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2・たとえ半年お顔を拝見出来なくても
ヒト族の分際で竜王陛下の番だと叫んだ女がよほど気に入らなかったらしく、使用人のいない離宮に食事が運ばれてくることはありませんでした。
かまいません。庭の草と噴水の水で作るスープもオツなものです。
魔導の才がなく魔道具も満足に使えませんが、周りにあるものを使って火を熾す方法は牢にいるとき母に教わっていました。
護衛という名の監視、近衛騎士達が昼夜を問わず着こんだ全身鎧を鳴らして離宮の周りをうろつく音を不快に思ったのも数日だけです。
耳栓をすればいいのです。
光の魔力の強い竜人族と違って、私は夜の暗闇も静寂も怖くはありません。怖いのは、もう二度と番に、竜王陛下に会えなくなることです。彼はいつか気づいてくれるに違いありません。ニセモノの番を捨てて、私を迎えに来てくれることでしょう。
春に嫁いだカサヴェテス竜王国の今年の夏は、作物の魔物化や魔力を制御出来ない民の病気が流行り、散々な状況のようでした。
これ見よがしに声を上げて監視の近衛騎士達が話しています。
私のせいだとでも言う気でしょうか。愛しい番の大切な民を苦しめるようなことをするわけありません。竜王陛下はお心を痛めていらっしゃることでしょう。早く災いが去るように私は祈りました。
やがて秋が来ました。作物の魔物化のせいで収穫は少ないようです。
今年も収穫祭は開かれないとだれかが嘆いていました。
まともに作物が採れないので、ここ数年祭りが開催されていないようです。
またリナルディ王国に借りを作ることになると、憎々し気に呟く声が聞こえます。
元々去年も不作で、食糧購入代金の支払期限を延長する代わりに私を娶ることになったのです。
カサヴェテス竜王国の竜人族は傭兵としてほかの国へ行き、魔物の大暴走を収めることで外貨を稼いで食糧を購入しています。ですが昨今は大陸中で魔物が活発化しているため、自国だけで手いっぱいになり外国へ出稼ぎに行くほどの余裕がなかったのです。
不貞の罪の母親とともに投獄されたにもかかわらず、国王に即位した異母弟よりも遥かに先王に似た王女は厄介者でした。
国に置いて反国王派の旗頭にされてはいけないし、かといって年若く独身で子どものいない国王以外のただひとりの王族を今は殺せません。
それで他国へ嫁に出されたのです。
狭い牢獄の中、お母様にかけられた誤解を解いて迎えに来てくれると思っていたお父様はいらっしゃいませんでした。大好きなお母様は牢を出る前にお亡くなりになってしまいました。
王女以外のヒト族を受け入れることは出来ないと言われ、たったひとりで嫁いできました。……元より八年の牢獄暮らし、信頼出来る使用人などいなかったのですが。
嫁いでから半年、夫の顔は見ていません。
でも私は幸せでした。
だって竜王陛下は私の番なのです。きっとすぐに気づいてくださいます。
私が番だと、たったひとりの運命の相手なのだと。この胸のときめきをあの方も感じているに違いないのですから。
かまいません。庭の草と噴水の水で作るスープもオツなものです。
魔導の才がなく魔道具も満足に使えませんが、周りにあるものを使って火を熾す方法は牢にいるとき母に教わっていました。
護衛という名の監視、近衛騎士達が昼夜を問わず着こんだ全身鎧を鳴らして離宮の周りをうろつく音を不快に思ったのも数日だけです。
耳栓をすればいいのです。
光の魔力の強い竜人族と違って、私は夜の暗闇も静寂も怖くはありません。怖いのは、もう二度と番に、竜王陛下に会えなくなることです。彼はいつか気づいてくれるに違いありません。ニセモノの番を捨てて、私を迎えに来てくれることでしょう。
春に嫁いだカサヴェテス竜王国の今年の夏は、作物の魔物化や魔力を制御出来ない民の病気が流行り、散々な状況のようでした。
これ見よがしに声を上げて監視の近衛騎士達が話しています。
私のせいだとでも言う気でしょうか。愛しい番の大切な民を苦しめるようなことをするわけありません。竜王陛下はお心を痛めていらっしゃることでしょう。早く災いが去るように私は祈りました。
やがて秋が来ました。作物の魔物化のせいで収穫は少ないようです。
今年も収穫祭は開かれないとだれかが嘆いていました。
まともに作物が採れないので、ここ数年祭りが開催されていないようです。
またリナルディ王国に借りを作ることになると、憎々し気に呟く声が聞こえます。
元々去年も不作で、食糧購入代金の支払期限を延長する代わりに私を娶ることになったのです。
カサヴェテス竜王国の竜人族は傭兵としてほかの国へ行き、魔物の大暴走を収めることで外貨を稼いで食糧を購入しています。ですが昨今は大陸中で魔物が活発化しているため、自国だけで手いっぱいになり外国へ出稼ぎに行くほどの余裕がなかったのです。
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私が番だと、たったひとりの運命の相手なのだと。この胸のときめきをあの方も感じているに違いないのですから。
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