【完結】令嬢は売られ、捨てられ、治療師として頑張ります。

まるねこ

文字の大きさ
7 / 26

7

しおりを挟む
 私は必死で叫んだ。

 何度か叫ぶと声が届いたようで避難しようとしていた村人達が戻ってきて、動かなくなった魔物を横目に怪我人を運んでくれている。怪我人は6人ね。

 一番酷い怪我の人から優先して治療していく事にした。けれど、一人一人のダメージは大きいわ。

「誰か、この人の千切れた腕を探してきて!今ならまだくっつくわ」

私の言葉に涙を流して立ち尽くしていた女の人が走り出す。私は失った物は生やせないけれど、くっつけて修復は出来る。

その間に内臓が傷ついている人達の治療を行っていく。

「腕、見つかったわ!!」

 大声で何度も見つかったと口にしながら女の人は千切れた腕を抱えて駆け寄ってくる。

普通の女の人ならこの惨劇にパニックになったり、倒れる事もあるわ。それなのに震えながらも腕を探して抱えて持ってくるのは凄い事だわ。

私は取れた腕を受け取ると、治療魔法を使い接合していく。なんとかくっついたわ。動くかどうかの確認は後日ね。

6人の重症者を治した所で目眩を起こす。

「ごめんなさい。魔力が枯渇する前に今日はもう休みます。大きな治療は終わったので、後は怪我人の身体を拭いて安静にさせて下さい」

そう言ってフラフラと歩きだす。

 久々の緊張感と攻撃魔法。いくら魔力が前世とは比べ物にならないほど増えてるとは言え、久々の戦闘と6人のフル治療は疲れたわ。

馬車の周りに体力の限界を感じながら結界杭を打ち込んで即就寝。

何だか色々と限界突破出来そう!



 翌朝、目覚めるとすぐに村長さんの所へ向かう。昨日、治療した人達の具合を確認したかったからね。村長さんは私を見るなり大喜びで出迎えてくれた。

「村長さん、皆の怪我人の具合はどうですか」

「君のおかげで6人とも元気になっていた。本当に有り難う」

村長さんは安堵の笑みを浮かべている。良かったわ。

「腕の千切れた彼は大丈夫でしたか?」

「あぁ、大丈夫だろう。手を動かしてはいたぞ。2軒隣の家だ後で行ってみると良い」

「分かりました。治療費についてなのですが、重症者の治療なので6人で6万ルーでお願いします」

「6万ルーで本当にいいのか!?サイクロプスを倒したのはどうするのだ。素材だけでも15万ルーはするぞ」

「私は治療師なのでサイクロプスの素材は要らないです。村でサイクロプスの処理をお願いします。あと、怪我人の傷の治療はしましたが、失った血は元には戻せないので当分は安静させて下さい」

「……分かった」

そう言って村長さんは治療費の安さに不満を漏らしていたが、しっかりと支払いをしてくれた。

どうやらこの村は他に病人も居なそうだし、やる事もないわ。明日には出発しても問題は無さそう。

 私は治療後の状態を確認する為に2軒隣の腕が治った人のお家へ向かう。

「すみませーん。腕の具合を見にきました」

 女の人の声と共に扉がカチャリと開く。昨日、必死に腕を探して持ってきた人だわ。新婚なのだろうか。美人な奥さんね。

私はベッドで寝ている男の人に魔力を纏わせて他の怪我の場所を探す。

アフターフォローもばっちりよ。

所々打撲の痕が見られた位かな。腕はしっかり繋がっていて問題無く動かせているみたい。良かったわ。男の人は今にも働きに出そうな勢いなので打撲の治療はやめにする。

血が足りないのよ。危険なのよそこの貴方!

