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(10)芽吹き
しおりを挟むリアが竜族の里に来てから、早くも二週間が過ぎた。
初めの数日は何もかもが新しくて、目に映るすべてが不思議に思えていたけれど、最近では朝に聞こえてくる風の音や、空を舞う竜たちの影にも少しずつ馴染んできた。とはいえ、気を抜けばまだ心が浮いてしまいそうになるのは、やはりこの場所が夢の続きのようだからなのだろう。
そんなある昼過ぎ、部屋にある書物を読み耽っていたリアの部屋の扉が、何の前触れもなくガチャンと音を立てて開いた。ノックをしないのは一人だけで、だがそれが、彼らしいといえばそれまでだった。
「出掛けんぞ」
ぶっきらぼうな口調でそう告げたのは、ギルフォードだった。変わらない無表情、どこか不服そうに見える目つき、そして不機嫌でなくても不機嫌そうな声色。それでも、彼の言葉の中に少しだけ、ため息混じりの疲労感が滲んでいるのをリアは聞き逃さなかった。
「おはようございます。行き先はどちらですか?」
「……ばーさんのとこ、だ」
「ルナルディ様のところ? っていうことは、えっと……」
「式の話以外に他に何があんだよ」
はぁ……と、ギルフォードは、分かりやすいくらい深いため息を吐いた。
「どうせ小言だ。『何も進んでおらぬのじゃな?』とか何とか言ってくるに決まってる。ダリィ……」
進まないのも無理はない。多少は打ち解けたものの、リアとギルフォードは、まだお互いに夫婦なんて呼べるほどの距離ではない。気まずい空気が流れそうになり、リアは慌てて言葉を探した。
「で、でも……少しずつ慣れてきたと思います。里にも、ギルフォード様にも……その、いろいろと」
ギルフォードは一瞬リアを見て、すぐに視線を逸らした。
「そうかよ」
ギルフォードは短くそう言ったきり、それ以上は何も言わなかった。多分、ルナルディに報告できるような進展は、自分の中でも何もないのだろう。リアもまた実のところ、この二週間、結婚という言葉の重さを忘れてはいないものの、日々を過ごすだけで精一杯だった。お互い様だ、と心の中で小さく思う。
リアがお守りのように母からの赤い布を羽織り、二人並んで屋敷を出る。ギルフォードは真っ直ぐにルナルディの屋敷へ向かうかと思いきや、道の途中でふいに足を止めた。
「一件寄る」
「えっ、寄るって……?」
「メルヴィのところ」
疑問を返す暇もなく、ギルフォードはさっさと角を曲がり、広場を経由して雑貨屋の前に立った。木製の看板が風に揺れ、開け放たれた扉の奥から、明るく響く声が飛び出してくる。
「――いらっしゃーいっ! って、あれ? ギルじゃん。え、リアも一緒!? なになに、素敵な組み合わせ!」
「てめぇ、毎回毎回うるっせえんだよ! ちっとは黙ってろ!」
そう叫びながら、店の奥から飛び出してきたのは、橙色の髪をポニーテールにまとめた、元気いっぱいのメルヴィだった。黒く大きな瞳がくるくると動き、リアとギルフォードの姿を順番に見比べては、にやにやと悪戯っぽい笑みを浮かべている。
「メルヴィ、こんにちは。お店、手伝い中なの?」
「そうそう。今日は朝からずっとね。で、で、二人で来るなんてどうしたの? デート!?」
「ぶん殴られてえのか」
「もー、ギルって本当怖ーい!」
からかうように笑うメルヴィに、ギルフォードは低く唸りながら口元を引きつらせている。けれど怒鳴るほどでもなく、その反応はどこか日常の延長のように思えた。
「……はぁ。おい、お前、なんか好きなの選べ」
唐突に、ギルフォードがリアに向かってそう言った。真意がつかめず、ぽかんとするリアに、彼はふてくされたように視線を逸らして言葉を足す。
「ばーさんとこに、真っさらで行くと面倒だからな。なんか……今日だけでも、適当に身に付けれるもん買え」
「えっ、私が自分で選んでいいんですか……?」
「だからそう言ってんだろうが」
どうやらこれは、“贈り物を渡しておけば怒られないかもしれない作戦”らしい。ぶっきらぼうで、乱暴な言い方。でもそこに込められているのは、ギルフォードなりの気遣いなのだと、リアは少しは感じ取れるようになっていた。
