6 / 26
6
しおりを挟む
今日はキリの良い所で治療を終えて神父様に会いに行く。
「神父様、私、そろそろ次の街に行こうと思います。短い間でしたが有難うございました」
「もう、行ってしまうのか。気をつけて行くんだよ。また此処へ帰っておいで」
神父様にも挨拶をしたし、最後に食堂でご飯を食べて行こう。
「おばちゃん、今日のオススメはなぁに」
「今日は早いね。オススメはオーク焼きだよ」
「じゃあ、それを一つ」
オークって見た目は酷いのよね。ヨダレを垂らして本能のままに生きてる感じだし。でもお肉は絶品だわ。熱々に焼かれた肉を口一杯に詰め込んで甘い脂の余韻を楽しむ。
「おばちゃん、美味しかったよ。今から次の街に向かうんだ。また食べにくるからね」
「そうかい。行っちまうのかい。何だか寂しいね。気をつけてお行きよ」
食堂を出て、商店で食料を買い込み、馬を馬車に繋いで出発。神父様が教えてくれた次の街。この道を進んでいくと次は小さな村があるみたい。
今度はその村に滞在しようと考えながらまた道端の薬草を摘み取りつつ村へと向かう。
……のんびりでいいわ。性に合っているかも。
最初は知識やお金の為に治療院を開いてゆくゆくは王宮魔法使いに!なんて考えていたけれど、治療師として生きていくのも良いかもしれないと思っている。
丸1日程馬車で走った所で次の村に到着。ロッケの村。本当に小さな村だわ。30軒程度の集落という所かしら。
私は教会前に馬車を停めて挨拶しに行く。ここの教会の神父様は気のいいおじいちゃんという感じ。
「神父様、突然の訪問をお許し下さい。私、旅の治療師をしていて3日程この村に滞在したいと思っています」
「こんなに小さいのに治療師とは。ここは人も少ないからのぉ。まぁ、お金にはならんが、人脈を広げる練習として許可するよ。この村の中央の家に村長がいるから一声掛けるといい。馬車は教会横に停めなさい」
「有難う御座います。早速、村長さんにお話をしてきますね」
馬車を教会横に停めて村長さんの家へ向かう。
ートントンー
私は教えられた村長さんの家にノックして顔を出した。
「ごめんください。村長さんは居られますか」
「どうしたんだい。お嬢ちゃん。わしがこの村の村長だが」
「私、ゾエと言います。旅の治療師をしていてこの村に寄りました。3日間程、滞在しようと思っていて挨拶にきました」
「こんなに若いのに凄いねぇ。この村は平和だから今の所「村長!大変です。魔物が村に入りました。避難して下さい!!今、村人が退治しているのですが、倒せずに怪我人も出ています!!」」
そう声が聞こえたと同時に警告の鐘が村中に響き渡る。若い村人が慌てた様子で声を張り上げ、皆に避難するように呼びかけている。
「お嬢ちゃん。危ないから急いで避難だ。大丈夫、村はまた再建出来る」
村長さんは私が怯えないように優しくそう言った。私を連れて避難しようと家の扉を開けるとーー
視界に飛び込んできたのはサイクロプスだった。身の丈3メートルは有ろうかと思われる一つ目の巨人である。
広場の端の方には倒れている人達が見える。早く倒さないと危ないわね。
「お嬢ちゃん、早く」
村長さんが私の手を引き、逃げようとする。
「村長さん。私は魔法が使えます。先に避難をして下さい」
そう言って私は村長さんと繋いでいた手を解き、村長さんを押して逃がすと、私は広場の中央にいるサイクロプスの前に立つ。
少し長い唱詠を唱え、魔法陣を足元に浮き上がらせた後、サイクロプスの攻撃が当たらない程度に後ろに下がる。
サイクロプスはそのまま下がった私を追うように前へ進み陣を踏みこんだ。陣は光ると同時に足元から金属音を立ててサイクロプスの周りを囲む。
ガシャンと締める音がして、サイクロプスを囲う檻が完成した。
よし。久々だけれど上手くいったわ。
サイクロプスは檻から出ようと攻撃を行うがびくともしない。
今がチャンス。
私は再び唱詠を唱えた。【アイスアロー】無数の氷の矢が格子を抜けてサイクロプスに刺さっていく。サイクロプスは大声で唸りながら檻を力一杯叩く。【アイスランス】素早く次の魔法を唱詠。
氷の槍が目を一突きすると、サイクロプスは倒れて動かなくなった。
私はサイクロプスが絶命した事を確認すると倒れている人達に駆け寄り、怪我の具合を確認していく。肋骨が折られて内臓が傷ついている人が多いわ。時間との勝負ね。
「誰か、怪我人を一箇所に集めて下さい!」
「神父様、私、そろそろ次の街に行こうと思います。短い間でしたが有難うございました」
「もう、行ってしまうのか。気をつけて行くんだよ。また此処へ帰っておいで」
神父様にも挨拶をしたし、最後に食堂でご飯を食べて行こう。
「おばちゃん、今日のオススメはなぁに」
