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第五話 運命の恋を諦めない②<一度目の終わりの伯爵令息>
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イザベルは死んだ。
俺が馬車を襲ったならず者達に苦戦している間に、着ていた服を切り裂かれて自害した。
肌も露わな格好をだれかに目撃されたら、なにもされていなくても醜聞が出回ることを恐れてのことだろう。
学園から男爵邸のある貴族街までは治安の良い地域が続いているので、護衛は俺とイザベルにひとりずつしかいなかった。
十数名いたならず者相手に、御者やイザベルの侍女が戦力になるはずもない。
俺以外はみんな死んだ。俺も足をやられて杖なしでは歩けなくなった。当然騎士爵など望むべくもない。
俺は、イザベルの死後男爵家へ迎え入れられた彼女の異母妹だという娘、プロスティトゥタと婚約することになった。
異母姉のイザベルとも父親の男爵とも似ていない美しい娘だ。
いや、男爵はともかくイザベルは美しかった。美しさの系統が違うだけだ。俺はイザベルの日陰に咲く花のように清楚な美しさが好きだった。
男爵夫人はイザベルの死に心を病んで離れに閉じ籠り、男爵家はプロスティトゥタとその母親の天下となった。
プロスティトゥタの母親だという女も、あまりプロスティトゥタとは似ていない。
俺は、プロスティトゥタに似た人間を知っている。俺とイザベルがならず者に襲われたときに、少し離れたところで見張りをしていた優男だ。役者といっても通りそうな美男子で、プロスティトゥタの母親と同年代だった。
馬車が襲われた場所は、普段ならもっと人通りのあるところだった。
普段──学園に生徒が登校するときと下校する時間帯だ。そのときは学園が警備の人間を配置している。
早退だったから、イザベルが父親の男爵に言われて普段とは違う時間に早退しようとしていたから、あの辺りに人がおらず、すべてがならず者達に都合良く進んだのだ。
男爵はイザベルに早退を促したりしていないと言った。
俺の証言があってもならず者達は捕まっていないし、男爵は積極的に探そうともしていない。
俺はプロスティトゥタとの婚約を受け入れたが、あの女を愛するつもりはなかった。結婚する気もない。俺が欲しかったのはイザベルで、男爵家ではないのだ。
そんな俺の気持ちを感じ取ったのか、プロスティトゥタは翌年学園に入学してくるなり男をくわえ込んだ。
よりにもよってこの国の王太子、マルクス殿下だ。
自分にも殿下にも婚約者がいるというのに、妻子ある男の愛人をやっていた母親のいる娘は少しも気にする様子がない。人目も憚らずにイチャついて醜聞をばら撒いていた。
俺が三年制の学園を卒業して、王太子殿下の婚約者が入学してきた後もプロスティトゥタは変わらなかったようだ。
娘を王太子妃に出来るとでも思ったのか、男爵は俺に婚約解消を申し出てきた。
俺がプロスティトゥタと婚約したのは復讐のためだった。あの女の近くにいても不自然ではない立場で、心を病んだ振りをしていたイザベルの母親と協力して、あの女のことを探っていたのだ。もう必要な情報は手に入れていたので、俺は婚約解消を受け入れた。
──そして、罰を受けるべき人間を罰して、俺はイザベルの後を追った。
俺が馬車を襲ったならず者達に苦戦している間に、着ていた服を切り裂かれて自害した。
肌も露わな格好をだれかに目撃されたら、なにもされていなくても醜聞が出回ることを恐れてのことだろう。
学園から男爵邸のある貴族街までは治安の良い地域が続いているので、護衛は俺とイザベルにひとりずつしかいなかった。
十数名いたならず者相手に、御者やイザベルの侍女が戦力になるはずもない。
俺以外はみんな死んだ。俺も足をやられて杖なしでは歩けなくなった。当然騎士爵など望むべくもない。
俺は、イザベルの死後男爵家へ迎え入れられた彼女の異母妹だという娘、プロスティトゥタと婚約することになった。
異母姉のイザベルとも父親の男爵とも似ていない美しい娘だ。
いや、男爵はともかくイザベルは美しかった。美しさの系統が違うだけだ。俺はイザベルの日陰に咲く花のように清楚な美しさが好きだった。
男爵夫人はイザベルの死に心を病んで離れに閉じ籠り、男爵家はプロスティトゥタとその母親の天下となった。
プロスティトゥタの母親だという女も、あまりプロスティトゥタとは似ていない。
俺は、プロスティトゥタに似た人間を知っている。俺とイザベルがならず者に襲われたときに、少し離れたところで見張りをしていた優男だ。役者といっても通りそうな美男子で、プロスティトゥタの母親と同年代だった。
馬車が襲われた場所は、普段ならもっと人通りのあるところだった。
普段──学園に生徒が登校するときと下校する時間帯だ。そのときは学園が警備の人間を配置している。
早退だったから、イザベルが父親の男爵に言われて普段とは違う時間に早退しようとしていたから、あの辺りに人がおらず、すべてがならず者達に都合良く進んだのだ。
男爵はイザベルに早退を促したりしていないと言った。
俺の証言があってもならず者達は捕まっていないし、男爵は積極的に探そうともしていない。
俺はプロスティトゥタとの婚約を受け入れたが、あの女を愛するつもりはなかった。結婚する気もない。俺が欲しかったのはイザベルで、男爵家ではないのだ。
そんな俺の気持ちを感じ取ったのか、プロスティトゥタは翌年学園に入学してくるなり男をくわえ込んだ。
よりにもよってこの国の王太子、マルクス殿下だ。
自分にも殿下にも婚約者がいるというのに、妻子ある男の愛人をやっていた母親のいる娘は少しも気にする様子がない。人目も憚らずにイチャついて醜聞をばら撒いていた。
俺が三年制の学園を卒業して、王太子殿下の婚約者が入学してきた後もプロスティトゥタは変わらなかったようだ。
娘を王太子妃に出来るとでも思ったのか、男爵は俺に婚約解消を申し出てきた。
俺がプロスティトゥタと婚約したのは復讐のためだった。あの女の近くにいても不自然ではない立場で、心を病んだ振りをしていたイザベルの母親と協力して、あの女のことを探っていたのだ。もう必要な情報は手に入れていたので、俺は婚約解消を受け入れた。
──そして、罰を受けるべき人間を罰して、俺はイザベルの後を追った。
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