緑宝は優しさに包まれる〜癒しの王太子様が醜い僕を溺愛してきます〜

天宮叶

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婚約と養子

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フェリクス様と僕が婚約することはまだ他貴族には伏せておくことに決めた。

まずは国王陛下に婚約の許可を貰わなければならないとフェリクス様が僕に申し訳なさそうに教えてくれたからだ。

きっと僕を婚約者にすることは大変な事だと思うのに、大丈夫だからねってフェリクス様は笑うだけでそんなこと一言も言わない。

だから、僕も彼のことを信じて待つことに決めたんだ。

ラルは2、3日に一度は屋敷に来て顔を見せてくれている。

どうやらオスマン様はこの屋敷によく滞在している様で、彼に会うついでに顔を見せてくれているのかなって勝手に思っているけれど、ラルは違うって言っていた。

朝起きて部屋を出たら、フェリクス様と鉢合わせて一緒に朝食を食べようと誘われて嬉しくて思わず笑みが零れ落ちた。

フェリクス様は部屋で資料を見る予定だそうで、朝食はフェリクス様の部屋で頂くことになった。

小さなテーブルに並べられた料理とフェリクス様の顔を交互に見比べながら、僕にとって幸せすぎる空間に口元がだらしなく緩みそうになるのを必死に抑える。

「頂こうか」

「はいっ」

なんだか、フェリクス様とこうして2人きりの時はいつも僕は何かを食べているなって思って思い出し笑いをしそうになった。

たっぷりの蜂蜜がかけられたフレンチトーストを口を開けて頬張ると、外側のカリッとした部分が心地のいい音を立てて、その後に柔らかな食感が僕の口内を癒してくれる。

「美味しいっ」

口から飛び出した感想に、フェリクス様がくすくすと笑みを返してくれる。

「ついているよ」

フェリクス様の手が伸びてきて口元に付いたくずをとってくれた。それが恥ずかしくて、熱くなった顔を隠すように微かに下を向くとパクパクとフレンチトーストを口へと運ぶ。

ちらりとフェリクス様を盗み見ると、彼の薄くて血色のいい唇にもフレンチトーストが吸い込まれているのが目に入った。

思わずそれに釘付けになる。

あの唇が僕の唇に触れたんだ……。

「どうかしたのかい?」

目が合って、思わず逸らすとフェリクス様が身じろぐ音が聞こえてきてドキドキと心臓が鳴った。

「顔が真っ赤だけれど、なにか想像しちゃった?」

「へ!?フェリクス様!??」

突然隣から声が聞こえて顔を上げると、いつの間にか僕の隣に椅子ごと移動したフェリクス様がいて驚いてしまう。

「また、ついてるよ」

「っ……んぁ……」

フェリクス様の舌が僕の口元についた蜂蜜を舐めとって、ついで僕の唇を舐めた。

つい声が出てしまって慌てて自身の手で口元を塞いでフェリクス様を見ると、優しく細められた瞳と目が合ってドキッとしてしまう。
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