「今日は早いね。オススメはオーク焼きだよ」
「じゃあ、それを一つ」
オークって見た目は酷いのよね。ヨダレを垂らして本能のままに生きてる感じだし。でもお肉は絶品だわ。熱々に焼かれた肉を口一杯に詰め込んで甘い脂の余韻を楽しむ。
「おばちゃん、美味しかったよ。今から次の街に向かうんだ。また食べにくるからね」
「そうかい。行っちまうのかい。何だか寂しいね。気をつけてお行きよ」
食堂を出て、商店で食料を買い込み、馬を馬車に繋いで出発。神父様が教えてくれた次の街。この道を進んでいくと次は小さな村があるみたい。
今度はその村に滞在しようと考えながらまた道端の薬草を摘み取りつつ村へと向かう。
……のんびりでいいわ。性に合っているかも。
最初は知識やお金の為に治療院を開いてゆくゆくは王宮魔法使いに!なんて考えていたけれど、治療師として生きていくのも良いかもしれないと思っている。
丸1日程馬車で走った所で次の村に到着。ロッケの村。本当に小さな村だわ。30軒程度の集落という所かしら。
私は教会前に馬車を停めて挨拶しに行く。ここの教会の神父様は気のいいおじいちゃんという感じ。
「神父様、突然の訪問をお許し下さい。私、旅の治療師をしていて3日程この村に滞在したいと思っています」
「こんなに小さいのに治療師とは。ここは人も少ないからのぉ。まぁ、お金にはならんが、人脈を広げる練習として許可するよ。この村の中央の家に村長がいるから一声掛けるといい。馬車は教会横に停めなさい」
「有難う御座います。早速、村長さんにお話をしてきますね」
馬車を教会横に停めて村長さんの家へ向かう。
ートントンー
私は教えられた村長さんの家にノックして顔を出した。
「ごめんください。村長さんは居られますか」
「どうしたんだい。お嬢ちゃん。わしがこの村の村長だが」
「私、ゾエと言います。旅の治療師をしていてこの村に寄りました。3日間程、滞在しようと思っていて挨拶にきました」
「こんなに若いのに凄いねぇ。この村は平和だから今の所「村長!大変です。魔物が村に入りました。避難して下さい!!今、村人が退治しているのですが、倒せずに怪我人も出ています!!」」
そう声が聞こえたと同時に警告の鐘が村中に響き渡る。若い村人が慌てた様子で声を張り上げ、皆に避難するように呼びかけている。
「お嬢ちゃん。危ないから急いで避難だ。大丈夫、村はまた再建出来る」
村長さんは私が怯えないように優しくそう言った。私を連れて避難しようと家の扉を開けるとーー
視界に飛び込んできたのはサイクロプスだった。身の丈3メートルは有ろうかと思われる一つ目の巨人である。
広場の端の方には倒れている人達が見える。早く倒さないと危ないわね。
「お嬢ちゃん、早く」
村長さんが私の手を引き、逃げようとする。
「村長さん。私は魔法が使えます。先に避難をして下さい」
そう言って私は村長さんと繋いでいた手を解き、村長さんを押して逃がすと、私は広場の中央にいるサイクロプスの前に立つ。
少し長い唱詠を唱え、魔法陣を足元に浮き上がらせた後、サイクロプスの攻撃が当たらない程度に後ろに下がる。
サイクロプスはそのまま下がった私を追うように前へ進み陣を踏みこんだ。陣は光ると同時に足元から金属音を立ててサイクロプスの周りを囲む。
ガシャンと締める音がして、サイクロプスを囲う檻が完成した。
よし。久々だけれど上手くいったわ。
サイクロプスは檻から出ようと攻撃を行うがびくともしない。
今がチャンス。
私は再び唱詠を唱えた。【アイスアロー】無数の氷の矢が格子を抜けてサイクロプスに刺さっていく。サイクロプスは大声で唸りながら檻を力一杯叩く。【アイスランス】素早く次の魔法を唱詠。
氷の槍が目を一突きすると、サイクロプスは倒れて動かなくなった。
私はサイクロプスが絶命した事を確認すると倒れている人達に駆け寄り、怪我の具合を確認していく。肋骨が折られて内臓が傷ついている人が多いわ。時間との勝負ね。
「誰か、怪我人を一箇所に集めて下さい!」
263
あなたにおすすめの小説
「不吉な黒」と捨てられた令嬢、漆黒の竜を「痛いの飛んでいけー!」で完治させてしまう
ムラサメ
恋愛
漆黒の髪と瞳。ただそれだけの理由で「不吉なゴミ」と虐げられてきた公爵令嬢ミア。
死の森に捨てられた彼女が出会ったのは、呪いに侵され、最期を待つ最強の黒竜と、その相棒である隣国の竜騎士ゼノだった。
しかし、ミアが無邪気に放った「おまじない」は、伝説の浄化魔法となって世界を塗り替える。
向こう見ずな天才騎士に拾われたミアは、隣国で「女神」として崇められ、徹底的に甘やかされることに。
一方、浄化の源を失った王国は、みるみるうちに泥沼へと沈んでいき……?
