泣きたいくらい幸せよ アインリヒside

仏白目

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アインリヒ.シュバルツ

光の中へ

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私が悲しんでいると、チェルシーはルシアンなのだと、教えてくれた

チェルシーにはルシアンの記憶が無いとも


それでも、姿は違えども また 逢えた

しかも、私の事を可愛い人と言う

今の私、アインリヒは人に可愛いなどと言われた事はない 

チェルシー、君こそ可愛いよ 



「君に逢えて良かった」





そして大好きな君と今世では結婚できるなんて・・・


リヒトだった時なら、考えもしなかった

自分の中にリヒトの記憶がはっきりと現れた時から 自分とリヒトは上手く混ざり合う感じでしっくりとした


チェルシーはどうなのだろうか・・・
あれから、ルシアンの意識が表に出る事はない・・・




シュバルツ王国にチェルシーが来てから半年が経った


「チェルシー、今日は巫女のセイシェルが君に逢いに来ると聞いたが?」


チェルシーは婚約者として シュバルツ王国のしきたりや習慣の違い、王妃としての勉強をしている毎日だ

「ええ、セイシェル様から女の子同士でお茶をしましょうと誘われまして 私も忙しい身ですので、こちらに来てもらうことになったんです」


セイシェルはチェルシーと顔合わせをしてからというもの、何かと城に来るようになった


「そうか 女の子同士か・・・」

「ふふ、アインリヒ様は後で私とお茶会をしましょうね?」

「ああ、そうしよう」

柔かな笑顔を浮かべるアインリヒはリヒトの記憶を思い出してからは、セイシェルから精霊王の御告げを聞かなくても精霊王と直接会話を出来るようになっているが、この事は誰にも話していない


「ジム、今日の書類はこれで片付いたようだな」

「はい、全てでございます 只今お茶をご用意しますね」

執務室での書類仕事を終えたアインリヒは伸びをしながら、テラスに出て深く椅子に座り背もたれに寄りかかる

「いい天気だ」

気持ちのいい風と共に眠けに誘われて、アインリヒは夢の中に入り込んで行く




そこは、懐かしい深い森の中、ルシアンと落ち合っていたあの森よりももっと奥深く、精霊樹の森 精霊王と妖精達のいる場所へとアインリヒは誘われていく


「ああ、懐かしい」

「おかえり、愛しい子よ 精霊樹に導かれたようだね 」

「精霊王様、ただいま帰りました 約束を守らなかった私を見守って頂きありがとうございます」

今世に生まれて来れたのもきっと、精霊王様と精霊樹の力なのだろう

「我が子の為なら、当たり前だよ ただ、人の生の時間は短い そこは分かっているね?」

「はい」

「そうか・・・短いから得られる物もあるのだろう  私には分からぬことだが」

「精霊王様は何故マルクスに力をかしたのですか?」


「ああ、全ては君たち2人の為だよ 人には全く興味は無かったんだ・・・だけどマルクスを監視するつもりで見た人達は、もう滅びるのを待っているだけで どうにも使えない者たちばかりだった」

「・・・・」

「まあ、私の力は植物の成長と天候を都合の良いように変えただけだ 

マルクスは君とルシアンへの罪滅ぼしとして生涯をかけて働いた

始めは懲らしめるつもりだったし、ここまでの成果をだすとも思ってはいなかったけどね

あの男は最後まで私に感謝しながら、この世を去っていったよ 君達2人の為により良い後世をと願いながらね 」


「マルクスはいい奴だったんだね 彼も何処かで生まれ変わっているのでしょうね 」


「だとしたら、会いたいかい?」

「?  それはどうでしょう?ルシアンは兄に逢いたいかもしれないけど 私はそれ程親しかったわけでもありませんから」


「そうだろうね、知り合ってすぐ人に売られてしまった訳だから・・・」

「ええ、でも恨んではいませんよ 彼にももう、昔の想いには囚われずに自由に生きて欲しいです 過去の彼はきっと、両親だったり兄弟だったり、国民のことだったり きっと、自分の為に生きた事が無い人生だったみたいだから、次の生では彼自身やりたい事をやれる人生になるといいなと・・
彼にも幸せになって欲しい、そう思っています」


「そうだね 私もそう思うよ・・・

ああ、ジムニーが心配しているようだ、君もそろそろ目覚めた方がいい
またいつでもおいで、待っているよ 」

「はい、それでは・・」


アインリヒの姿がスーッと消えて行く







森の中で精霊王は呟く

「ほら、私の言った通りじゃないか あの
子は誰かを恨むような子じゃ無いって」

「・・・はい」

「ああ、大の男が泣くんじゃないよ・・・
だからね、君もそろそろ次の生へ進むべきだよ、あの子達の事はもう、心配要らないよ 君もそろそろ幸せになってもいい頃だろう?」



「はい・・ もう何も思い残す事はありません、私も、光の道を進む事にします、今までありがとうございました」


男は深いお辞儀をしてから、光の道へと歩を進める




「大義であったマルクス、君も幸せにおなり」



精霊王は去り行く男の背を見送るのであった





      fin




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