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美味しさ
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食堂につくと一般的な貴族の卓とは違う様式にテーブルが並べられていて首を傾げた。大きなテーブルが列状にいくつも並んでいる。まるで大衆食堂のような造りだ。呆けていると、次から次に食堂へと騎士達が入ってきた。
「やっぱお貴族様は驚くよな。この屋敷は騎士の生活空間にもなっててな。屋敷ってより要塞だな。だから飯のときは全員で食事を囲むんだ」
「そう、なんですね……」
人と卓を囲むだなんて想像もできない。ラミレス男爵家でも僕が幼い頃は一緒にご飯を食べていた気がする。けれど、ベッドで寝たきりだったオリビアが仲間外れにしないでほしいと泣いてからは、自然と家族で卓を囲むことはなくなってしまった。
空けられている真ん中の席に、デューク様と並んで腰掛ける。人で溢れた食堂は、賑やかで、なんとなく疎外感を感じてしまう。
余所者の僕が居てもいい場所なのかわからない。
並べられていく料理を見つめながら、息を殺し縮こまる。
「緊張してるのか?」
肩に腕が回されて驚く。大袈裟に身体を跳ねさせると「そんなにビビるなよ」ってデューク様が困った表情を浮かべた。
「ごめんなさい……」
「いいって。今日はお前の歓迎会も兼ねてるんだ。ありったけ食え」
「……歓迎会?僕を歓迎してくれるんですか?」
「なにいってんだよ。俺達夫婦になるんだぞ。当たり前だろ。いいから食えって。冷めちまうだろ」
どうしてそんなにすんなりと僕のことを受け入れられるのだろうか。
会ったこともない人間と突然結婚することになったのに、嫌じゃないのかな。それに相手がこんなに地味な花人だっていうのに……。
デューク様が僕の目の前に置かれた皿に料理を注いでくれる。肉ばかりがゴロゴロと乗せられていることに気がついたけれど、それに突っ込むことはしなかった。
歓迎してくれていることが嬉しかったんだ。歓迎してくれているという彼の言葉を信じたかった。
「い、いただきます……」
ナイフとフォークを使い肉を切り分けると、恐る恐る口へと入れる。デューク様の視線が痛くて、緊張してしまう。なぜか騎士達も、僕が料理を口に入れるのを見つめてくる。
肉が舌に乗った瞬間、まず感じたのは温もりだった。
僕が食事を取るのはオリビアのあとだと決まっていた。そうなると自然に一番最後になってしまう。料理は冷めきっていて、温度も香りも飛んでしまったものしかなかった。
けれど、今食べたものからは温度や香りを感じられる。じわりと下の上を肉汁が転がり、口内を満たしてくれるのは旨味だった。
「美味しい」
自然と口に出ていた。
本当に美味しかったから。
人生で食べたどんな料理よりも美味しく感じられたからだ。僕が言葉を発した瞬間、デューク様や騎士達がニカッと眩しいくらいの笑顔を浮かべた。
「そうかそうか!美味いか!もっと食え!」
促されるまま食べると、すぐに空いたスペースに次の料理が注がれる。どれだけ食べても乗せられ続けるものだから、少しずつお腹が苦しくなってきた。
それと同時に、強いめまいに襲われてしまう。元々馬車の旅で気分が悪かったこともあり、酷く頭が痛みだした。
けれど体調の悪さを忘れるほどに、久しぶりに料理を美味しいと感じられたんだ。それがすごく嬉しかった。賑やかな食堂内を見渡す。この先僕は何度この光景を見られるのだろうか。
そう思いながら、重力に促されるまま横へと身体を傾けた。意識がぼんやりとしてくる。
「どうしたんだ!?おいっ!」
デューク様の心配するような声が聞こえてくる。けれど、僕の体力はそこですっかりなくなり、意識がプツリと途切れてしまった。
「やっぱお貴族様は驚くよな。この屋敷は騎士の生活空間にもなっててな。屋敷ってより要塞だな。だから飯のときは全員で食事を囲むんだ」
「そう、なんですね……」
人と卓を囲むだなんて想像もできない。ラミレス男爵家でも僕が幼い頃は一緒にご飯を食べていた気がする。けれど、ベッドで寝たきりだったオリビアが仲間外れにしないでほしいと泣いてからは、自然と家族で卓を囲むことはなくなってしまった。
空けられている真ん中の席に、デューク様と並んで腰掛ける。人で溢れた食堂は、賑やかで、なんとなく疎外感を感じてしまう。
余所者の僕が居てもいい場所なのかわからない。
並べられていく料理を見つめながら、息を殺し縮こまる。
「緊張してるのか?」
肩に腕が回されて驚く。大袈裟に身体を跳ねさせると「そんなにビビるなよ」ってデューク様が困った表情を浮かべた。
「ごめんなさい……」
「いいって。今日はお前の歓迎会も兼ねてるんだ。ありったけ食え」
「……歓迎会?僕を歓迎してくれるんですか?」
「なにいってんだよ。俺達夫婦になるんだぞ。当たり前だろ。いいから食えって。冷めちまうだろ」
どうしてそんなにすんなりと僕のことを受け入れられるのだろうか。
会ったこともない人間と突然結婚することになったのに、嫌じゃないのかな。それに相手がこんなに地味な花人だっていうのに……。
デューク様が僕の目の前に置かれた皿に料理を注いでくれる。肉ばかりがゴロゴロと乗せられていることに気がついたけれど、それに突っ込むことはしなかった。
歓迎してくれていることが嬉しかったんだ。歓迎してくれているという彼の言葉を信じたかった。
「い、いただきます……」
ナイフとフォークを使い肉を切り分けると、恐る恐る口へと入れる。デューク様の視線が痛くて、緊張してしまう。なぜか騎士達も、僕が料理を口に入れるのを見つめてくる。
肉が舌に乗った瞬間、まず感じたのは温もりだった。
僕が食事を取るのはオリビアのあとだと決まっていた。そうなると自然に一番最後になってしまう。料理は冷めきっていて、温度も香りも飛んでしまったものしかなかった。
けれど、今食べたものからは温度や香りを感じられる。じわりと下の上を肉汁が転がり、口内を満たしてくれるのは旨味だった。
「美味しい」
自然と口に出ていた。
本当に美味しかったから。
人生で食べたどんな料理よりも美味しく感じられたからだ。僕が言葉を発した瞬間、デューク様や騎士達がニカッと眩しいくらいの笑顔を浮かべた。
「そうかそうか!美味いか!もっと食え!」
促されるまま食べると、すぐに空いたスペースに次の料理が注がれる。どれだけ食べても乗せられ続けるものだから、少しずつお腹が苦しくなってきた。
それと同時に、強いめまいに襲われてしまう。元々馬車の旅で気分が悪かったこともあり、酷く頭が痛みだした。
けれど体調の悪さを忘れるほどに、久しぶりに料理を美味しいと感じられたんだ。それがすごく嬉しかった。賑やかな食堂内を見渡す。この先僕は何度この光景を見られるのだろうか。
そう思いながら、重力に促されるまま横へと身体を傾けた。意識がぼんやりとしてくる。
「どうしたんだ!?おいっ!」
デューク様の心配するような声が聞こえてくる。けれど、僕の体力はそこですっかりなくなり、意識がプツリと途切れてしまった。
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