『アンダーワールド・続編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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続編2 狙われる白狐

安田から見た日本

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「だ、誰? 」

「あっ、すいません。驚かれました? 」

「驚くに決まってんだろう! 」

「悪いね。この辺見てたら君の姿見て、

ちょっと気になったもんだから」

キャトルが屈託なく笑った。

安田は落ち着きを取り戻したのか二人を眺めると、

再びベンチに座った。

「あんたら俺を知ってるみたいだけど何もん? 

見た所殺し屋には見えないけど」

「俺達はこの辺を周っている営業ですよ。

さっき山口大臣とあなたの姿をちらりと見たので気になって」

「で、ここまで追って来たの」

向井とキャトルの言葉に、

「気味悪いな。男に付け回されるほど、

俺は困ってないけどね」

安田は気にせず笑うと、

残りの肉まんを口の中に放り込んだ。

「あんたら営業って言ったけど何やってんの? 

なんか外回りには見えないよ」

「まぁ、色々と国民の噂話を聞いて回ってるんです」

向井は笑うと安田を見た。

「そんなんで仕事になんの? 

お兄さんたちそれだけの容姿持ってんだから、

モデルやってみたら? 

その方が余程儲かるよ」

安田は二人の全身を見ながら笑った。

この男は弾かれた魂だが、

真っ黒ではないのが面白い。

海外組だからなのか。

こういうものが国外にいるのなら、

舵取り次第で日本も多少は変化するかもしれない。

向井は興味を持つと聞いた。

「ちょっといいですか? 」

「何? 」

安田は前かがみになって体を支えると、

町並みを見ながら言った。

「あなたから見てこの黒地はどうですか? 」

「ん? 別に何とも思わないな。

みんな無関心なだけで、

暴行事件が起こるのはどこの国も同じだし」

「外人が増えたでしょう? 」

「まぁね。こう見えても俺、帰国子女なんだよね。

だから向こうでは外人だったの。

で、帰国すれば違うかなと思ったら、

自分の国でも外人なんだよね。

これには笑った」

「そうでしょう。このままでいいと思う? 」

キャトルが聞くと、

「いいわけないけど、国民がこれを望んだんでしょ。

だったらしょうがないよ。

昨日か………西の都寄りの中央五区? 」

安田はそう言いながら端末を動かすと、

「そうここ。中野村大臣のお膝元らしいけど、

半分以上がリトルカントリーだったからね。

何ヶ国あるの? アフリカとアジアが半分を占めてるよね。

あれじゃぁ、日本人はいなくなるし死んでいくよ。

日本政府が国民殺してんだもんな」

そういって二人の顔を見た。

「国民は生きるのに精いっぱいで、

国の事を考える余裕がないんですよ」

「だったら選挙に行って変えればいいじゃん。

どこでも不正が横行してるって言われてるけど、

俺の住んでた国では選挙は祭りだったよ。

皆がそれぞれ国の未来を語って一票を投じてたからね。

でも、それを日本にいる友人に話したら、

個人の自由。個人を尊重しなきゃ押しつけだって言われた。

笑っちゃったよ。

まぁ俺も在外選挙制度なんて無視してたから、

人の事言えないんだけどね」

安田は下を向くと、

「だけど日本に住む国民は違うだろ。

結果、これは自分達が望んだ未来って事なんだなって思ったわけ。

まぁ、イヤイヤ行くなら行かない方が国の為だからさ」

と言った。
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