おずおずと頷き、棚に並ぶ色とりどりの小物を見つめる。宝石のように輝く石細工、香り袋、繊細な刺繍の施されたハンカチ……その中で、一際目を引いたのは、ガラスのケースに並べられたアクセサリーだった。
そっと手に取ったのは、赤く透き通る石がついたシンプルなピアス。深紅ではなく、どこか優しく温かな色合いで、どこか懐かしいような、胸の奥がちくりとする気持ちを呼び起こした。
「これ……」
呟くように言うと、ギルフォードは何も言わず、ひょいと手を伸ばしてメルヴィにピアスを渡した。
「これ、くれ」
「はいよっ。ギルの奢りでーす! 外装つけるよね? はい、ちゃちゃっと……」
「いらねぇわ」
「あっ、破った!? 早っ! 雑!」
「いちいちうるせぇんだよ、てめぇは」
ぎゃーぎゃー言うメルヴィの声を背中で聞きながら、ギルフォードはさっさと包装紙を破き、ピアスを裸のままリアに差し出した。
「ほら。つけろ」
「あ、ありがとうございます……」
リアは手探りで耳にピアスをつけようとするも、鏡が無いとなかなか上手くいかない。焦るほどに手がもたつき、ぎこちない動きになってしまう。
「ったく……貸せ、ノロマ」
半ば呆れたようにそう言うと、ギルフォードはリアの手からピアスをひったくり、ぐいと彼女の顔を自分の方へ向けた。すっと伸ばされた指が、リアの髪をやわらかく掻き上げ、耳元に触れる。その仕草はなぜか驚くほどに手馴れていて、どこか不器用な優しさが滲んでいた。
「動くなよ」
低く呟く声が、妙に近くて、リアの心臓が一度だけ跳ねる。耳に冷たい金属が触れ、軽く留められた感触が伝わると、ギルフォードはひとつだけ短く息をついた。
「お前、耳ちっせぇな」
「えっ……そうですかね?」
「身体も薄いし、風で飛びそーだわ」
「たくさん食べてますので、飛びません……!」
「へぇ」
思わず抗議すると、ギルフォードの唇がほんの少しだけ緩んだ気がして、リアは息が詰まった。照れくさくて、何も言えずにうつむいてしまう。けれど、胸の中はなんだかあたたかくて、くすぐったい気持ちが広がっていった。
「終わったぞ。まあまあ似合ってんだろ。これでばーさんも文句ねぇな」
反対側の耳も同じように、丁寧にピアスが取りつけられる。その間、リアは言葉を忘れたように黙っていて、ただ頬がほんのりと赤く染まるのを自覚していた。
「おー、いいじゃんいいじゃん! ねぇリア、うちの店のセンス悪くないでしょ?」
すかさずメルヴィが、からかい混じりに声をかけてきて、リアはあたふたと首を振る。
「うん、とっても綺麗だね。ありがとう。……ギルフォード様も、ありがとうございます」
「別にお前のために買ったわけじゃねーわ」
そう言いつつ、耳元を見やるその目が柔らかく見えたのは、恐らく気のせいではなかった。
こうして少しだけ騒がしく、でも心が温まるような寄り道を経て、二人はルナルディの屋敷へと向かうのだった。
◇
ルナルディの屋敷へと続く道で、リアの耳に響いてくるのは、鳥のさえずりや葉擦れの音、そして足元で跳ねるように鳴く小さな風の精霊たちの囁きだった。
それは里の誰もが気づかないほどの微かな音だったけれど、リアには確かにそれが歓迎だと感じる。
ギルフォードはと言えば、雑貨屋を出てからずっと黙りこくっていて、たまにちらりとリアの耳元を盗み見るような素振りをするものの、結局何も言わずにまた前を向いてしまう。きっと「悪くない」なんて、口が裂けても言えないのだろう。
そんなことをギルフォードが考えているとは梅雨知らず、彼から何度も感じる視線に、リアは照れ臭くなって曖昧に笑みを浮かべた。
やがて、ひっそりと佇む、青と銀を基調とした荘厳な屋敷が見えてくる。ルナルディが住まう場所。その重厚な扉をくぐると、すぐに、あの柔らかくも芯のある声が聞こえた。
「おやおや。ようやく来おったか。ギル、リアよ」
階段の上からゆったりと降りてきたのは、優雅な銀髪をたゆたわせ、青い鱗が光を受けてさざ波のように揺らめくルナルディだった。
「別に遅れてねぇ。指定の刻限通りだろ」