『壁の花』の地味令嬢、『耳が良すぎる』王子殿下に求婚されています〜《本業》に差し支えるのでご遠慮願えますか?〜
水都 ミナト
恋愛
マリリン・モントワール伯爵令嬢。
実家が運営するモントワール商会は王国随一の大商会で、優秀な兄が二人に、姉が一人いる末っ子令嬢。
地味な外観でパーティには来るものの、いつも壁側で1人静かに佇んでいる。そのため他の令嬢たちからは『地味な壁の花』と小馬鹿にされているのだが、そんな嘲笑をものととせず彼女が壁の花に甘んじているのには理由があった。
「商売において重要なのは『信頼』と『情報』ですから」
※設定はゆるめ。そこまで腹立たしいキャラも出てきませんのでお気軽にお楽しみください。2万字程の作品です。
※カクヨム様、なろう様でも公開しています。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜
神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。
聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。
イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。
いわゆる地味子だ。
彼女の能力も地味だった。
使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。
唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。
そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。
ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。
しかし、彼女は目立たない実力者だった。
素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。
司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。
難しい相談でも難なくこなす知識と教養。
全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。
彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。
彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。
地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。
全部で5万字。
カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。
HOTランキング女性向け1位。
日間ファンタジーランキング1位。
日間完結ランキング1位。
応援してくれた、みなさんのおかげです。
ありがとうございます。とても嬉しいです!
追放悪役令嬢のスローライフは止まらない!~辺境で野菜を育てていたら、いつの間にか国家運営する羽目になりました~
緋村ルナ
ファンタジー
「計画通り!」――王太子からの婚約破棄は、窮屈な妃教育から逃れ、自由な農業ライフを手に入れるための完璧な計画だった!
前世が農家の娘だった公爵令嬢セレスティーナは、追放先の辺境で、前世の知識と魔法を組み合わせた「魔法農業」をスタートさせる。彼女が作る奇跡の野菜と心温まる料理は、痩せた土地と人々の心を豊かにし、やがて小さな村に起こした奇跡は、国全体を巻き込む大きなうねりとなっていく。
これは、自分の居場所を自分の手で作り出した、一人の令嬢の痛快サクセスストーリー! 悪役の仮面を脱ぎ捨てた彼女が、個人の幸せの先に掴んだものとは――。
『しろくま通りのピノ屋さん 〜転生モブは今日もお菓子を焼く〜』
miigumi
ファンタジー
前世では病弱で、病室の窓から空を見上げることしかできなかった私。
そんな私が転生したのは、魔法と剣があるファンタジーの世界。
……とはいえ、勇者でも聖女でもなく、物語に出てこない“モブキャラ”でした。
貴族の家に生まれるも馴染めず、破門されて放り出された私は、街の片隅――
「しろくま通り」で、小さなお菓子屋さんを開くことにしました。
相棒は、拾ったまんまるのペンギンの魔物“ピノ”。
季節の果物を使って、前世の記憶を頼りに焼いたお菓子は、
気づけばちょっぴり評判に。
できれば平和に暮らしたいのに、
なぜか最近よく現れるやさしげな騎士さん――
……って、もしかして勇者パーティーの人なんじゃ?!
静かに暮らしたい元病弱転生モブと、
彼女の焼き菓子に癒される人々の、ちょっと甘くて、ほんのり騒がしい日々の物語。
追放令嬢、辺境王国で無双して王宮を揺るがす
yukataka
ファンタジー
王国随一の名門ハーランド公爵家の令嬢エリシアは、第一王子の婚約者でありながら、王宮の陰謀により突然追放される。濡れ衣を着せられ、全てを奪われた彼女は極寒の辺境国家ノルディアへと流される。しかしエリシアには秘密があった――前世の記憶と現代日本の経営知識を持つ転生者だったのだ。荒廃した辺境で、彼女は持ち前の戦略眼と人心掌握術で奇跡の復興を成し遂げる。やがて彼女の手腕は王国全土を震撼させ、自らを追放した者たちに復讐の刃を向ける。だが辺境王ルシアンとの運命的な出会いが、彼女の心に新たな感情を芽生えさせていく。これは、理不尽に奪われた女性が、知略と情熱で世界を変える物語――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる