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21 父からの呼び出し
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翌日、オルガ様から手紙が送られてきた。
謝罪と「会えて嬉しかった、また今度の休みに一緒に出掛けよう」と書かれていた。
……嬉しい。
手紙の言葉を何度も読み返しては反芻し、落ち着かない自分がいる。
小さなことで一喜一憂するなんて思ってもみなかった。
「ケイティ、オルガ様から会えて嬉しかったって書かれているの。でね……」
私は浮かれてケイティに話をする。ケイティはハイハイと答えながら聞いてくれている。
「お嬢様が恋に浮かれているところ申し訳ありませんが、ジョセフ様がお呼びです」
「お父様が? わかったわ。今すぐ行くわ」
父が朝から邸にいるなんて珍しい。何か貴族の中で動きがあったのだろうか。私は気を引き締めて執務室へと向かった。
「お父様、おはようございます。お呼びでしょうか」
「ああ、ジネット。おはよう」
父は書類に目を通しながら朝食を摂っていた。
「ミラ嬢とレオ・バルベ伯爵子息との結婚式の日程が決まった」
えっ!?
私は突然の話に驚いて目を丸くした。
「えっと、お父様。婚約、ではなく結婚式、ですか?」
「そうだ。彼女は王家の後ろ盾があるとはいえ、男爵令嬢だ。陛下の望み通り上位貴族に嫁がせようとするのなら、近い年齢では彼以外に適当な者がいないからな。
それにミラ嬢も彼を気に入っているようだし、問題ないだろうと判断されたようだ。ジネットはまだレオのことを気にしているのか?」
「そうなんですね。レオ様が幸せならそれで充分です」
「そうか。で、オルガ・サラフィス公爵子息とはどうだ?」
「オルガ様とはいい関係を続けていると思います」
「そうか、それはよかった。陛下はセレスティナ王女の護衛からオルガ副官を外すように指示をしたが、セレスティナ王女は拒否しているようだ。更に隣国に彼を連れていきたいと駄々をこねている」
「それはさすがに……」
「ああ、荒唐無稽な話だ。現在、王女はオルガ副官以外の騎士も五名ほど侍らせているが、婚約者ができたオルガ副官を目の敵にして攻撃をしてきている。彼はいつ襲撃されてもおかしくない状況だ」
「……敵を排除するしかないですね」
「ああ、私も手を打つためにこれから王宮へ向かう。大事な婿だからな」
父の中では決定事項のようだ。レオ様の時は婿候補と言っていたが、オルガ様は既に婿になっている。
父に認められていることが嬉しい。
「私が動くことはありますか?」
「いや、今は特にない。だが、王女や取り巻きたちはジネットを狙ってくるだろうから気を付けるように」
「わかりました」
どうやらセレスティナ王女のせいで私を襲おうとする輩が出てくるということね。返り討ちにしてやるわ。
そこから私は一旦領地に戻り、オルガ様と会う日を待ち焦がれていた。
その間にも彼と手紙のやり取りを続けている。
好きな物の話や領地の話、ドラゴンの話もしたわ。彼はマリリンに会ってみたいと言ってくれているのも嬉しい。
彼は今、セレスティナ王女の護衛をする日が減り、本来の副官としての仕事をしているみたい。
私は領地に戻ってからはいつものように父の執務を手伝い、魔獣の討伐に精を出していた。
少し変わったことと言えば、オルガ様から三日に一度手紙が来るようになった。
内容は近況報告と私を気遣う言葉。レオ様はほとんど手紙を返してくれなかったけれど、オルガ様は筆まめな方なのだと思う。
「ジネットお嬢様、ジョセフ様がお呼びです」
「今行くわ」
私は父の執務室に入ると、父は難しい顔をしていた。
「お父様、お呼びでしょうか」
「ああ、ジネット。タウンハウスの従者から連絡があった。まあ、とりあえず、これを」
私は父から手紙を受け取り、手紙に目を通す。
手紙には、「セレスティナ王女が毒を『手に入れようと』王都の悪い噂のある商会と接触している」との知らせが書かれていた。
「まさか」
「そのまさかだろうな。ちょうどここにセレスティナ王女から『お茶会に参加するように』と命令が来ている」
「私が狙われているということでしょうか?」
「わからん。こちらの方でも様々な方向から調べるように指示を出したが、まだ王女の目的は分かっていない」
「……わかりました。念のため用心して準備しておきます」
「はあ、全く。王女の我儘もいい加減にしてほしいものだ。それを許す陛下も陛下だ。苦言を呈しても娘のことに関してはなあなあで済ませようとしている」
セレスティナ王女の我儘は私の耳にも届いている。
セレスティナ王女に❘傅≪かしず≫く令息たちには猫なで声で甘え、苦言を呈する令嬢たちには冷酷な仕打ちをする。
そのせいか王女の周りには王女を賛美する者しかいない。
好き勝手しているのは末の王女だから許されている部分もあるが、今年はデビュタントの年でもある。
先にセレスティナ王女がデビュタントしたが、ミラ嬢の話題でセレスティナ王女の話題はかき消され、内心、苛立っているだろう。
そんな中、突然オルガ副官が婚約したことで彼女は動いたのかもしれない。
ミラ嬢に対する攻撃なのか、私に向けた攻撃なのか。
面倒なことね。
心がズシリと重くなる。
重いため息を吐きながら彼に手紙を書いていく。
オルガ様は大丈夫かしら。
心配しながらケイティと共に、セレスティナ王女のお茶会の準備をすることになった。
謝罪と「会えて嬉しかった、また今度の休みに一緒に出掛けよう」と書かれていた。
……嬉しい。
手紙の言葉を何度も読み返しては反芻し、落ち着かない自分がいる。
小さなことで一喜一憂するなんて思ってもみなかった。
「ケイティ、オルガ様から会えて嬉しかったって書かれているの。でね……」
私は浮かれてケイティに話をする。ケイティはハイハイと答えながら聞いてくれている。
「お嬢様が恋に浮かれているところ申し訳ありませんが、ジョセフ様がお呼びです」
「お父様が? わかったわ。今すぐ行くわ」
父が朝から邸にいるなんて珍しい。何か貴族の中で動きがあったのだろうか。私は気を引き締めて執務室へと向かった。
「お父様、おはようございます。お呼びでしょうか」
「ああ、ジネット。おはよう」
父は書類に目を通しながら朝食を摂っていた。
「ミラ嬢とレオ・バルベ伯爵子息との結婚式の日程が決まった」
えっ!?
