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再会③
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「いい加減にしろ。アルビーが話そうとしてんだろ。黙って聞くこともできないのかよ」
暗い雲が心の中に立ち込み始めたとき、両親に向かって怒りの声が飛ばされた。涙目でデューク様へと視線を向ける。眉間にくっきりとしわを寄せている彼が、僕を庇うように一歩前へと出た。
「な、なんだね!その口の聞き方は!」
「それはこっちの台詞だ。俺はただの戦馬鹿だけど、一応伯爵位をもらってる。男爵家より立場は上だ。その俺の嫁を傷つけるとはいい度胸だな」
「傷つけるだと!?私達は兄の自覚がないアルビーに当然のことを言ったまでだ!」
平行線の会話を、僕は黙って聞いていた。落ち着かず視線を彷徨わせてしまう。オリビアも父様とジルバート様へ不安そうな瞳を向けていた。けれど、その落ち着かない心の中に一筋の温もりが宿っている。
今までは味方などいなかった。でも今回はデューク様が僕を庇ってくれている。それのことが本当に、心の底から嬉しくて涙が流れた。
「いいからお前らは黙ってアルビーの話を聞いてろ!」
デューク様が微かに天人の威圧を放った。それを受けてお父様が口を閉ざす。後ろで会話を聞いていたお母様も怯えてしまっている。
天人であるジルバート様がオリビアを守るように前に出た。その行動を見ても僕の心は揺れたりはしない。やはり愛など僕達の間には存在しなかったのだと自覚させられた。
「たしかにアルビーの話を聞いてあげるべきでした。謝罪するので威圧を止めていただけないですか。オリビアが怖がっている」
言葉通り、ジルバート様の後ろでオリビアが華奢な肩を震わせているのが確認できた。
「謝るのは俺にじゃねーだろう」
「……デューク様、もういいんです……ありがとうございます」
デューク様の腕に手を回し、大丈夫だと伝える。そうしたら、威圧を解いた彼が僕に心配そうな色を宿した視線を向けてくれた。それだけで心は救われる。
威圧が消えて安堵したのか、ジルバート様が息を吐き出す。デューク様のほうが強い力を持つ天人なのだろう。睨み合いをしてもジルバート様には勝ち目がなかったはずだ。
「……オリビア」
いまだに怯えているオリビアへと声をかける。つぶらな空色の瞳が僕の方へ向けられた。
本当は笑顔でお祝いをしてあげたかった。オリビアのことを嫌いなわけではないからこそ、清々しい気持ちで再会できることを望んでいたんだ。けれどそれが無理だということは最初からわかっていたことだ。
「アルビー、ごめんなさい僕……」
「謝らないで。……おめでとうオリビア。二人の幸せを心から願っているよ」
「……本当に?怒ってない?」
「うん、本当だよ」
もう怒りかたすら忘れてしまった。彼らにとって僕は家族ではない。そう思えてならない今がすべての答えだ。
暗い雲が心の中に立ち込み始めたとき、両親に向かって怒りの声が飛ばされた。涙目でデューク様へと視線を向ける。眉間にくっきりとしわを寄せている彼が、僕を庇うように一歩前へと出た。
「な、なんだね!その口の聞き方は!」
「それはこっちの台詞だ。俺はただの戦馬鹿だけど、一応伯爵位をもらってる。男爵家より立場は上だ。その俺の嫁を傷つけるとはいい度胸だな」
「傷つけるだと!?私達は兄の自覚がないアルビーに当然のことを言ったまでだ!」
平行線の会話を、僕は黙って聞いていた。落ち着かず視線を彷徨わせてしまう。オリビアも父様とジルバート様へ不安そうな瞳を向けていた。けれど、その落ち着かない心の中に一筋の温もりが宿っている。
今までは味方などいなかった。でも今回はデューク様が僕を庇ってくれている。それのことが本当に、心の底から嬉しくて涙が流れた。
「いいからお前らは黙ってアルビーの話を聞いてろ!」
デューク様が微かに天人の威圧を放った。それを受けてお父様が口を閉ざす。後ろで会話を聞いていたお母様も怯えてしまっている。
天人であるジルバート様がオリビアを守るように前に出た。その行動を見ても僕の心は揺れたりはしない。やはり愛など僕達の間には存在しなかったのだと自覚させられた。
「たしかにアルビーの話を聞いてあげるべきでした。謝罪するので威圧を止めていただけないですか。オリビアが怖がっている」
言葉通り、ジルバート様の後ろでオリビアが華奢な肩を震わせているのが確認できた。
「謝るのは俺にじゃねーだろう」
「……デューク様、もういいんです……ありがとうございます」
デューク様の腕に手を回し、大丈夫だと伝える。そうしたら、威圧を解いた彼が僕に心配そうな色を宿した視線を向けてくれた。それだけで心は救われる。
威圧が消えて安堵したのか、ジルバート様が息を吐き出す。デューク様のほうが強い力を持つ天人なのだろう。睨み合いをしてもジルバート様には勝ち目がなかったはずだ。
「……オリビア」
いまだに怯えているオリビアへと声をかける。つぶらな空色の瞳が僕の方へ向けられた。
本当は笑顔でお祝いをしてあげたかった。オリビアのことを嫌いなわけではないからこそ、清々しい気持ちで再会できることを望んでいたんだ。けれどそれが無理だということは最初からわかっていたことだ。
「アルビー、ごめんなさい僕……」
「謝らないで。……おめでとうオリビア。二人の幸せを心から願っているよ」
「……本当に?怒ってない?」
「うん、本当だよ」
もう怒りかたすら忘れてしまった。彼らにとって僕は家族ではない。そう思えてならない今がすべての答えだ。
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