弟を溺愛していたら、破滅ルートを引き連れてくる攻めに溺愛されちゃった話

天宮叶

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調子を狂わされるから近づかないでほしい

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 シャノンと接近してくれたと思った次の瞬間には、こんなふうにゼンに構おうとしてくる。
 放っておいてほしいと思っていても、ルーカスにはまったく伝わっていないらしい。
 熱くなった頬に赤みが差す前に、冷気の魔術でバレないように顔を冷やす。今日の練習は打ち止めだ。

「今日の練習は終わりだ。フィーロとシャノンは明日も同じ時間にここに来い」

「俺は?」

 尋ねてきたルーカスを睨みつけた。

「お兄様、ルーカス様なんて参加させないでください!お兄様にキ、キキ、キスっ、するなんて!」

 怒りながら顔を真っ赤にしているフィーロをシャノンがなだめる。
 ゼンもフィーロと気持ちは同じだ。
 元々歓迎などしていないし、頬にキスをしてきたことを許していない。
 できるならもう二度と顔を見たくはないけれど、あまり邪険にして破滅ルートまっしぐらになるのも避けたい。

「好きにしろ」

 ため息まじりに答えると、ルーカスが心底嬉しそうに破顔した。

「お兄様!?」

「フィーロ、ルーカスは一応公爵で婚約者だ。立場上断れないこともある」

「そんな~……」

 残念そうに肩を落とすフィーロから、ルーカスへ視線を戻した。ルーカスの笑みを見ていると胸の奥がまたざわついてくる。
 ルーカスと話しているといつもこうなってしまう。だから彼が苦手だ。それにこれだけシャノンと関わっていて、いまだに婚約破棄を申し出てくれないことにも疑問があった。
 運命の番ならとっくに気づいているはずなのに。

(……なんだか調子を狂わされるんだよな)

 不可抗力で婚約者になってからはますますテンポを崩されてしまっている。関わらないようにしたいのにルーカスが関わってくるため逃げることもできない。

「部屋に戻るぞ」

 三人に声をかけてから訓練所を出た。
 フィーロのことはシャノンに任せて自室へ向かう。なぜか後ろをルーカスがついてきているため、気づいていないふりをしたかった。


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