私は突然の話に驚いて目を丸くした。
「えっと、お父様。婚約、ではなく結婚式、ですか?」
「そうだ。彼女は王家の後ろ盾があるとはいえ、男爵令嬢だ。陛下の望み通り上位貴族に嫁がせようとするのなら、近い年齢では彼以外に適当な者がいないからな。
それにミラ嬢も彼を気に入っているようだし、問題ないだろうと判断されたようだ。ジネットはまだレオのことを気にしているのか?」
「そうなんですね。レオ様が幸せならそれで充分です」
「そうか。で、オルガ・サラフィス公爵子息とはどうだ?」
「オルガ様とはいい関係を続けていると思います」
「そうか、それはよかった。陛下はセレスティナ王女の護衛からオルガ副官を外すように指示をしたが、セレスティナ王女は拒否しているようだ。更に隣国に彼を連れていきたいと駄々をこねている」
「それはさすがに……」
「ああ、荒唐無稽な話だ。現在、王女はオルガ副官以外の騎士も五名ほど侍らせているが、婚約者ができたオルガ副官を目の敵にして攻撃をしてきている。彼はいつ襲撃されてもおかしくない状況だ」
「……敵を排除するしかないですね」
「ああ、私も手を打つためにこれから王宮へ向かう。大事な婿だからな」
父の中では決定事項のようだ。レオ様の時は婿候補と言っていたが、オルガ様は既に婿になっている。
父に認められていることが嬉しい。
「私が動くことはありますか?」
「いや、今は特にない。だが、王女や取り巻きたちはジネットを狙ってくるだろうから気を付けるように」
「わかりました」
どうやらセレスティナ王女のせいで私を襲おうとする輩が出てくるということね。返り討ちにしてやるわ。
そこから私は一旦領地に戻り、オルガ様と会う日を待ち焦がれていた。
その間にも彼と手紙のやり取りを続けている。
好きな物の話や領地の話、ドラゴンの話もしたわ。彼はマリリンに会ってみたいと言ってくれているのも嬉しい。
彼は今、セレスティナ王女の護衛をする日が減り、本来の副官としての仕事をしているみたい。
私は領地に戻ってからはいつものように父の執務を手伝い、魔獣の討伐に精を出していた。
少し変わったことと言えば、オルガ様から三日に一度手紙が来るようになった。
内容は近況報告と私を気遣う言葉。レオ様はほとんど手紙を返してくれなかったけれど、オルガ様は筆まめな方なのだと思う。
「ジネットお嬢様、ジョセフ様がお呼びです」
「今行くわ」
私は父の執務室に入ると、父は難しい顔をしていた。
「お父様、お呼びでしょうか」
「ああ、ジネット。タウンハウスの従者から連絡があった。まあ、とりあえず、これを」
私は父から手紙を受け取り、手紙に目を通す。
手紙には、「セレスティナ王女が毒を『手に入れようと』王都の悪い噂のある商会と接触している」との知らせが書かれていた。
「まさか」
「そのまさかだろうな。ちょうどここにセレスティナ王女から『お茶会に参加するように』と命令が来ている」
「私が狙われているということでしょうか?」
「わからん。こちらの方でも様々な方向から調べるように指示を出したが、まだ王女の目的は分かっていない」
「……わかりました。念のため用心して準備しておきます」
「はあ、全く。王女の我儘もいい加減にしてほしいものだ。それを許す陛下も陛下だ。苦言を呈しても娘のことに関してはなあなあで済ませようとしている」
セレスティナ王女の我儘は私の耳にも届いている。
セレスティナ王女に❘傅≪かしず≫く令息たちには猫なで声で甘え、苦言を呈する令嬢たちには冷酷な仕打ちをする。
そのせいか王女の周りには王女を賛美する者しかいない。
好き勝手しているのは末の王女だから許されている部分もあるが、今年はデビュタントの年でもある。
先にセレスティナ王女がデビュタントしたが、ミラ嬢の話題でセレスティナ王女の話題はかき消され、内心、苛立っているだろう。
そんな中、突然オルガ副官が婚約したことで彼女は動いたのかもしれない。
ミラ嬢に対する攻撃なのか、私に向けた攻撃なのか。
面倒なことね。
心がズシリと重くなる。
重いため息を吐きながら彼に手紙を書いていく。
オルガ様は大丈夫かしら。
心配しながらケイティと共に、セレスティナ王女のお茶会の準備をすることになった。
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