婚約破棄されたスナギツネ令嬢、実は呪いで醜くなっていただけでした

宮之みやこ

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 どのくらいの時が経ったのだろう。次にリュシエルが目を覚ました時、辺りは昼だった。いつも目覚めの後は体がだるく、どんよりとした気分なのに、今は驚くほど体が軽く気分もいい。まるでずっとくくりつけられていた重しが取れたようだ。

「おねえさま、おきた!」

 突進する勢いでまとわり付いてきたのは、妹のアンジェラだ。

「おねえさま、みて! かがみ、みて!」

 アンジェラは興奮したようにリュシエルの手をぐいぐいと引っ張り、無理矢理鏡台の前まで連れて行こうとした。

「待ってアンジェラ、一体どうしたの……えっ!?」

 鏡に映った自分の姿を見て、リュシエルは仰天した。幻かと思い、慌ててぺたぺたと顔中を触ってみると、鏡の中の人物も全く同じ動きをして顔を触った。

「うそ……これ……もしかして私なの!?」

 鏡に写っていたのは、透明感を感じさせる眩いばかりの美女だった。大きなアーモンド型の眼は長いまつ毛に彩られてぱっちりとしており、先がつんと尖った鼻はちょうどいい高さと大きさで、ぽってりした唇は愛らしい。そして今までどんなに努力しても治らなかった下ぶくれは綺麗に消え去り、アンジェラと同じ卵型の綺麗な形をしていた。おまけに肌までしっとりと艶があり、化粧すらしなくても良さそうなレベルである。相変わらず目はやや三白眼気味ではあったが、それすらもどこか色気を感じさせるくらいだ。

「一体何が起きたの……!?」
「おにいさま、くろーどさま、おねえさまがおきたよ!」

 呆然とするリュシエルを置いて、アンジェラが叫んだかと思うと、間髪入れずにクロードとエドガーが部屋の中に飛び込んでくる。

「リュシー!」

 次の瞬間、リュシエルはクロードの腕の中に抱きしめられていた。

「目が覚めたんだな。よかった……。疑っていたわけではないが、本当に起きるか正直不安だった」
「おほん。クロード様、いいですか? 婚約するとはいえ、妹はまだ独身の身。適切な距離を保ってください」

 感極まった様子のクロードを、エドガーが静かに押しやる。

「ああ、すまない。……それにしてもリュシー、本当に綺麗になったな」
「そうだよリュシー! ああ、呪いが解けてよかった。こうしてみると、アンジェラや母上と良く似ている!」
「待って……待ってください。いい加減説明してくれますか? 呪いって、一体どういうことなんです?」

 散々置いてけぼりを食らったリュシエルが焦ったそうに言うと、クロードが微笑みながら言った。

「リュシー、これはヤーラ皇女が教えてくれたんだが、君にはずっと呪いがかけられていたんだ。そのせいで本来の容姿が歪められ、ずっと偽りの姿で暮らすよう強要されていたんだよ」
「呪い……!?」
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