たとえ番でないとしても

豆狸

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17・たとえ蜂蜜たっぷりパンケーキのほうが楽しみだったとしても

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『こればっかりは試すわけにもいかん。今度は完全に世界が終わってしまうかもしれんからな。……まあ、とりあえずディアナは自分の魔力と向き合い、魔導の使い方を学ぶと良い。吾が教えよう』
「……精霊王様……」
『白い竜を倒すために教えるわけではない。そなたが自分の力を自在に使えるようになれば、だれかに利用される前にニコラオスを救えるかもしれんからな。言っただろう? あの子は吾の愛し子だ。幸せになって欲しいと願っていると』
「は、はい! ありがとうございます、精霊王様。私、頑張ります! 頑張って、絶対に竜王ニコラオス陛下をお救いしてみせます」
『うむ。では明日から教えに来よう』
「お願いいたします」

 先ほど名前を伝え合い、額を合わせたのは加護の儀式でした。
 私は精霊王様の愛し子になったのです。
 精霊王様は私と同じ闇の魔力と、私とは異なる大地の魔力を持っていらして、加護を与えた愛し子のところへなら、影を通って訪れることが出来るのだといいます。お子様に伝えられた未来で竜王陛下の魔力を感じたため、愛し子である彼のところへ確認に来られ、そのとき私の闇の魔力を感じてこちらへ来たのだそうです。

『朝食はパンケーキだったな』
「あ、はい。たぶん」

 今朝の朝食の話は夕食のときにしていました。
 精霊王様はパンケーキに興味津々のようでした。

『吾の分は蜂蜜たっぷりで頼むぞ』
「かしこまりました。お待ちしております」

 朝お子様から未来を伝えられた後、森の聖域での用事を済ませて竜王陛下のところへお行きになった精霊王様は、夕食前に私のところへいらっしゃるまでの間は陛下にお肉でもてなされていたそうです。
 残念ながら、お好きな鳥のお肉ではなく牛と豚のお肉だったそうです。
 竜人族の方々はさっぱりした鶏肉よりも濃厚な牛や豚のお肉のほうが好きなので、精霊王様には自分達が良いと思うほうのお肉をお出ししたのでしょう。

 結界が消え、精霊王様は影を通って森の聖域へ戻られました。
 精霊王様と話し合って、ソティリオス様を始めとする近衛騎士隊の皆様には真実を告げないことにしました。
 たとえ精霊王様のお言葉でも、忠誠を誓った竜王陛下を倒さなくてはならないかもしれないという話は受け入れがたいでしょう。私だって無理です。

「……妃殿下」
「ソティリオス様ですか? ちょうど良かったです。お願いがあるのですが、よろしいでしょうか」
「はい、なんなりと!」

 結界が消えたのを感じたのか、ソティリオス様が談話室の扉を叩きました。
 とりあえず彼に明日の朝食はパンケーキで、精霊王様の分は蜂蜜たっぷりにして欲しいとお願いしておかなくてはなりません。
 なおソティリオス様はオレステス様と交代した後、本宮殿に与えられているお部屋でお休みだったので精霊王様が陛下を訪ねて来られていることはご存じなかったそうです。
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