心の中で叫んでみる。奥さんは私の言いつけ通り、旦那さんをベッドで寝かせておくと約束してくれたし、大丈夫よね。

何か食べて行かないかと言われたけど、新婚さんの邪魔しちゃ悪いからと家を出た。

私はまだまだ子供だし、気を使わない方がいいんだろうね。こういう時は。

この村、唯一の商店で食料品を買って馬車に向って歩きだす。


明日はこの村を発って王都に向かおうかな。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

「不吉な黒」と捨てられた令嬢、漆黒の竜を「痛いの飛んでいけー!」で完治させてしまう

ムラサメ
恋愛
​漆黒の髪と瞳。ただそれだけの理由で「不吉なゴミ」と虐げられてきた公爵令嬢ミア。 死の森に捨てられた彼女が出会ったのは、呪いに侵され、最期を待つ最強の黒竜と、その相棒である隣国の竜騎士ゼノだった。 しかし、ミアが無邪気に放った「おまじない」は、伝説の浄化魔法となって世界を塗り替える。 向こう見ずな天才騎士に拾われたミアは、隣国で「女神」として崇められ、徹底的に甘やかされることに。 一方、浄化の源を失った王国は、みるみるうちに泥沼へと沈んでいき……?

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜

神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。 聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。 イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。 いわゆる地味子だ。 彼女の能力も地味だった。 使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。 唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。 そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。 ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。 しかし、彼女は目立たない実力者だった。 素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。 司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。 難しい相談でも難なくこなす知識と教養。 全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。 彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。 彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。 地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。 全部で5万字。 カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。 HOTランキング女性向け1位。 日間ファンタジーランキング1位。 日間完結ランキング1位。 応援してくれた、みなさんのおかげです。 ありがとうございます。とても嬉しいです!

追放令嬢、辺境王国で無双して王宮を揺るがす

yukataka
ファンタジー
王国随一の名門ハーランド公爵家の令嬢エリシアは、第一王子の婚約者でありながら、王宮の陰謀により突然追放される。濡れ衣を着せられ、全てを奪われた彼女は極寒の辺境国家ノルディアへと流される。しかしエリシアには秘密があった――前世の記憶と現代日本の経営知識を持つ転生者だったのだ。荒廃した辺境で、彼女は持ち前の戦略眼と人心掌握術で奇跡の復興を成し遂げる。やがて彼女の手腕は王国全土を震撼させ、自らを追放した者たちに復讐の刃を向ける。だが辺境王ルシアンとの運命的な出会いが、彼女の心に新たな感情を芽生えさせていく。これは、理不尽に奪われた女性が、知略と情熱で世界を変える物語――。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

『しろくま通りのピノ屋さん 〜転生モブは今日もお菓子を焼く〜』

miigumi
ファンタジー
前世では病弱で、病室の窓から空を見上げることしかできなかった私。 そんな私が転生したのは、魔法と剣があるファンタジーの世界。 ……とはいえ、勇者でも聖女でもなく、物語に出てこない“モブキャラ”でした。 貴族の家に生まれるも馴染めず、破門されて放り出された私は、街の片隅―― 「しろくま通り」で、小さなお菓子屋さんを開くことにしました。 相棒は、拾ったまんまるのペンギンの魔物“ピノ”。 季節の果物を使って、前世の記憶を頼りに焼いたお菓子は、 気づけばちょっぴり評判に。 できれば平和に暮らしたいのに、 なぜか最近よく現れるやさしげな騎士さん―― ……って、もしかして勇者パーティーの人なんじゃ?! 静かに暮らしたい元病弱転生モブと、 彼女の焼き菓子に癒される人々の、ちょっと甘くて、ほんのり騒がしい日々の物語。

【完結】没落令嬢、異世界で紅茶店を開くことにいたしました〜香りと静寂と癒しの一杯をあなたに〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
夜会で父が失脚し、家は没落。屋敷の裏階段で滑り落ち、気づけば異世界――。 王国貴族だったアナスタシアが転移先で授かったのは、“極上調合”という紅茶とハーブのスキルだった。 戦う気はございませんの。復讐もざまぁも、疲れますわ。 彼女が選んだのは、湖畔の古びた小屋で静かにお茶を淹れること。 奇跡の一杯は病を癒やし、呪いを祓い、魔力を整える力を持つが、 彼女は誰にも媚びず、ただ静けさの中で湯気を楽しむのみ。 「お代は結構ですわ。……代わりに花と静寂を置いていってくださる?」 騎士も王女も英雄も訪れるが、彼女は気まぐれに一杯を淹れるだけ。 これは、香草と紅茶に囲まれた元令嬢の、優雅で自由な異世界スローライフ。

処理中です...