかではないわ。
サロンに着くと先に居た公爵夫人とフェルディナンド様が立ち上がり、礼を執る。
「久しぶりね、エトワール」
「お久しぶりです。オリーディ王妃殿下。この度は我が息子との婚約、有難き幸せに存じますわ」
「ふふっ。そう堅苦しい事は止めて?私とエトワールの仲でしょう?」「そうですね。オリーディ様」
どうやら二人は旧知の仲のようだ。公爵夫人の隣に立っていた彼は一歩前に出て挨拶する。
「初めまして、僕はフェルディナンド・べニーシェイクです。僕のことはフェルディナンドとお呼びください」
ふわりと笑った彼はとても優しそうに思えた。
「初めまして、私はリヴィア・ジョール・ケルノッティ。お会いできて嬉しいですわ」
彼は満面の笑みを浮かべとても嬉しそうにしている。
その様子を見て私も素直に嬉しくなった。私は初めて会う同じ年齢の婚約者に緊張と不安で一杯だった。
「二人とも印象は良さそうね」
王妃が満足そうに言うと、夫人も頷く。
「リヴィア、これからフェルディナンドと仲良くするのですよ?」
「はい、お母様」
流石にこの日ばかりは王妃様と呼ぶのは不味い。
王妃もそこは分かっているようで優しい母のような笑顔で私を見ている。
二人は何か話し合うことがあるらしく、私達は早々に中庭を案内するように言われる。
中庭と言っても一般の人達に見せる中庭ではなく、王族がくつろぐためだけに作られている中庭の方へ案内することになった。
「フェルディナンド様は普段何をしていらっしゃるのですか?」
「僕は勉強と剣の練習をしています。それほど上手いとは言えませんが」
私を見て少し恥ずかしそうにしながら話をするフェルディナンド様。
「リヴィア様は普段何をしているのですか?貴族達のお茶会には出ないと聞きましたが」「私は公務以外は勉強をしています。お茶会などの出席は母が決めているのでよく分からないのです」
私も礼儀作法の教師から貴族はお茶会があるものだと聞いているので知識としてはもちろん習っている。けれど、母の目指すものはあくまで女王なのだろう。
政治を行う女王にはお茶会は必要ないと思っているのかもしれない。
「ここが王族専用の中庭ですわ」
「素晴らしいですね」
案内してみたものの私は一日の大半を部屋で過ごしていて庭に殆ど出たことがないのでとても緊張している。
それを知ってか王宮侍女達が席まで案内してくれる。
「リヴィア様、王宮の中庭は素晴らしいと聞いていましたが、本当に素晴らしいですね。僕、とても驚きました」
「私も」
「そうなんですか?」
「ええ。恥ずかしいけれど、私、毎日勉強をしていて部屋から出る事なんてほとんどないの。勉強で忙しくて……」
私は初めてダリア以外に言葉を崩して話をしてみた。すると彼も緊張が解けたのか笑顔で答えてくれた。
「そうなんだ。じゃあ今度一緒に勉強しよう? そうすればまたここでお茶が出来るよね!」
「本当? 嬉しい」
「僕、リヴィア様と一緒に勉強を頑張るよ!」
フェルディナンド様は笑顔でそう話をする。今まで私と一緒に過ごしてくれる人なんていなかったからとても嬉しい。
しばらく二人で話をした後、侍女に呼ばれてサロンへと戻った。王妃と公爵夫人は何を話していたのだろう。
二人とも会った時より笑顔で上機嫌のようだ。
「フェルディナンド、帰りますよ」「はい。母上。ではリヴィア様、また今度お会いしましょう」
公爵夫人とフェルディナンド様は従者に送られサロンを後にした。残った王妃は先ほどまでの雰囲気は一変する。
「リヴィア、べニーシェイク公爵子息を捕まえておきなさい。決して婚約破棄されることのないように」
「……はい。王妃様」
先ほどまで心がほんわりと温かかったのが急速に冷え固まっていく。
だが、王妃の公爵令息を捕まえておくという言葉のおかげでフェルディナンドが会いに来る時間だけは勉強を休むことが許された。
それはリヴィアにとって人生の中で今までにない程の幸せな時間になった。優しいフェルディナンドと話をしながらゆっくりとお茶を飲む。
彼は朗らかな性格でとても優しかった。
リヴィアの中で家族はダリアとモニカだけだ。ダリアは乳母兼侍女で母として慕っている。
モニカは最近リヴィア付きになった侍女でダリアの娘。リヴィアより歳が四つ上で、姉のような存在だ。
侍女は沢山いるけれど、モニカを専属にして欲しいと陛下に我儘を言った。陛下は今まで私が我儘を言わなかったため驚いていたが、これくらいなら問題ないとすぐに手配してくれたの。
陛下に言った初めての我儘かもしれない。
血の繋がった家族ほど遠い存在に感じてしまうのはいつものこと。
こうして私は婚約者を得て今までの色のない世界が色づいたような世界に見えた。
フェルディナンド様はとても優しくて紳士ですぐに好きになった。
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