「ふふ、確かに刻限通り――もっとも、わしが十刻前から暖炉に茶を置いて待っていたのも、また事実じゃな」
からかうような口調に、ギルフォードは僅かに眉をしかめてそっぽを向く。それを見たルナルディは、ほんの少し目を細めてから、今度はリアへと目を向けた。
「リア。こちらの暮らしには、もう馴染んだかえ?」
「はい、まだ至らぬことばかりですが……皆さんがとても親切で、少しずつ慣れてきたように思います」
リアが薄く笑ってそう答えると、ルナルディはゆっくりと頷き、唸った。
「そうかい。ならば良い。――では、ギル。進捗を聞かせてもらおうかの」
瞬間、ギルフォードの肩が硬直したのを、リアは見逃さなかった。案の定、彼はあからさまに面倒そうな溜息を吐いて、両手をポケットに突っ込む。
「……特に、式の準備は進んでねぇ。儀式の形式はまだ考え途中。婚姻についての書類の束は……見る気もしねぇな」
「ほほう。それで、そなたは王となるつもりなのじゃろう?」
やわらかく微笑んだまま、ルナルディが問う。その声にとげはないのに、ギルフォードは目を逸らして、床の模様を見つめながらぼそりと返す。
「いつかは、な」
「では、その“いつか”とやらが、竜歴何年何日頃になるのか、ぜひ聞かせてほしいのう。お茶でも飲みながらな」
「チッ……」
言いながらルナルディが優雅な手つきで指を鳴らすと、どこからともなく湯気の立つ茶器が盆に乗って現れた。どうやら、十刻前に用意されたというその茶は、まだほんのりと香りを残しているようだった。
「リア、そなたも。遠慮なく座るがよい」
「あっ、はい。ありがとうございます、ルナルディ様」
リアが礼儀正しく座る横で、ギルフォードも渋々と腰を下ろす。そしてそのまま、ルナルディの質問攻めが続いた。
「ちなみに、結婚の衣はどうなっておる?」
「あ? あー…まだ見てねえが、リーゼロッテが何枚か試作してるとか言ってた」
「それはお前の衣ではなく、嫁の衣の話じゃ。そなたは王子、式は自分自身も主役ぞ?」
「はぁ?」
ギルフォードが驚いた顔でリアを見た。リアは戸惑いながらも、小さく頷く。
「一族の皆様は、ギルフォード様の晴れ舞台を楽しみにされているかと……」
「その通り。そもそもギル、嫁の試着に立ち会う予定は組んでおるのか?」
「女の衣の試着に付き合うとか意味わかんねえ」
「なるほど、“進捗ゼロ”ということじゃな。納得じゃ」
「………。」
ギルフォードがぐうの音も出ない顔で押し黙ると、リアは思わず苦笑いをしてしまった。
それを見たルナルディは、まるで春の陽だまりのように優しく微笑みながら、二人の間に流れる妙にぎこちない空気を見て、改めて声を立てて笑った。
「まぁ、良い。焦らずとも、まだ時間はある。そなたらの歩幅で進めばよい。――ただし、歩くことをやめてはならぬ。よいな?」
その言葉には、年長者としての戒めと、誰よりも二人の未来を案じている優しさが滲んでいた。
ギルフォードはしばらく黙ったまま、だが最後にはぽつりと短く、けれど確かに頷いた。
「……分かってる」
その小さな頷きを見て、リアは胸の奥がむず痒くなるのを感じた。ギルフォードと結婚するということが、今更ながら現実味を帯びてきたと感じたのだ。
お互いの足元には、まだまだ頼りない影しか落ちていないかもしれない。それでも歩こうとしているのなら、ついて行かなければならない。
「私も、頑張ります」
リアの言葉に、ルナルディは満足そうに目を細めた。そして静かに頷くと、空になった茶器を手に、ゆっくりと立ち上がった。
「それでこそ、竜と人の希望じゃ。二人とも、いつでもおいで。わしは、いつでもここにおる」
そう言ってルナルディは背を向け、再び奥の書斎へと歩み去っていった。残されたのは強制的な生ぬるい空気と、僅かに残る香りの名残。ギルフォードはそっと立ち上がり、横にいるリアに目をやると、そっぽを向いて呟いた。
「帰るぞ」
「はい」
なんとも言えない空気感。
屋敷の書斎の奥から、小さな笑い声が響いた。
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